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光と色の世界N  作者: 八八十
出発と再会と腕試し
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僕を呼ぶ声に振り返ると、長い靴に緑の服でベルトとバッグに背中に弓と矢筒を背負ったマフラーを巻いた茶色の髪の男の子、杖を持って全身白の服で白の帽子の金の髪の女の子、たまご色の長い服の中に黒い服を着た黒髪で耳の長い男の人がこちらの様子を窺うように立っていた。


「ロビン、セシリア。」


幼馴染の名前を呼んだ。


「エクシル、お前、生きてたんだな。」


「エクシル!」


二人とも僕の名前を呼ぶ。

でも、どこか遠く、初めて出会った人のように、繋がりが薄く感じられた。


「うん。」


何で答えたら良いかわからなかった。


「ぐるるるるる!」


セイヒョウだ。

あいつは、僕らと一緒に過ごしたやつだ。

僕が見間違えるはずがない。


「そのセイヒョウ、知ってるんだろ?お前が村から追放された次の日、テイムした俺の相棒だ!ずっと監視させてたんだ!無属性のお前をな!」


「これはこれはパレントさんではないですか。あなたのような偉大な方にお会いするなんて、同族として光栄です。私はパドレ。お初にお目にかかります。今私はこの子らの育成に携わっております。」


「パドレ・・・。かつて燃える谷で起きたスタンピードを鎮めたという英雄の一人か。」


スタンピード?

余計なことは考えるな!

でも、すごい人に修行をつけてもらっているってことで良さそうだ。


「あは、私のこと、よくご存知で!そうです。この子らの2人は非常に優秀でして、育成のために私がユニオンから派遣されました。最初はこのような辺境の地に送られていささか憤懣やる方ない心持ちでしたが。いざ2人を目の前にすると、私は非常に重要な立場を任されたと感謝したくらいです。さて、あなたのそのそばにいる子は、一体どんな子どもなんでしょうね。あ、そうだ言い忘れました。デポプの村からですが、もしエクシルなる子どもを見つけたら始末するように、とクエストを受けております。この子どもたちもそうですので、容赦なく達成させてもらいますよ。折角ですからここイースの慣例に則って、子どもたちでやってもらいましょうか。良いですね、子ども同士の果たし合い。近年稀に見る傑作の悲劇となるでしょう。」


「そういうことだ、エクシル。俺らがお前の無属性からの苦しみを解放してやる!」


僕を殺すクエスト。

ロビンはやる気満々だ、セシリアは、杖を体近くで握りしめて内股になってる。

これは迷ってる時のセシリアだ。

僕は、セシリアと一緒だ、やりたくない。

パレントさんが僕の隣に並ぶ。


「エクシル。向こうの子どもたちの属性や才能は?」


「男は光の黄色で射撃、女は光の青で叡智。」


「属性と才能の相性が良いな。逃げても追ってくるだろうし、逃げ切れないだろう。あのセイヒョウは私たちと一緒にいたやつみたいだね。腑に落ちない点が幾つかあるが・・・。こうして真正面から引導を渡してくれるだけマシか。」


「やるしかない?」


「ああ、そうみているよ。」


覚悟を決めろ。

ロビンはもう弓を左手に持ってるぞ。

一歩前に。

ん?なんだ?足に当たった。


「私が手を出さなければ、パドレも手を出すことはないだろう。逆にパドレが来るなら私も全力で相手をする。エクシル、その落ちてる盾、拾っておきなさい。使えるものは何でも使うといい。」


僕は盾を拾って左手に持つ。

下がとんがってる五角形の盾で所々茶色い錆がある。

盾が少し重いけど、ホークアイは軽いから右手だけでも十分振れる。

投げるのはダメだ、ロビンは速い、きっと当たらない。

セシリアはどうするかな、もう内股じゃない。

きっと強い水の魔法を撃ってくるし、僕の攻撃が当たってもすぐに回復する。


「エクシル、相手は遠距離でも近距離でも攻撃が可能だ。だから、なるべく距離を詰めなさい。避けることに専念して近づいたら攻撃の手を止めないこと。どちらかに近寄れば、相手は不用意に攻撃できなくなるはずだ。私ならこの場合回復が厄介な女の子から落とすが、エクシルはどうする?」


「男。」


「即答だな。もとより相手は殺す気だ。存分にやりなさい。」


「別れの挨拶は済みましたか?それでは、ロビン!セシリア!」


戦闘が始まる。



ロビンが駆け出した。

セシリアはその場から動かず、だかすかさず水や氷の攻撃魔法をエクシルに向けて放ち始めた。

セイヒョウはパドレの側で、パドレと同じように戦闘の様子を見ている。

エクシルは盾とホークアイを使い氷を叩き落とすなどして魔法を何と掻い潜り、ロビンに向かって距離を詰める。


足が、一緒に山に登ったあの時と違う。

速い!


ロビンは走りながら正確にエクシルに矢を放つ。

隠れる場所のない月夜の平原で、その素早い動きが目で捉えきれず、音だけを残して移動しているため距離がなかなか詰められず、エクシルは攻めあぐねる。

セシリアもロビンと対角とならないよう動き始め、魔法を詠唱しながらエクシルを襲う。

エクシルは後ろ、前と交互に見ながらホークアイで落とすのをやめて転がって避け、矢の攻撃を盾で受け流す。

やはりこの矢の応酬ではセシリアへの攻撃を先行させた場合にセシリアに攻撃する前に背中を射抜かれてしまうだろう、とエクシルは考えていた。


飛んでくるものを避けるので精一杯だ。


エクシルの動きが鈍くなる。

矢の対応はできてはいるが、魔法攻撃の対応が疎かになり始めた。氷の礫が、水の衝撃がエクシルにダメージを蓄積させる。

それでもエクシルはロビンのいる方に向かった。

やがて、矢にも対応しきれず、身体中に切り傷がつき始める。

ついに矢の侵攻を許し、左の太ももを深く抉り、走っていたエクシルは転がってしまった。

顔をあげ起きあがろうとしたその目の前に一本の矢が地面に刺さる。

ゆっくりとロビンがエクシルに近づいてきていた。

いつの間にか魔法の攻撃も止んでいる。


「俺は魔法で素早さをあげられる。もともとお前は俺に足ではついてこられなかった。そんなお前が、魔法を使った俺に追いつくわけがない。体力はこのひと月とちょっとで凄くついたみたいだけどな。もともとお前に勝ち目なんてなかった。最期だから、俺の必殺技、受けてくれよ。」


エクシルが立ち上がりロビンへとホークアイを振るが、瞬く間に後ろに回り込まれ背中を蹴飛ばされた。

地面に放り投げられるように転がるエクシルから、ロビンはまた距離をとった。

ロビンは、転がって露わになっているエクシルの左太ももと左肩を射抜いた。

エクシルの絶叫がこだまする。


「・・・サジタリウス!大地を穿て!」


ロビンが両手を上にあげ、手から光が月夜の空に舞い上がる。

全て舞い上がった後、何も起きなかった。

セシリアはその様子をただ内股になって見ていた。


「終わりですね。」


「・・・だめ!」


パドレが呟き、セシリアは声にならない悲鳴をあげた。

エクシルは矢を体から引き抜き、何とか立ち上がるが、ロビンに距離を詰めるのはもう不可能だ。

空が光る。

何本もの光の柱が草原の地面に突き刺さるように、エクシルに向けて降り注いだ。

エクシルは盾を上に構えて凌ごうとしたが、簡単に弾かれてしまい、何本もの光の柱に弾かれダメージをもらい、これから地面に突き刺さる光の柱の直撃を受けてしまった。

光の雨が止み、ロビンはエクシルの倒れている場所に近づいた。


「発動はこれでも早くなったんだぜ?もっと使ってもっと熟練すれば、もっと早くなる。降ってくる光は俺も当たるとダメージをもらう。降る範囲は決められる。降ってくる光の場所の正確な位置は、技を使った俺だけしかわからない。俺が囮になって魔獣の群れなんかに突っ込んで、これを使えばあとはこの足で遊んでる間に一網打尽さ。なあ、エクシル、俺、ここまで強くなったんだぜ。」


エクシルの手が動く。


「!!まだ、動けるのか!」


ロビンが一気に距離を取る。

おぼつかない手足でフラフラしながら盾を片手に立ち上がった。

咳き込み、血を吐く。


「どうすれば良いかわかった。」


「な、なに?!」


「やっぱりロビンだった。でも、決着をつけなければいけない。そうだよね?」


「ほほう、なかなかしぶといんですね。」


パドレはエクシルの姿を見て感嘆の声を上げた。

ロビンは、エクシルが何を言っているのかわからない、といった表情で目の前で起こっていることに困惑した。

風が起きる。

エクシルに向かって風が強く吹き始めた。

エクシルが両手を天にかざす。


「サジタリウス。」


「な、何で!俺の?!」


ロビンが狼狽えた。

涙目だったセシリアは目の前で起こっている状況についていけず、天に登る光を追っている。

パドレはあり得ないというふうに目を見張った。


「いくよ。ロビン。シールド、ブロウ」


パレントが目を細める。

エクシルがロビンの目の前から消えた。

ロビンは気がついた。

エクシルが消えたのではなく、自分が弾き飛ばされたのだ。

自分よりも速いスピードで当てられた。

体の痛みが遅れてやってくる。

ロビンはエクシルの立っていた場所に飛ばされていく。

風が止み、空が光る。

ロビンが地面に転がった先に、光が降り注ぎ、光の中を踊るように体が弾かれる。

光が止み、ロビンが倒れているのが見える。

エクシルは足を引きずりながら、盾を地面に放るように落としてロビンに近づいた。

崩れるように膝をつき、ロビンの頭を抱きかかえた。


「ロビン、ロビン!」


エクシルの頬を伝う涙がロビンの顔を濡らす。

エクシルが胸ぐらを掴まれた。

一瞬の出来事でエクシルには何が起きたか分からない。


「勝手に、殺すんじゃ、ねえ。」


胸ぐらを掴んだ手は、ロビンの肩から伸びている。


「ロビン!」


涙の勢いが増す。

セシリアが2人の元に駆け、2人に回復魔法を何度も何度も、魔力が尽きるまでかけ続けた。


「セシリア。」


セシリアはエクシルの背中に抱きついて嗚咽を漏らしながら泣いている。

戦闘を続けようとする子どもたちは、もうここにはいなかった。

エクシル(所持金:19ガルド700ジルバ)

種族:人間

武器:ホークアイ

属性:(NON) ((LIGHTS)黄、(COLORS)赤)

才能:融合(FUSION)学習(LEARN)

覚えた技

・シールドブロウ ・サジタリウス


パレント

種族:エルフ

武器:剣 (ナイフ)

属性:(COLORS)

才能:?

魔法

・リカバー

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