4話 入学式は息苦しい
俺ら新入生は大抵、1ヶ月前に卒業式をしている。
そのせいで、俺は今、息苦しくて仕方ない。
1人ずつ名前が呼ばれることが、全員が物語の主人公のように思わせてくれる。
そんなのをしてしまったら、俺らはこの簡素な入学式に耐えられない気がする。
退屈で仕方がなく、寝ようかなとも思ったが、俺の名字は綿谷だ。わから始まるせいで、後ろには大量の保護者がいる。隣に名字が和光の聡さえいれば良かったのに、不運にも、俺は一番後ろの列でひとりぼっちだった。
そして、前にはあの雪女がいた。着席の時、俺は怖くて仕方がないのに、あいつは羨ましそうな顔をしてきたのが憎たらしい。
まぁ、どれだけ長くても終わりがあるのはありがたく、入学式は2時間ほどで終わった。
そして1組から順に、ぞろぞろと体育館の出口へ歩いていった。
そのあと、教室に着いてみんな各々の席へ座った。
初日というのもあって、俺はずっと周りを見回してた。けど、内心では誰となら友達になれそうかを探してた。
隣は女子だから話しかけづらいし、メガネのthe優等生みたいな話しかけづらそうなやつとかもいて、自分の性格にイライラする。
そんな中で一つわかったことが、みんなもずっとソワソワしてる。そして、誰1人として口を開いていない。
前の席が聡だから忘れてたけど、俺ら以外はたぶんみんな初対面だった。たぶん同じ中学のやつくらいは居るんだろうけど、深い関係の奴はいないように見えた。
聡はというと、ペンを片手にずっと紙に向き合っていた。
「お前なにしてんの?」
聡の背中を人差し指で突いて聞いてみた。
「お!これかー」
気味の悪い笑顔で、俺に紙を見せてきた。
そこには「坂井愛花告白大作戦!!」と、書いてあった。
「言いたいことはいっぱいあるけど、まず坂井愛花って誰?」
「誰ってー、あの一番前の子だよ!!」
なんとなく分かってたけど、こいつの脳みそは手術された方がいいとは思った。
「じゃあ次、告白大作戦。まぁネーミングセンスは置いといて、それは一体何だ。」
「言葉のままだよー!俺が、あの子とどうやって付き合うかだよ!」
「気が早すぎるだろ。あと、声も知らない相手なんて好きにならないだろ」
「ちょっとー、俺と何年の付き合いだ?俺は正直メンクイだ」
「誇らしく言うなよ」
俺らの会話もだけど、みんな周りの人に声をかけ始めて、教室全体が賑やかになっていた。
そんな時、教室のドアが開いた。
続
次は聖なるクリスマスにあげますよ




