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12歳まではダメ!約束!こう言ってなんとか乗り切って、食事の準備ができたとメイドが部屋に呼びに来た。
少し疲れた様子のみんなと、だいぶやつれた王様が座っている。
食事が始まった、この感じの食事は食べた気しないんだよね。
スカイル様の婚約の話は、すぐに両親に承諾が出て、飛んで帰ってきたそう。
初めて行く場所だから行きは魔法を使えずに結構時間かかったらしい。
ノーラさん本当に良かった。
あとは、明日ユニオンにみんなで揃って行くことになった。
もちろん王様も一緒。
「今日は疲れた。エクシル、今晩も頼むぞ。」
え、それはちょっと待って。
「今日は王様と一緒がいいな。」
王様が目を細めて僕を見た。
僕も王様を見返すとはっとした顔した。
「そうか、たまには良いかもな。よし、余と休むと。」
「なりません。」
大地を揺さぶる様な声を出したのにも関わらず、エリザ様は目を瞑ったまま平然と食事を続けている。
「あの、エリザ?」
「なりません!」
呆気にとられる王様と僕。
「あなたは疲れているのですからエクシルの相手をしてあげられないでしょう。エクシルは今晩もわたくしと、です。」
王様がどんどん小さくなっていくように見えた。
すまんエクシル、言葉を出さずに口だけで僕に伝えてきた。
全身の力が抜けた気がした、逃げ場が、ない。
ん?ロビン?あ、き、ら、め、ろ?ほんとどうしたのロビン?!
「パレントさん。」
「今日は街に出てお酒でも飲んでこようかな、ねぇ村長。」
「そうですね、一緒に行きましょうか。ルエットとライムも一緒ですがよろしいですか?」
大人!ずるい!
「仲がよろしいようで何よりですよ村長。」
「ええ、ライムがあんな感じですから、離れなくって。ルエットも心配してついてきてくれています。私の体も看病してくれましたし。弟たちは王宮を毎日探検して兵と仲良くなっていましたよ。それで、もう寝てしまって。」
「それは、弟さんたちここを離れたくないのでは?」
「いえ、それが、冒険者になるって言っているもんで、冒険者は根無し草だ!なんて、どこでそんな言葉を覚えたのか。」
「あはは、これはこれは、いいお酒が飲めそうだ。それでは陛下、殿下、お先に失礼いたします。エクシル、頑張るんだよ。」
何を!
「エクシル君、気をしっかりね。」
どういう意味!
去っていくずるい大人2人の後姿をじっと見つめる。
恨めしそうな顔をしているのが僕だけじゃないことに気が付いた、王様だ。
「こうなったらお忍びだ。世を忍ぶ仮の姿だ。待っていろパレント。」
ぼそぼそと何か言ってる。
意外と元気?
「さあ、わたくしたちも部屋に戻りましょう。本日も美味しゅうございました。」
メイドが椅子を下げてエリザ様が立ち上がる。
他3人も同時に立ち上がった。
そんな中、マリー様は何をしていたかというと、ずっとロビンを見てにやけている。
メリーも。
「エクシル、行きますよ!」
僕は最後にスカイル様を見た。
スカイル様は僕に片目を閉じた。
まったくこの人は何を考えているのかさっぱりわかんない。
すぐにノーラさんをおでこをくっつけて手をもじもじ触りあってる。
もう2人の世界だ。
ロビンの言うとおり諦めよう。
夏の夜は短い、でも僕には長い夜になりそうだ。
-
部屋に戻ると早速、両手両足をベッドに縛り付けられ、口の中に布を突っ込まれてその上にまた布で縛られる。
ヨシュアさんの手際の良さが怖い。
すると全員が魔術書を開いて僕の体と本を行ったり来たりして観察している。
まず上半身が剥かれた。
棒の先に毛の付いたもので僕を撫でまわして、くすぐったすぎて体を捩った。
「なるほど、確かに隆起いたしますね。」
別の属性の魔術書なのにそのページだけは一緒なの?!なんでみんな頷いてるの!
下半身も剥かれた。
また毛のついた棒でくすぐられる。
「筆がこんなところで役に立つとは思いませんでした。」
「ここ、ここをさわさわしてみてほしい。」
やめて。
「おお、まるで別の生き物だ。」
「すごい。」
「おいしそうね。」
「次は、うん?エクシル?泣いて、いるのですか?!」
縛られていた個所がすべて外されて口の中からべとべとになった布を吐き出した。
服を着てベッドから降りて、部屋の隅にうずくまる。
「あ、あの、エクシル?」
「ひどいよ。」
涙ながらに訴えた。
全員僕から遠ざかる。
ひそひそと話す声がこちらにも聞こえてきた。
「可哀そうなことしたわ。あたし、どうしよう。今のあの顔可愛すぎて耐えられない。」
「泣いた顔もかっこいいの。」
僕の顔を見てエリザ様がはっとした。
「わたくしとヨシュアは契約時に、エクシルによからぬことを働けばエクシルに弄ばれどんな辱めを受けることも厭わない、と罰の契約を交わしました。」
エリザ様とヨシュアさんが紅潮した顔で僕のところにやってきた。
2人とも目が正気じゃない。
「エクシル、申し訳ありません。まさか泣いてしまうとは、どうか謝罪の気持ちとして、わたくしに、慈悲を。」
「エクシル、もう駄目だ。お前にめちゃくちゃにされたくって仕方がない。頼む、私を鎮めてくれ。」
僕の方が焦る。
契約ってこんなに効果が出るものなの!?しまったここは部屋の隅だ!
「まさか、2人ともこれを狙って?」
「もしそうだとしたら、ずるいんだから!エクシルはあげないもん!!」
脱兎のごとくセシリアが僕をさらっていく。
どこにそんな力が。
リタさんとセシリアに挟まれて、手を前に挙げながら僕の方に2人が一歩また一歩と迫ってくる。
「ああ、それも、引き剥がされることにも快感を覚えてしまう!」
「そんな目で見るな。疼いて、疼いて!・・・見て、見てぇ、私を、ああ!」
なにこれ怖い。
セシリアとリタさんに守られながら、2人が何度も絶頂に達して罰の効果が切れて、全員疲れ果てて寝てしまった。
ベッドは怖くて使わなかった。
-
次の日、誰よりも早く目覚めた。
リュックと着替えが綺麗にされて部屋に置かれていた。
あのメイド、この部屋のこの状態を見てなんとも思わなかったのかな。
エリザ様とヨシュアさんが目覚めたところで、契約を変えてほしいことを伝えた。
最初は契約を切られてしまうと思ったらしく、すごくどんよりした顔をしていたけど、罰だけをなくして契約し直してほしいと言ったらすぐに顔が明るくなった。
再契約して、朝の食事。
「パレントさん、昨日はどうも。」
「いやあ村長おはよう。そこまで進展してるなんて思わなかったよ。」
大人たちが意味深な会話をしている。
王様もニヤニヤしてる。
昨日は楽しかったのだろう。
「朝からこの話題はやめましょう。」
「はは、私は別に構わないと思いますがね。」
パレントさんが全員を見渡した。
心当たりがありすぎて目がキョロキョロする。
「エクシル、君はいいんだ。この国の未来がかかってるんだから。」
なんて?王様も深く頷いてるけどなんで?
「さて、この後みなでユニオンに向かう。プレートを戻してもらうことになっているな。してキエフ、本当に今日発つのか?もう少しゆっくりして行っても良いのだぞ?」
「陛下、御心遣いはありがたいのですが、これでも一村の村長です。村を蔑ろにするわけには参りません。」
「そうか、残念だ。昨晩のあれ、頼むぞ。」
「ええ、承知しました。すぐにでも取り掛かりますので。みんなはどうするのかな?私は空間魔法ですぐにゼコンに戻るが。」
にこにこ顔で村長が僕ら3人を見た。
「村長だけで構いませんよ。修行に出ると約束のスカイル殿下、私パレントがゼコンにまで引率いたします。」
「おお、そうでしたか。私も腕が鳴ります。結婚の儀は修行を終えた後でも良いか?ノーラ。」
「ダメです。」
昨日に引き続き、低い声が唸る。
「!!母上!」
「いろいろ急ぎですが、結婚は今日挙げていきなさい。結婚の披露宴などは後でも構いません。修行がいつ終わるか分からないのに、ノーラを待たせるのではありません。先方のご両親にも失礼です!」
すごい剣幕だ。
スカイル様もたじたじになってる。
「エリザ、今日は、どうした?」
エリザ様が顔を両手で覆った。
「今日発つというのに、昨晩わたくしは何という過ちを・・・。あなた、わたくしは禊のため、エクシルと共に王宮を留守にしますわ。よろしいですね!」
昨日の現場にいた人以外、みんな一斉に僕を見た。
ロビンが勢いよく立ち上がる。
「ついにか!エクシル!ついに仲間が!」
「いや、まだだよ。」
「んだよ。」
少し文句が混じったような独り言を放ちながらロビンが座った。
「ロビンはどうするの?」
すごい形相だ。
ロビン、すごく機嫌悪そうだけど僕全然関係ないからね!
「ああん?俺もマリーとメリーを連れて歩いて帰るぜ。オヤジ様はあとでゼコンに来てもらって俺のとーちゃんかーちゃんに会ってもらう。」
「大丈夫かな。」
「何が。」
「ロビンの両親だよ。」
「んー、先に村長に説明しといてもらえると嬉しーんだけどな。」
村長はまだにこやかだ。
「構わないよ。確かに心構えは必要だね。私からある程度説明しておこう。」
「おなしゃす。」
「エクシル君、君はどうする?」
「ロビンと一緒に向かうよ。修行とか野営とか楽しみだね。」
ピリピリしていたロビンの雰囲気が一気に柔らかくなった。
「そうだよな!野営する時はいつもみたく一緒に2人だけで寝ような!!」
今にも飛び上がりそうなほど喜んでる。
ロビン、そこまで・・・。
ここにくる前はパレントさんたちと寝てたじゃんか。
「細けーこたぁいーんだよ。」
声に出てたらしい。
「王妃殿下が出られるということは私も同行せねばなるまい。陛下、殿下の身の安全は私めにお任せください。」
「何故余だけ置いてけぼりなのか。ヨシュア、貴様はただエリザの護衛にかこつけてエクシルについて行きたいだけだろう。」
「ええ、そうでございます。エクシルが私を駆り立てます。」
清々しいくらいの職務放棄宣言!
そして即答!
「陛下、一国の王で有らせられる陛下がふらふらと王宮を出入りされては混乱を呼びますゆえ、しっかり手続きを踏んでからお出になられてください。置いてけぼりが嫌なら村長殿と綿密に計画を練るべきでした。」
すごい、ヨシュアさん王様に意見した。
王様拗ねちゃった。
「ヨシュア、貴様、余に楯突くというのか。エクシル、お前の伴侶だろう、どうにかしろ。」
寂しさの矛先が僕に。
「王様の手続きはそんなに大変なの?」
「ん?ああ、影武者を立てなければならんし、余の影武者はまだおらんから本当の留守となってしまう。その間に他国に攻め込まれたり使者がくると面倒だ。」
「王宮と連絡を取る魔法みたいなのはないの?ロビンのテレパシーみたいなの。」
「テレフォニクスの魔道具ならあるが。それがどうしたのだ?」
「そしたら誰か来たらその魔道具で呼んでもらって、スカイル様の魔法で戻るのはダメ?」
さっきまで指と指を絡めあっていちゃいちゃしてたスカイル様が怒り出した。
「貴様、エクシル。私は都合の良い輸送屋ではないのだぞ?」
「スカイルで、・・・あ、あなた、多忙な陛下のためやってあげたら?」
「あ、あな!!!ふははは、エクシルその案、私が貰い受けた!いかがなさいますか!陛下!」
「ちょろい。」
「ちょろいな。」
「ちょろい。」
「ちょろすぎ。」
「ちょろ過ぎない?どうなってんの師匠。」
「弟子、ちょろすぎ。」
僕ら幼馴染の言葉にリタさんやパレントさん、村長まで乗っかってきた。
要領を得ないエリザ様他は僕たちを見てなんだか頷いてる。
ノーラさんが片目を瞑った。
本当に良い人だなぁ。
僕も真似して片目を瞑ろうとして両方閉じてしまった。
ノーラさんあっち向いてる、あれは笑ってるな。
「よし、エクシル、良い案だ。試してみるのも悪くない。頼んだぞスカイル。エリザ、マリー、馬車を。」
「いいえ、わたくし歩きますわ。」
エリザ様が口を拭きつつ涼しい顔をして王様に言い放った。
「それでは身の安全が。」
「わたくしには冒険用の服があります。街でも着用しましたがわたくしと気が付かないものもおりました。それに、馬車で外に出るのでは、それこそ王宮が留守と見破られかねないのでは?」
「ううむ、迂闊。その通りだ。余もここを出たら冒険者だ。しかし、この大所帯に挑んでくる命知らずもおるやもしれんし。」
そうこうしているうちに食事も終わったみたいでパレントさんが立ち上がった。
「陛下、皆さん、まずはユニオンに行きませんか。話は道中でも。」
パレントさんのその言葉が食事の終わりの合図になった。
エリザ様はメイドを呼んで着替えの準備を進めるため部屋に戻った。
いつもどおり3人も続く。
いつの間にかいつも通りになってたけど、これも今日で終わり、見納め。
「どうしかしたかい?エクシル。」
「うん、パレントさんとあんまり一緒に行動できなかったね。」
「そうだね。でも良いのさ、これで。エリザ様を味方につけられたのは大きいね。」
「うん、でも大変だった。」
「ははは、何を言っているのさ、大変なのはこれからだよ。一国の妃に惚れられてしまったんだ。どこに行くにしてもついてくるって言い張ると思うよ。どうする?」
「嬉しいけど、危険な目にはあってほしくない。」
「そうだね。ダメな時はダメ、とちゃんも言えるようにしないとね。」
パレントさんが笑顔で僕の顔を覗き込んだ。
「うん。大変だ。」
「そう、大変だ。さあ、支度をしておいで。」
「うん!」
僕はセシリアたちを追いかけた。
部屋でみんなと一緒に着替える。
王宮の着替えはメイドからベッドに置くように言われたのでそのとおりにする。
穴が塞がれて綺麗になった練習着を着て、僕の準備は終わった。
みんなは昨日買った服を、まだ着替え中だ。
エリザ様はひとりでその服着られるのだろうか。
「この服はこうやってこうです。よろしいですか?」
「ここを、こうね?」
大丈夫だろうか。
目があってしまった。
「ちょっとエクシル、終わっているのなら手伝ってくださらない?」
「エクシル様、ここをこうしてこうでございます。」
「これがこうなって、こう。でこう。」
「あん。」
「よく分かりましたね。」
「覚えてるから。」
エリザ様のちょっとした反応は無視をしておいて、メイドと少し心が通った気がした。
「エクシルがいれば着替えも安心できます。」
エリザ様の着替えが終わって、さあ出ようとした時みんなの着替えが半端なことに気がついた。
僕、手伝わないいいい。
「エクシル、前のボタンを締めてくれないか?私からではよく見えなくて。」
小脇に抱えられて無理矢理連れてこられた。
ヨシュアさんのボタンをとめる。
「ありがとな!エクシル。」
さて、ドアを。
「私のこのベルトうまくとまらなーい。エクシル手伝ってーん。」
腕が引っ張られる。
ベルトって。
普段そんなにキツく締めてないでしょ。
はいできた。
「もっと他の場所も触って良いのよん?」
軽く抱きしめられて悪戯な顔をして僕を見下ろす。
艶っぽくて、そんなリタさん嫌いじゃないんだけどな、今じゃない。
僕が離れると、ああん、て切なそうな声を出した。
最後はセシリアだけど、あれ?完成してる。
「あのねエクシルぅ。最後にね、エクシルのをここにね。」
スカートをたくしあげない、下着もつけてて完璧だよ、足りないのもなど何もない。
セシリアの手をそっと引いてドアの前に来た。
急に手を取ったものだから顔を赤くして黙ってるセシリアと一緒にドアを開けた。
「玄関ホールに向かいましょう。ついてきてください。」
メイドが先頭に立ち道案内をする廊下で、僕の手を代わる代わる4人と繋ぐ。
リュックを背負っていてセシリアの定位置今塞がっている。
結局、人差し指と中指、薬指と小指、4人の片手と僕の両手が塞がった。
この手の繋ぎ方、指と指の間が結構痛い。
玄関ホールにつくと、どうやら僕らが一番早かったみたいだ。
「それでは皆様、行ってらっしゃいませ。」
メイドが僕の両頬に手を当てて口に直接キスをした。
突然の事すぎて何が起きたか最初わからなかった。
「私のこと、覚えていてくださいね。」
そう言ってメイドは立ち去って行った。




