表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何でも屋を開業する魔王  作者: ラーメン四郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/16

港区の決戦、最上階の女王

新宿からタクシーを飛ばすこと三十分。

 目の前にそびえ立つのは、ガラス張りの巨大な要塞——港区・神谷町の超高層タワービル。

 この最上階に、組織『日食』の心臓部がある。

「アイゼンよ。これを見ろ。……このビルの輝き、かつての王都の魔導塔を凌ぐぞ」

「左様でございますな。しかし、漂う臭いは腐った沼と同じ。人々の強欲を糧に、無理やり作り上げられた『光』にございます」

 俺は、先ほど奪い取ったIDカードを入り口のゲートにかざした。

 ピポ、という間の抜けた音と共に、現代社会の最高レベルの防壁が、あっさりと俺たちを受け入れる。

 エレベーターは静かに、かつ急速に高度を上げていく。

 表示される数字が『50』を超えた時、俺の懐の聖剣の欠片が、悲鳴のような共鳴を始めた。

「……来たか」

 最上階。

 全面ガラス張りの広大なフロアには、無数のサーバーユニットが神殿の柱のように並び、その中心に、一人の少女が座らされていた。

 アバターのモデルとなった絵師——『シオリ』。

 彼女の頭部には無数の電極が繋がり、意識は完全に「電脳の世界」へと没入させられている。

「ようこそ、魔王さん。……いえ、『万事屋』さん」

 フロアの奥から、例の眼鏡の女が現れた。

 その背後には、巨大なスクリーンが浮かび、そこには億単位のフォロワーからの『視線』が、物理的な圧力となって渦巻いている。

「彼女は今、一億人の意識を受け止める『器』となっている。間もなく、この街の全デバイスに、彼女の描いた『究極の呪い』が配信されるわ。……そうなれば、この世界は、私たちの意のままに再定義される」

「……下らぬ。たかだか一億の視線に、一人の小娘の魂を捧げるだと? それが貴様らの言う『新しい神』の正体か」

「あら、嫉妬かしら? 貴方が失った『魔法』を、私たちはこうして科学で再現したのよ」

 女が指を鳴らすと、サーバーから黒い稲妻が走り、意識を失ったシオリの体が不自然に浮き上がった。

 彼女のアバターである『電脳の女王』が、現実世界に半透明のホログラムとして具現化していく。

『おじさん……、助けて。……私、消えちゃう……』

 女王の姿をした少女が、俺に助けを求める。

 だが、その声さえもプログラムされた「罠」かもしれない。

「アイゼン! あれは『偽物』だ。惑わされるな!」

「はっ……! しかし、シオリ殿の生気が、あの装置に吸い取られております! このままでは……!」

「……ならば、この街の全デバイスが、我を直視するようにしてやるまでよ!」

 俺は懐から、タクシーの中で急いで準備した『秘密兵器』を取り出した。

 それは、マコトの部屋から没収したノートPCと、ダイソーで買った『大音量メガホン』、そして俺がこの数ヶ月で貯めた『dポイント全額分の権利』だ。

「貴様らの力は『数』だな。ならば、その数……我の『人気』で上書きしてやるわ!」

 俺は、VTuberとしての配信を開始した。

 タイトルは——【緊急生放送】魔王、港区の神をぶっ飛ばす【初配信から10日目】。

「聴け、世界中の愚民ども! 今からこの街に、本物の『魔法』を見せてやる! 瞬きするなよ、これは有料級の奇跡だ!」

 一億人の視線を奪い合う、前代未聞の「視聴率戦争」が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ