表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/95

29-1

「ケサラン!早く!」

杉玉(すぎだま)が我を()んでいる。

今日は、杉玉(すぎだま)と一緒にユグドラシルの様子(ようす)()()た。

杉玉(すぎだま)(うれ)しそうにぴょんぴょん()ねて我先にとユグドラシルへ()かっている。

ここは気味(きみ)(わる)(かべ)付近(ふきん)、誰も()ないエリアだ。


それにしてもだ。

我の()らぬ()に、(へん)(やつ)がいる。

()()()()いもおかしいならば、言動(げんどう)もおかしい。

おかしいものならいくらでも()たことがあるが、(ただよ)気配(けはい)もおかしい。

(けが)れを(まと)っていないのになぜか(くら)()えることがある。

名前(なまえ)は(仮)というらしい。

一番おかしいのは名前(なまえ)言霊(ことだま)()っていないのだ。

杉玉(すぎだま)()いたら、やはりおかしいという。


我が偉大(いだい)なるワンコロ様は大変(たいへん)(つよ)いので、あんな()()()にするほどでもないらしい。

さすがワンコロ様である。

家主(やぬし)多少(たしょう)警戒(けいかい)をしているらしいが(あま)いところがあるからそのうちほだされるかもしれない。

あの()うるさいロボットは警戒(けいかい)というか(いえ)の中に(はい)ったやつにスキャニングというのをしているらしい。

スキャニングすることにより、体内(たいない)異常(いじょう)早期(そうき)発見(はっけん)したり、行動(こうどう)パターンや趣味(しゅみ)嗜好(しこう)分析(ぶんせき)して(みな)(もと)める今日の料理(りょうり)(つく)ったりしているらしい。

実力(じつりょく)無駄遣(むだづか)いだと(おも)うのだが、すべてのものが対象(たいしょう)ということで(仮)も我も(みな)スキャニングされているらしい。

ロッテはぼやーっとしているし、我らが注意(ちゅうい)せねばな!と杉玉(すぎだま)同意(どうい)(もと)める。

注意(ちゅうい)せねばな!」

杉玉(すぎだま)がぴょんぴょん()ねながら同意(どうい)してくれた。

安心(あんしん)だ。

我らは今、ポンコツ夫婦(ふうふ)のところ、ユグドラシルの様子(ようす)()()ている。

(仮)はいつの()にか()て、いつの()にか()なくなっていることが()くある。

このような密談(みつだん)は(仮)が確実(かくじつ)にいない(ところ)でするに(かぎ)る。

それにしてもユグドラシルは瑞々(みずみず)しく枝葉(しよう)(ひろ)げるようになった。

もっと(おお)きくなって()しいので、今日はあの蘊蓄(うんちく)しか()わないロボットに()いてきた方法(ほうほう)(ため)してみる。

本当(ほんとう)偉大(いだい)なるワンコロ様をお()れして一気に闘魂(とうこん)注入(ちゅうにゅう)などしてもらえれば一番()いのだが、ユグドラシルが(ゆる)さない。

やはり(むかし)(みき)をぶった()られたのを(おも)()すのも(つら)いのだろう。

ワンコロ様をお()びするのだけは本当(ほんとう)にやめて()しいと、ユグドラシルからも杉玉(すぎだま)からも()われている。

ユグドラシルがたくさん(ひかり)()びられるように(すこ)しだけ杉玉(すぎだま)草木(くさき)間引(まび)く。

そして蘊蓄(うんちく)ロボットから()いた結界(けっかい)()る。

蘊蓄(うんちく)ロボット(いわ)く、神聖(しんせい)なるものを中心(ちゅうしん)に4本の(はしら)(かこ)うように()てると()いらしい。

あまり(おお)きくなければ(なわ)(かこ)った(ほう)()いと()われた。

それは武御名方(たけみなかた)殿(どの)のお(やしろ)由来(ゆらい)としているのかと()うと、地鎮祭(じちんさい)というのでも(おな)じように結界(けっかい)()るのだと(なぞ)主張(しゅちょう)をされた。

我が()いたかったのは、武御名方(たけみなかた)殿(どの)にお前も心酔(しんすい)しているのか()きたかったのだが。


蘊蓄(うんちく)ロボットから見本(みほん)として(わた)された一(まい)のカードには4本の(はしら)()っている。

安全(あんぜん)場所(ばしょ)(しめ)すそうだ。

カードと(おな)じようにユグドラシルの(まわ)りに(はしら)を4本()てる。

地面(じめん)()()すのは大変(たいへん)(むずか)しいので(はしら)(つち)の中に()ばすことにした。

家主(やぬし)発明(はつめい)したコピぺとやらを使用(しよう)してみたが、これは上手(うま)くいった。

()てた(はしら)(なが)さと(おな)じくらい地中(ちちゅう)(ふか)くに()ばした。

カードには(たの)しそうな(ひと)がいる。

杉玉(すぎだま)()いてみる。

「我々で一緒に(たの)しく(おど)れば()いのでは?」

流石(さすが)、我の相棒(あいぼう)

だが、我は(おど)りを()たことがあっても(おど)ったことがない。

上手(うま)(おど)れるのであろうか。

不安(ふあん)(おも)っていると、杉玉(すぎだま)がユグドラシルを中心(ちゅうしん)にぴょんぴょん()ねて(まわ)りだした。

「我とケサランだけだから()にすることはない、(おど)ろう!」

そうだ、我々だけだから()にすることはない。

我も一緒に(おど)りだす。

杉玉(すぎだま)が、(うた)(うた)うと(たの)しかろうと(うた)いだす。

「わが(かみ) ユグドラシルよ われらと(とも)(さか)えん

われらが()()い (どろ)(すす)るときも 気高(けだか)(しげ)らん」

死者(ししゃ)(くに)(うた)だが陽気(ようき)(うた)だからだろうか、一緒に(うた)ってみると案外(あんがい)(たの)しい。

ユグドラシルも(うれ)しそうに枝葉(しよう)(はず)んでいる。

(わら)いながら(うた)(おど)っていると、(とり)(けもの)たちが()ってきた。

(みな)(まじ)わろう、とやつらを(さそ)(おお)きな()になって(みな)(うた)いながら(おど)(まわ)る。

(とり)たちは(たの)しそうに合奏(がっそう)する。

(けもの)たちは(おも)(おも)いの(かたち)(おど)りだす。

鹿(しか)不思議(ふしぎ)なステップを()み、(さる)はグルグルと前転(ぜんてん)する。

ユグドラシルが(おお)きく()れて(はな)()き、()がなった。

(むし)たちが(はな)(みつ)()い、(とり)たちが()をついばむ。

(くま)(とら)相撲(すもう)()る。

寝転(ねころ)んで観戦(かんせん)するもの、()っただの()けただの(みな)(おお)はしゃぎするもの。

こうしてみると、死者(ししゃ)(くに)(おそ)ろしいあいつらも(たの)しかったのかもしれん。

我らは()(しず)むまで、(みな)(うた)(おど)りながら(わら)いあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ