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ワンコロは褒められたい。
頼りになるとか
かっこいいとか
頭がいいとか
全部まとめたらすてきとか言われたい。
自分がかわいいのは知っている。
小さいものはかわいいらしい。
道を歩いているだけでかわいいと言われるのはワンコロが小さくてかわいいからだ。
だからと言ってその上に胡坐をかいたりはしない。
努力でかわいいを作っているのだ。
ある時、ロッテにいつもよりかわいいと褒められた時は前足がいつもより3センチ高く上がっていてしっぽがいつもより1.3倍振られていたそうだ。
これはロボ丸に調査してもらった。
この調査を元にワンコロはよりかわいくいるために前足が高く上げられしっぽは振りすぎず適度にふりふりするように細心の注意を払っている。
やり方はこうだ。
自分のことを誇らしく思いながらそれでいて楽しくハッピーな気持ちでいる。
こうすると前足が高く上げられてしっぽが適度にふりふりするのだ。
いつもっていうのは難しいが、でも、ワンコロがかわいいとみんなが笑顔になる。
みんなのための努力だと思えば苦労も厭わない。
ワンコロはみんなにやさしくできるやつなのだ。
だが、みんなのためではなく、自分のために褒められたい。
ロッテではダメだ。
ロッテはワンコロが何もしなくても褒めてくれる。
言葉の重みがない。
何かをして、みんなにすごいって言われたいのだ!
たぶんみんなが嬉しいことをすると喜んでくれて褒めてくれると思う。
この前モルボルってやつを持ってきたときはみんなが喜んでくれた。
あれと似たようなやつをみんなで捕まえに行ってワンコロが活躍したら?
みんなすごいって褒めてくれる気がする!
そういえば、ご近所の人からおすそわけ?してもらったっていうごぼうっていう土の味がするお野菜はみんな喜んで食べていた。
ワンコロには土の味が美味しいって思えなかったけれど、みんなが喜ぶお味ならいいのかもしれない。
そういえばずっと前に食べた引っこ抜くとうるさいあいつは土のお味がした覚えがある。
あいつをみんなで取りに行こう。
確かあいつはマンドラゴラっていうやつで、ものすごくうるさいから犬が引っぱってあいつを引っこ抜くっていうやり方で採るんだった。
ワンコロは狼だからワンコロが引っこ抜くとなにか違うのかと思って引っこ抜いてみたのだが、特に変わったことが何もなかった。
狼は犬の上位互換みたいなものだから違いがなかったらしい。
あのうるさいやつを引っこ抜く大役が任される。
ごぼうみたいな味のするうるさいやつが取れる。
オレ様褒められる。
いっせきにちょうっていうやつだ。
おっと、オレ様なんて昔使っていた言葉を使っちゃいけない。
あの頃の自分は嫌な奴で嫌われていてあの頃の自分は大嫌いだ。
だからあの頃の自分じゃなくなったから自分のことはワンコロって言う。
この名前をロッテがつけてくれてからワンコロは自分のことが嫌いじゃなくなった。
だから、昔の自分にならないように、自分が新しい自分だって忘れないようにワンコロは自分のことをワンコロと呼ぶ。
この名前はすてきな魔法だ。
いいことを思いついたならすぐに実行するべき。
こういうのは群れのリーダーであるカイに提案するといいだろう。
カイを探しに行こう。




