表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/95

4-2

キッチンでロボ丸が調理(ちょうり)をしている。

俺たちはリビングでゆっくりとつまみをつつきながらお酒を(たの)しむ。


畜ぺんはビール。

ゴクゴク音を鳴らして飲んでいる。

すごく美味(おい)しそうに口元を(ぬぐ)っている。


ロッテはオレンジジュース。

先日ロボ丸に栄養(えいよう)のある飲み物をと注意(ちゅうい)されていたので選んだのだろう。

ロボ丸母さんは本当にしっかりしている。


ワンコロは回復薬(かいふくやく)

先日回復薬(かいふくやく)味見(あじみ)して気に入ったらしい。

商品(しょうひん)がどんどん少なくなるのでロボ丸が(なげ)いていた。

そのため最近は回復薬(かいふくやく)原料(げんりょう)確保(かくほ)するためだけにロッテを連れて森の中に入っているらしい。


綿毛は何も飲まず、何も食べずにフワフワ浮いている。

一番いい子かもしれない。

そもそもケサランが何も食べずにいるところを見るとワンコロも何も食べなくても大丈夫な気がしてならない。


「仲良くなったことだし、なんて呼べばいいですか?」

ロッテが畜ぺんに(たず)ねた。


『おすきにどうぞ』

『むかしのなまえはおいてきた

おそらにとんでいったけどもどってくることはない』

『でもあえてよばれるなら2896で』


ロッテとワンコロが頭をかしげながら読む。

「にー はち きゅう ろく ちゃん?」


ロボ丸が美味(おい)しそうなつまみを持ってやってきた。

数字(すうじ)()ムト(なが)イノデ、28様デヨロシイデスカ?」

その手に持っているのは何かの鳥肉(とりにく)だろうか。

共食いになるからやめなさい。


ロッテが手を(たた)いて満面(まんめん)の笑みで畜ぺんに問いかける。

「ロボ丸は頭がいいね!

ぺんぎんさんのことはこれから28ちゃんって呼んでもいい?」

ロッテは英語が苦手(にがて)なのかおなかの文字が()めないのか?

Swallow’sって書いてあるぞ。


『いいとも』

畜ぺん(あらた)め28様が親指(おやゆび)を立てながらフリップで答える。

先生は意外(いがい)に心広いのな。


ロボ丸が、つまみを皆に(すす)める。

「先日、ロッテ様ガ()ッテ()ラレタ魔鳥(まちょう)ガイイ(かん)ジニ熟成(じゅくせい)シマシタノデ

ソチラヲ、ヤキトリニシテミマシタ。

ワンコロ様の御指示(ごしじ)通リ、魔物(まもの)ニシテハ()ベラレナイ所ハ(ほね)ダケデシタ。

イロイロナ部位(ぶい)串打(くしう)チシマシテ、炭火(すみび)()()ゲマシタ。

味付(あじつ)ケハタレト(しお)ノ2種類デス。

ドウゾお()()ガリクダサイ。」


待て、ロボ丸。

共食いだぞ。精霊(せいれい)魔物(まもの)だから(かい)は違うが。

(おそ)(おそ)る先生を横目で見る。


『うまい!

うであげたね!

るーびーおかわり!』


先生。それでいいのか?

いや、先生は心が広い、心が広い。


ロボ丸が(もう)(わけ)なさそうに畜ぺん先生に答える。

(もう)(わけ)ゴザイマセン。

ビールハ今オ()ミニナラレタモノデ最後(さいご)ニナリマス。」


畜ぺん先生は急に立ち上がると(かぶ)っていた青いキャップを床に()()てた。

そしてそのままプリプリ怒った感じで戸口(とぐち)から出て行った。


あっけに()られた俺たちは、ただただ茫然(ぼうぜん)としていた。


我に返ったロボ丸が俺たちに(あやま)る。

大事(だいじ)ナオ客様(きゃくさま)失礼(しつれい)ヲシテ大変(たいへん)(もう)(わけ)ゴザイマセンデシタ。」


皆が口々に(あやま)る。


なんか(あらし)みたいだったな。

俺は、夢か現実(げんじつ)かわからぬような時間を不思議(ふしぎ)な仲間たちと()ごしている中で(わす)れていた何かを(おも)()した。


畜ペン先生。ありがとう。


後日、畜ペン先生はアルコール度数(どすう)の高い酒を持って再訪(さいほう)した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ