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MAX HEART!  作者: ユウ
――フォースアラート戦編!
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負けられない想い!

 ――予選も既に四回戦。ここまで上がってくるチームとなれば、皆強豪チームであり、素人の観客でさえ、その雰囲気に圧倒されてしまう。その中には長年の間、大会を見てきた玄人もいれば、トーナメント敗退チームもいるのである。様々な思惑が交差する中、ワタル達マックスハートは四回戦の舞台へと上がる。

「――響ワタル」

 バトルリングへ向かう途中、何者かがワタルを制止する。

「ん……? あ、お前はディーパーディーパーの芹川。一体こんな所へなんの用だよ?」

「ウフフ……愛する響ワタルを応援しに来たの。愛する人には勝ってほしいと願うのは当然でしょ? 顔のボコボコ具合が気になるけど置いとくわ」

 芹川はワタルにウインクする。オカマの印象が強い為か、ワタルはその行為に悪寒を走らせる。

「うっ……いやまぁ、そうかも、しれないけどよ」

「それにね。ちょっと貴方にアドバイスがしたいのよ、今回の相手は今までに比べて一筋縄ではいかないわよ」

「アドバイス? そんなもん必要ないぜ。最終的に勝つのはオレサマ達だぜ!」

 軽い微笑と共に、その言葉を受け止めている芹川だが、明らかにその表情の奥に隠されたものは、一つの心配事である。

「……その言葉を信じてあげたいのも山々なのよ。でもね、今回の相手はそうはいかないわ……実は表だっての知名度こそ低いものの、知っている人間は知っているというプレイヤーが今回の相手、なのよ」

「知っている人間は知っている? ……誰なんだ、オレサマすら知らない奴なのか?」

「えぇ、多分知らないわ。実はそのプレイヤーは今まで外国にいて、つい最近、日本へ帰ってきたみたいね。自称天才プレイヤーらしいけど、でも実力は文字通り天才の名をあげても良いぐらいの、モノを持っているみたいね」

「……ふーん。天才が相手だか知らねぇけど、倒さなきゃ優勝はできないぜ。とりあえずサンキュな」

「ウフフ……応援してるわ。願わくば私の響ワタルに勝ってもらいたいものね」

 芹川は優雅に手を振り、マックスハートメンバーを見送る。

 バトルリングに先にたどり着いたのはマックスハートの方である。フォースアラートは少し離れている場所で、話しているようにも見える。


「――ええか、マックスハートは今大会から出場してるからって、甘く見たらいけへんよ? あそこのリーダーの響ワタルちゅうんわ、なかなか良い筋してはるからね!」

「エェ、ワカッテイマスヨ。ゴアンシンシテクダサイ」

「僕たちは、貴方の為に、貴方に恩返ししたくて、ここまで来たのですから」

「…………」

 フォースアラートのメンバーらしき数人が、輪になって集まっている。しかしその集団は、色々な意味で目を引く。その理由はすぐにわかる。車椅子や松葉杖などを持つ、障害者の人達が集まっているからだ。リトルウォーズの場に違う色を持つ集団は、明らかに注目の的になっている。

「みんな……もう、めっちゃ泣かせるで、ホンマに! ……でも、ここまで来たらみんなで優勝やで。みんなで勝利の達成感を味わうんや!」

 その集団の中に一人の少女がいる。身長は150cmもあるのか怪しいぐらいに小さい。夏の風になびくツインテールが活発なイメージを漂わせる。少女の激励に、その場にいた全員が呼応する。

「よっしゃっ! みんな勝ちに行こ!」

 その少女について選手と思わしき二人がついてくる。その後ろには十人は超える数の人がいる。恐らくはこれら全てが応援団のようなものなのだろう。


 少女がリング中央に向かう事に合わせて、ワタルも中央へと向かう。遠目からでも小さな女の子だと感じていたが、近づいてくるにつれ、少女の小ささは更に際だってくる。そして二人は中央でいよいよ向かい合う。少女の身長はワタルの半分しか無いのでは、と思えてしまう程の小ささである。

「確認してぇんだが……お前がリーダーなのか?」

「なんやぁ、もしかしてウチの身長が小さいからって舐めてるんやないか?」

 目の前の少女は小柄な体の割に、似合わない覇気を以てワタルにくってかかる。

「いやそれは無ぇ、オレサマは老若男女問わず、目の前にいる戦うべき相手とは、全力で戦ってみせるぜ!」

「むふぅ。それでええんや、ウチも手加減なんてされたらかなわんわ。……あっ、ウチの名前は梓(あずさ)=クゥ=コードベルや。宜しくしたってぇな!」

「何か難しい名前してるな……アレか、日本人と外国人との間に生まれるっていう?」

「そうやで、せやから目だってオッドアイやろ? 名前はいわゆる仮名や、ウチは家の都合上で本名は出せへんからな!」

 目の前に少女、梓に言われた通り、よく見ると梓の目の色は左右で違う。茶系の色と青い目をしている。しかし見た目は言われなければ、純血の日本人だと思ってしまう程である。

「そんな事よりも、名前は何ちゅうんや?」

「あぁ、オレサマは響ワタルだ。ワタルって呼んでくれて構わないぜ」

「ワタルかぁ、良(え)ぇ名前やないの、覚えとくわぁ!」

「……君達、自己紹介はそれぐらいにして、そろそろ試合ルールなどを決めてくれんかね?」

 これからの進行時間も見かねて、黒子が二人を急かす。黒い布きれを被っている為、表情は伺えないが、声色からして時間が押しているのが見える。

「まぁ、何の変哲もないけど1on1で良いよな?」

「構へんよ、ここまでずっと1on1やさかい。ほとんどのチームが1on1しかしてへんのちゃうの?」

「では予選四回戦。マックスハート対フォースアラートは1on1の試合形式で開始します!」

 自己紹介に、試合形式も済んだので、二人はお互いにチームベンチへと戻っていく。しかしワタルは黒子に聞きたい事もあり、再び中央に戻ってくる。

「黒子さん、聞きたい事があるんだけどよ?」

「ん、何だね? できれば早く戻って先鋒戦の準備をしてほしいんだが……」

「まぁちょっとだけさ。あの対戦相手の梓って子、本当に高校生か? 見たところ小学生に近くねぇか?」

「あぁ、彼女はいわゆる飛び級なのだよ。歳は確か今年で十二歳だったか十三歳だったか……定かではないがね」

「そ、そんな子がリトルウォーズ!? おいおい、時代は変わったなぁ」

「うむ。そんな事よりも早く戻りたまへ!」

 納得しながらも、焦りから苛立ちをこめてワタルを急かす。これ以上の行為は最悪、何かしらのペナルティを受ける可能性があるので、おとなしく黒子の言う通りにするしかなかった。

 急いでベンチに戻ると、桐華は既にスタンバイはできているようである。相変わらず二丁の魔法銃である「ガバメント」と「デザートイーグル」の装備だ。

「……何を話してたの、兄貴?」

「いやぁ、どうやら相手さんのリーダーは飛び級で、天才児。そして歳は十二、三歳らしい」

「そんな女の子が、リトルウォーズの参加チームのリーダー!? ……凄いな、僕にもできるかな……」

「何言ってるんだ、ヒロキ。お前はマックスハートのメンバーだぜ、そんな事を心配しなくても良いだろうに!」

 ワタルとヒロキの会話を無視するように、準備を整え終わる桐華。

「……行ってくる」

 桐華は緊張の色も見せずに、リング中央へと向かう。フォースアラートからも人が一人向かってくる。身長が高く、やせ形のスラっとした風貌の男である。持っている武器は、持ち主に非常に似た細長い長刀の木刀である。何よりもその男は、目を開けていない。それが唯一、不気味な所である。

「……目が見えないの?」

「エェ、ジブンハオサナイコロカラ、モウモクデス」

「…………」

「ダイジョウブデスヨ、ジブンハソレデ、ジュウブンニタタカエマス」

「……!? ……私の心を読んだの?」

 そう目の前の男は、桐華が思った事を口にしたのだ。

「メガミエナイ。ソノカワリニ、ジブンハミミガイイ。コノグライノ、キョリナラバ、シンオンヲキクノハタヤスイデス」

「……そうですか。よろしくお願いします。私は桜井桐華です」

「ジブンハ、フジサワシンジ、デス」

 軽い挨拶を済ませ、それ以上話す事はない、といったように桐華は距離を離す。

「……アナタハ、マケラレナイオモイ、ガ、アルヨウデスネ。シカシ、ソレハ、ジブンモイッショデス。ワガリーダーデアル、アズササンノタメニモ、マケラレマセン」

「……そう。……でも負けられない想いは、それだけは私は絶対に負けるつもりはない」

「ソウデスカ。イイシアイヲ、シマショウ」

 黒子の旗が高く掲げられ、そして大きな声で始まりの合図が宣言される。

「それでは予選四回戦の先鋒戦――始め!」

 旗が降ろされると同時に、四回戦の試合が切って落とされる。

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