表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイク!  作者: ぞえ
32/77

第三十一章 また、会う日まで

すげーことになりました。。。


「ガリア王!あれを、使うのですか?」

「はんっ!もはや我が国の兵士では奴を殺す事は出来ん!ならば、あの傭兵と一緒に各国を攻め落としてくれる!」

「わ、解りました」

「なら、速く準備をせい!」

「はっ!」


 ガリア王は参謀のムイに言いつけて、死霊計画を最終段階に持って行った。


 フィリス帝国の周りにはかつての大戦の後の荒野が広がっていた。そこには約十万の兵士の死体が埋まっている。

 死霊計画とは彼らを使った戦力拡大の実験であった。


「魔力一九四パーセント」

「術式全て展開出来ました」

「死霊魔法、詠唱終わりました」


 ガリア王は言った。


「うむ、では死霊計画を発動せよ」


 フィリス帝国周辺の荒野。

 その土から一本の手の骨が出て来た。それは地表に上がり、次に頭が出て来た。そして、一人の骸骨が姿を現した。

 骸骨は剣を天に上げた。

 それを合図かのように大地が鼓動をし、大量の骸骨兵が土から姿を現した。

 約十万の兵士。

 しかも、死んでもこちらには何の支障もない。


「ふはははははははははははははははははははははっ!見よ!これが、我が軍団!」


 彼らは中心部にあるオリビアへ進んで行く。


「行け!!各国を攻め落とせ!手始めにオリビアからだ!!」


 骸骨兵達はそれぞれの武器を持って、進軍し始めた。




 ほどなくして、俺達はオリビアに帰った。

 オリビアに帰る途中にある街。ゲンナと言う街に立ち寄った。すると、街の中は慌ただしく動いていた。


「おっ!ユウ!エミナ!」

「ヨ、ヨシュア!一体、どうしたんだ?何か、憲兵団の姿と見知っている傭兵の姿が見えるんだが・・・」


 ヨシュアは息を飲んだ。


「よく聞け。フィリス帝国がとうとう各国へ進軍し始めた。宣戦布告もなしにだ。更に、本国の兵士ではなく、ネスの使っていた死霊魔法を使って、二年前の大戦で死んだ兵士を蘇らせたんだ!」

「・・・嘘」

「いいか?さっき、偵察によると骸骨兵は真っ直ぐオリビアに向かっている。進軍が遅いのが唯一の救いだが、こちらの戦力が整わない。だから、途中にあるこの街を中心に防衛線を張って、少しでも時間稼ぎをしようとしているんだ」

「なるほど、事情はよく解った。それで、今の時点の戦力は?」

「オリビアにいた傭兵が来たんだが、それでも憲兵団と合わせて約五千。到底時間稼ぎにすらならねえ」


 五千・・・。奴らとまともに戦争をしようって言うのなら絶望的な数字だ。

 天才的な策士でも、厳しすぎる戦いになるだろう。


「ヨシュア、やっぱりオリビアに引かせた方がいいんじゃないのか?」

「だ、だが、他の国の援軍が来るには三日以上かかる。騎馬隊でも一日と半分だ。その間、俺達が踏ん張らないと、オリビアが戦場になっちまう」

「・・・・・・」


 ヨシュアに言う通りだ。

 民間人が多いオリビアでやり合うのは犠牲が出るかもしれない。しかし、俺にはまだ何とかなる一手があった。

 それには、覚悟が必要になると思っている。


「ヨシュア、敵がここに到着するのはどれくらいだ?」

「大体、三時間ってとこだ」

「三時間か・・・五時間あれば、ここからオリビアまで何とかなる距離だな?」

「あ、ああ。だが、こっちには民間人もいる、直ぐに追いつかれるだろ?だから、俺達がここで踏ん張るんだ」

「いいや、もっといい方法がある。犠牲も最低限で済む」

「マジか」

「ああ、大マジだ」


 ヨシュアは期待の眼差しで俺を見た。

 正直、俺自身はあまり俺の口からは言えなかった。言いたくなかった。が、

 俺はエミナを見た。


「?」


 首を傾げる。


「ヨシュア、確かにオリビアで戦うのはリスクが大きい。更に、今からオリビアに逃げたとしても、民間人が徒歩で逃げるには追いつかれてしまう」

「あ、ああ。そうだな」

「だったら、民間人が逃げれる時間を稼げばいいんだ」

「それを、俺達が作るんだろ?」

「ここで、俺達が死ねば、オリビアで戦う戦力の大半を失ってしまう。各国の援軍もギリギリになるだろう。それまでの犠牲者はどうしても出てしまう」

「・・・・・・」

「しかし、お前達が逃げれて、時間を稼げる方法が一つだけある」


 ヨシュアは暗い表情になる。エミナは心配そうな目で俺を見た。

 

「もう、答えは解ってんじゃねーのか?あの数相手に、時間稼ぎが出来そうな奴の事を。お前は知ってるだろ?」


 エミナも理解出来たように、表情を強張らせる。


「ユウ君ダメだよ!」

「だけど!これからの事を考えると、これが最善策なんだ。ヨシュア、必ず時間を稼いでみせる。頼む」

「ユウ・・・」

 

 ヨシュアはきっと俺を理解してくれる。


「頼むから、今すぐ傭兵と憲兵団を連れて、民間人の後を追ってくれ・・・」


 俺は彼の言葉を待った。

 

「解った・・・」

「・・・エミナを頼む」

「いやっ!私もユウ君と残る」

「エミナ・・・」

「だって、もしかしたら生き残れるかもしれないのよ?だったら、一人でも強い存在が必要でしょ?」

 

 エミナには生きて欲しい。俺にはそれ以外の思いがなかった。


「ダメだ。エミナはヨシュアと一緒に行け」

「いや・・・一緒にいたい」


 エミナ・・・。

 

「頼むから・・・行ってくれ。俺だったら生きて返るから」

「嘘。そうやって、いつも嘘をつく」


 エミナはそう言う。


「いいか、俺はお前の事が好きだ。愛してる。だから、お前には生きて欲しい。頼むから」

「だったら、私だってユウ君の事愛してる。あなたに死んで欲しくない」


 ここまで頑固だとはな・・・けど、エミナの言いたい事もほんの少し解るかもしれない。好きな人が死ぬかもしれない戦場に行かせたくはない。

 けど、それでエミナまで死んだら意味がないんだ。


「エミナ、俺はお前に会えて嬉しかった。エミナを好きになれて、本当に嬉しい。俺にも生きる意味が出て来た。けど、俺の復讐は終わってないんだ」


 夕暮れ時のオレンジの光が街を包む。


「ありがとう、エミナ。好きになってくれて、本当にありがとう」


 俺はエミナが反応するよりも速くに睡眠魔法で眠らせる。


「ユウ・・・」

「悪いな・・・後は頼んだ」


 ヨシュアにエミナを任せる。エミナは直ぐに馬車の荷台に寝かせられる。


「バカ野郎・・・お前がいなくなれば・・・」

「泣くなよ、男だろ?それに、相手はたかが十万程度の骨だ」

「ユウ・・・」

「エミナが起きたら伝えてくれ。俺は生きて帰って来る。と」

「ああ。絶対に帰って来いよ。お前も、任せた」

「任せてくれ。じゃあな」


 そう言って、エミナとヨシュアを乗せた馬車は走り出した。

 

「それじゃあな、エミナ。また・・・また、会う日まで」


 俺の視界から全ての馬車や馬が消え去ると、街の丘へと向かう。

 日は全て沈み、丘から見えるのは鎧に身を包んだ骸骨の大群だった。所々に松明が光っており、真っ直ぐこちらに向かって来ていた。

 


次回!

主人公の運命は如何に!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ