表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と色の世界N  作者: 八八十
差別と陰謀と契約・後
45/50

45

ユニオン周辺は活気があり、人の往来も多い。

そして露店が立ち並んでいる。

祭り以外での露店販売は禁止されていて、祭りの時に遠方の迷宮から持ち帰られた珍しい武器や防具などがこの時期だけ並ぶ、とヨシュアさんが言う。


「わたくしのこの杖も迷宮から出たものです。優れた性能であるとのことですが、わたくしはまだこの杖の性能を引き出せてはいないようですね。」


エリザ様の杖もホークアイと同じように魔法石が4個ほどついているのが見えた。

まだ魔法石がひとつも光ってない。


「私もそろそろ迷宮産の武器をこの手にしたいところだが、中々高いからな。」


「あたしのは迷宮産よ。自分で勝ち取ったものだから愛着があるわ。」


「私のはまだ市販の杖だから、ヨシュアさんと一緒で欲しいな。ね、エクシルぅ。」


さっきヨシュアさんが高いって言ってたよ。

僕に買えるものなら買ってあげたい。

ロビンのも買いたいけど、今日はいいか、マリー様に聞いてからにしよ。


「杖、見に行かない?」


「良いの?やったー♪」


ヨシュアさんとエリザ様のおかげで露店の品物を通行人に邪魔されずに見ることができている。

絶世の美女がいて驚く、それがエリザ様だと知ってさらに驚く、そんな光景が僕たちの周りで繰り広げられていた。

セシリアが露店の前で立ち止まる。


「いらっしゃい。随分と可愛いお嬢ちゃんだね。格好からして回復魔法の使い手かい?いいねお嬢ちゃん、今日は運がいいよ!さあ今日紹介するのはこれだ!南の特級迷宮ゼインローブから出たこの杖だ。この迷宮は一面海の迷宮で海に住む強力な魔獣が多く出ることで知られていて、船はすぐに沈められてしまい、魔法で海を渡ることができなければ攻略不可能なところだよ。さてそんな迷宮から出たこの杖は、光の青属性にぴったりな代物で、この先にあしらわれた大きな魔法石は光の青の魔法を強化するのに役に立つ珍しいものだ。光っているのがわかるかい?そしてこの大きさ!かなりの強化が期待できるってもんだ。」


確かに、杖の先に大きな青い光る魔法石が嵌め込まれ、支柱にも2つほど嵌め込まれているのが見える。

僕には効果を見ることができないけど、店主には本当のことを言っているのだろうか。


「店主、それは真だろうな。」


「これはこれは、たいそうな美人だね。お嬢ちゃんのお姉ちゃんかい?」


エリザ様、少し嬉しそうだ。


「持ってもいいか?」


「普段なら触らせたりしないんだが、こんな美人が持ったものなら箔も付くだろう。持ってみてくれ。」


エリザ様は色の緑だけど使ってみるのかな。


「エクシル、リカバー。」


・・・。

今かけられてもわかんないよ。

って、なんだ?!杖から水が噴き出して渦のように空に舞い上がった!

なんだあれ、その前にエリザ様は?!上を見上げてる、良かった無事だ。

エリザ様のそばに寄って勢いよく渦巻く水流を見守る。

水流がとまり飛沫が降り注ぐと、竜?!そんな感じの魔獣が姿を現した。


「ケートスだ!」


誰かが叫ぶ。

人が我先にとこの場から逃げ出して残ったのは僕たちだけになった。

底の深い場所の水の色のような体で尾に行くほど色が濃い。

尾ひれが二股に分かれていて、長い背びれと面積の広い腹びれ、腕が2本生えていて、腕からもひれが伸びている。

頭は、何かに似ているけど思い出せない。

ただこれが竜だと言われればそれをそのまま信じずにはいられないほどの存在感がこの魔獣にはある。

封印から解放されたことを喜ぶように悠然と街に雨を降らしながら空を泳いでいる。


「貴様!」


エリザ様が店主に怒鳴ったが、店主も上を見上げて腰を抜かしてしまっている。

この店主もこうなることを知らずに仕入れて、ここの持ち運んでしまったようだ。


「殿下!ここはひとまず下がりましょう!」


「民を置いて逃げろと言うのか!」


「殿下!ケートスは特級の水棲魔獣の中でも上位に名が上がるほどの、ミスリル階級でパーティを組んで対策を練ってようやく対抗でき得る魔獣です!どうか下がってください!」


「あれは!本当にケートス!」


あの人は?ユニオンの服、受付の人か?


「おい、ユニオンの!腕の立つ冒険者は?!」


「今はこの王都にはおりません!スタンピードの起きたデポプ付近に行ってしまって。」


「!くそ!」


ケートスがこちらを向く。

ひとしきり泳いだケートスが、今度は狭い空間に押し込められたことに怒るように、その押し込めた者が僕たちであると決めつけるように、口のあたりから水を放った。

その水は杖を持つエリザ様に向けて発射され、ヨシュアさんは間に合わないと背中で受けようとしている。


「アクアアーマー!」


「フリーズバリア!」


重ねて掛けられた防御の魔法でケートスの水の攻撃が軽減されても、ヨシュアさんが苦痛に呻く。

杖を狙っているのだろうか。

ヨシュアさんを介抱するエリザ様の手から杖を取り上げて、みんなから離れてケートスの様子を窺う。

少しずつ、少しずつ、みんなから距離を取っていく。


「エクシル、杖をよこせ!」


それはできないヨシュアさん、今確かめているところ。

両の赤い目がギョロギョロと全く違う動きをして、焦点、視線が僕に向いた。

標的が変わったのを確信した。

さっきの溜めはなく、細く速い水流を発射して、僕の練習着を破く。

くそ、買ったばかりなのに。

攻撃が直線で避けやすいが、当たればひとたまりもない。

門は、どっちだ?一旦ケートスが視線を切って街の出入り口を探す。

あった、あそこだ、こいつを誘き寄せられるか?

ケートスに視線を戻すと急に素早く動き始め、僕に向かって体当たりをするように地面すれすれを速く泳ぎ始めた。

ここで戦っては街の人が、でもこれは好都合だ。

僕は門に向かって、ケートスに背中を向けて走り出した。



「エクシル!あんたたち追いかけるわよ!」


リタの言葉を言うが早いか、全員ケートスに向かって走り出す。

戦闘用の服で良かったと4人は安堵したが、ケートスの泳ぎが速くなる。

武闘派でない3人が遅れ出し、ヨシュアだけがケートスに離されずについて行っている。


どれだけのスピードで逃げているのだ、エクシルは。


「殿下!先に行きます!」


体が軽い、あの靴屋で買った靴が私と相性が良いのか?足に羽が生えたようだ。これなら、追いつけるかもしれん!


ヨシュアがさらに加速する。



くそ、こんな時に!

全力で逃げる僕にケートスは足を止めさせるつもりなのかアイシクルを放ってくる。

このアイシクルが厄介なのは何かにぶつかったりするとそこが凍りつく。

足が氷に取られないように、凍りつかないように左右に大きく振って走るしかない。

そこの十字路を左だ!

ケートスが止まらずにそのまま直進していく。

この道の先右に出て、大通りに出た!このまま真っ直ぐ、空が、暗い?

上を見るとケートスの背中が降ってきていた。

海に住む鯨という生物がいる。

鯨が海から勢いよく飛び出して、背中で着水する行動ととることがある。

本で読んだブリーチングという動作のそれだ。

地面に背中を叩きつける、そう思った。

地面から飛沫が上がり水を頭からかぶって、足を掬われた。

状況を何も知らない通行人や馬車を巻き込んでしまったけど安否の確認をしている暇はない。

なんで、水が?!自在にフィールドまで操作してるのか?着水する部分を海のフィールドに変えているのかもしれない。

飲まれたら、地面に沈むのか?

なんだっていい、ブリーチングの直撃を食らっては終わりだ。

あとは直線、逃げ切るだけだ!起きなくちゃ!


「エクシル!行くぞ!」


ヨシュアさんが僕の手を取り引き起こす。

ケートスは宙に戻りまた悠然と泳いでいた。

ケートスが急降下して地面に潜った!

波打つ地面から垂直に体を持ち上げて、沈んでいく。

足元!急いでこの場から離れると、ケートスが地面から勢いよく飛び出してきた。

あのまま突き上げられて宙に放り出されたら、あのアイシクルでも水の射出でもされて氷漬けか体を穴だらけにされて終わり。

ブリーチングによって引き起こされる波打つ地面に足を取られつつも走って逃げる。

ケートスは足元から何度も迫り上がってきては地面を揺さぶった。

南門から入ってくる人や馬車が前から迫ってくるケートスの姿を見て脇道に入るかして逃げていく。 

水を突き破る音と水に叩きつける音で周りの音が余り聞こえてこない。

状況を見ていた門兵が、橋の上にできる長蛇の列を街側の詰所に避難誘導をしているのが見える。

門兵のひとりが立ち向かおうとしているのか、道の真ん中に立ち剣を構えている。

あの人は、僕を西の門に向かわせた門兵だ。


「来いケートス!私が相手だ!」


そんな遠くから叫ばなくても。

構えは基本の中段、彼からプレッシャーのような威圧的な何かを感じる。

近づくにつれ、ケートスが目の前に迫るに連れて剣先がピクッと動いているのが見えた。

狙っているのは突き上げの瞬間、飛沫が上がる前のほんの一瞬。

顔を出したその一瞬を狙っているようだ。

ゼコンで走り込んだおかげもあるけど、あの門兵にこの場を預けたい、そう思うと自然と速く、そして狙いやすいようにあの門兵に向けて直線で走っていた。


私の全力に並走できるのか、エクシル。まだ8歳だぞ。さすがはそう何度も死線を越えていないな。考えていることはわかる。私もその策に乗らせてもらう。


ヨシュアさんも僕の考えていることがわかったみたいだ。

2人して門兵に向かっていく。

一回、また一回と地面を波立たせ揺らすケートスを見据える門兵の剣の動きが止まった。

あと2歩と門兵に迫った時、目の前から消えた。

滑り込みながらも振り返ると、ただ上に打ち上がったケートスの姿があった。

そのまま尾ひれから地面に落ちて飛沫を上げる、海のフィールドが解除されていない!


「まだ!」


僕の言葉は門兵に届かなかった。

敵を斬り捨てたあとの残心、敵の状況に注意を払うほんの少しの時間、そこを間髪入れずに仕掛けてきたケートスに狙われ、大きな口の中に門兵は飲み込まれていった。

目の辺りに切られた跡が残っていた、それも束の間、水が集まり修復されていくのがわかる。

僕たちは踵を返して橋を全力で渡り始めた。


「くそっ!くそぉっ!」


ヨシュアさんが叫びながら橋を渡っている。

同じ王に、王宮に仕える者として同朋の死は耐え難いのだろう。

ケートスは?この影は、また?!背中から橋へと落下してくる!

もう少しで橋を渡り終えるというのに。

真後ろでケートスが橋に落下し、橋を砕く。

僕らはその衝撃で瓦礫と共に前へと弾き飛ばされた。

ヨシュアさんの体に力が入っていないのが見えた。

瓦礫が頭に当たり意識が飛んでしまったのかもしれない。

宙に投げ出されたヨシュアさんの頭を守るために両腕で抱きかかえた。

地面に叩きつけられた衝撃も、背中のリュックが緩衝の役割を果たしてくれた。

ケートスは橋を壊すために海のフィールドをわざと出さなかったみたいだ。

頭から血を流している。

リュックを枕がわりにしてそっとヨシュアさんの頭を置くと、後ろから影が近づいてくる。

誰だ。


「やあ、早かったね。」


僕が振り返った先にいたのは見慣れた影だった。

エクシル(所持金:77ガルド500ジルバ)

種族:人間

階級:銅

武器:ホークアイ

属性:(NON) ((LIGHTS)赤黄、(COLORS)紫空赤)

才能:融合(FUSION)学習(LEARN)

技法:・威風 ・消失 ・赤い玉 ・紫の球

覚えた技

・光

赤:百花繚乱、屠龍

黄:サジタリウス

・色

紫:パイロクラスティックフロウ

空:アブソリュートゼロ

赤:シールドブロウ


セシリア

種族:人間

階級:銀

武器:杖

属性:(LIGHTS)

才能:叡智(WISDOM)

絶技:白い風?

魔法

・リカバー ・ハイ=リカバー ・アクアアーマー ・アイシクル ・ウォータースラッシュ ・フルード ・アナライズ ・コントラクト


リタ

種族:人間

階級:ミスリル

武器:杖

属性:(COLORS)

才能:増幅(AMPLIFY)

絶技:アブソリュートゼロ

魔法

・リカバー ・ハイ=リカバー ・生命力残し ・フリーズバリア(防御結界) ・アナライズ ・コントラクト ・アンタークティカ


エリザ

種族:人間

階級:金

武器:杖

属性:(COLORS)

才能:?

絶技:?

魔法

・リカバー ・リカバリーズ


ヨシュア

種族:人間

階級:金

武器:剣

属性:(COLORS)

才能:?

絶技:?

魔法

・フレイム ・エンチャント(=アクア)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ