エピソード17
父のパソコンの履歴から、アダルトサイトを覗いてしまったのは小学5年生の頃の話であった。パソコンの履歴と言うものを知ったばかりだった俺は、丁度性に興味を抱き始めた年頃と言うのも相まってその卑猥なタイトルとURLをクリックしてしまったのだ。
結果、俺は興奮するどころかその内容に眩暈を引き起こし、それだけでなく吐き気を催して実際に嘔吐した。それは、当時の俺にとっては想像すらできない生生しいもので、人体の解剖を見ているようなグロテスクさすら覚えた。裸の女が男に跨ってゆさゆさしながら変な声を出しているその光景は、4年経った今でも鮮明に覚えている。その日を境に、俺は父親に対しどこか距離を置いてしゃべるようになった。そんなものを見る父親が、どうしても汚いもののように思えてしまうのだ。
父親だけじゃない、中学に入って授業で習うにつれ、ほとんどすべての大人がそんなようなことをしていると薄々悟り、俺は本気で嫌悪した。何となく、子供は女の人が一人で自然と作るものであるなどとバカなことを考えていた俺の脳内花畑は、現実によって徹底的に蹂躙された。
だからその頃、汚いことと全然関係がなくて、最も親しい異性であった凜奈は家族以上に心の支えであった。それゆえ凜奈に彼氏が出来たと言う報告は、俺にとっては大好きな幼馴染が盗られる以上の重みを持った出来事であったのだ。
もちろん、凜奈本人はきっと何も悪くない。悪いのは好きだった気持ちを伝えなかった俺で、勝手に父のパソコンと凜奈の部屋を覗いてトラウマを作ってしまった俺なのだろう。だけど、生理的な嫌悪感はどうしようもないのだ。まして、その嫌悪感が最も信頼していた幼馴染から発せられるのだ。
だからもう、どうしようもないんだ。




