表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします  作者:   *  ゆるゆ
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/87

つよい




 さあ、借金返済のためにがんばるのです!

 ヴィルの伴侶に、ふさわしくなるために!


 というわけで、今日も図書館にゆくのです!


 拳を握るノィユと一緒に、おそろいの角度で両親も拳を握ってくれる。


「いや、そんなにそろってなくてもいいんじゃないでしょうか、おかあさま、おとうさま」


 ちょっと恥ずかしくなってきたノィユに、両親が首をふる。


「何を言うんだノィユ、バチルタ家の連帯を示さなくては!」


 おかあさんが、やる気だ! めずらしい。


「皆でそろってると、がんばってるように見えるんだよ、ノィユ!」


 胸を張るおとうさんは、たぶん『謝る時も、そろってると心から真摯に謝罪しているように見える』と言いたいのだろう。


 さすが謝罪マスター!


 たぶん昨夜、壁の分厚い立派なお部屋を貸してもらったので、敷布とかを汚さないように気をつけつつ、久しぶりにちっちゃいノィユを気にしなくてよい、いちゃいちゃを、両親はたっぷりしっぽり堪能したらしい。


 お肌も髪も笑顔まで輝いている。

 やる気に満ち溢れている両親が、つやつやだ。


 ちょっとはずかしくなりつつ、ノィユは拳を掲げる。


「トートさまに送迎していただくことが、いかに分不相応かしっかりと自覚いたしましたので、本日は徒歩で図書館に向かおうと思います!」


「おー!」


 バチルタ家の拳が、そろってる。

 微笑ましそうに見ていたロダが拍手してくれた。

 はずかしいのに、ちょこっとうれしい。ありがとう!


 広大な敷地で馬を走らせるため、わずらわしい貴族のつきあいを避けるため、静かな場所を求めてなのだろう、王宮の近くに居を構えそうなネァルガ家の邸宅は郊外にある。


 王宮近くにある王立図書館へゆくには馬車に揺られて45分くらいなので、徒歩で行くと2時間くらいかかる。


 が、貧乏の強い味方、徒歩──!


 歩けば、いつかは着く。

 時間はかかるが、お金は掛からない!

 貧乏暇なしだけど、バチルタ家には時間はある──!


 しかも徒歩で頑張ると、馬車でぼーっとしてるのと違って、体力も筋力も持久力もついて、肺活量もあがって心肺機能が向上して、メタボの予防と改善になるしストレス解消になるし、頭の回転もよくなるんだよ! しあわせホルモンまで出るらしいよ。


 貧乏すごい!


 ちがった、徒歩つよい!



「じゃあ歩きましょう! おかあさまも、おとうさまも今までかつてないふかふかとお肉でぷよったら、唯一の武器が台無しですからね!」


 体形維持と改善にもぴったり!

 人間は動く生き物なのです!


「……唯一の武器……」


 おかあさんの目が遠くなってる。


「がんばろー!」


 おとうさんは自覚があるみたいだ。潔い!


「でもノィユは3歳だぞ。だいじょうぶか?」


「……あ──!」


 おかあさんの突っ込みに、はっとする。


 そうでした、大人の足で2時間なので、3歳児の足だと4時間!? もっと!?

 往復で日が暮れて、図書館で一冊も本が読めないあれだ!

 それだとまだいい方で、図書館に着くまでに力尽きる可能性さえある。


 きゃ──!



「おんぶしてあげるよ、ノィユ」


 ぽふぽふ頭を撫でてくれるおとうさんが、やさしい。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ