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ワンコロは絶対あいつを許さない。
お名前を知らないあいつ。
お名前っていうのはとっても大事で、大好きな人にお名前をよばれるとうれしくなる。
お名前っていうのはまほうのことばだ。
だから絶対あいつのことをお名前でよんであげない。
お名前はしらんけど。
そうだった。
カイに絶対っていうのはあるけどないから使わない方がいいって言われたんだった。
でも僕の思う絶対は強いきもちが形になったやつ。
たくさん強いきもちだから絶対絶対なのだ。
今、森の小道を歩いている。
最近、ししょーのおくさんがとってもおこっているから修行は自習連っていうのになっている。
ししょーのおくさんがおこった理由がきいてもわからなかったから、たぶんめちゃくちゃたいしたことないかめちゃくちゃ大変なやつかもしれない。
ロボ丸はししょーのおくさんへのプレゼントのあずきがゆを作っている。
完璧なあずきがゆの最終調整っていうのをするみたい。
で、ししょーは完璧なあずきがゆを持っておくさんに会いにいくって言っていた。
すみびのちょうせいがうんたらかんたらってロボ丸は言っていたけどお味のちがいがちょっとわかんなかった。
あずきがゆ。
お肉じゃないからたくさん力がでないけれど、おへそのまんなかからキレイになって力がわいてくるふしぎなおかゆ。
あれにゴマっていうのを入れたらおいしいかもしれない。
街に戻ってゴマっていうのを買って帰ろう。
くるっと振り返ると、あいつがいた。
遠くにいたからか気がつかなかった。
なんだか気持ち悪いなぁ。
でも僕のほうが強いからどんどん気にしないで街に向かって進んでいく。
あいつとすれ違っても気にするもんか。
僕はどんどんすすむ。
あいつもどんどんすすむ。
近づいて近づいて、あいつとすれちがう時に僕は聞いた。
「僕のこと、変ってなに?」
あいつは体をビクッとさせた。
「話しかけられるとは思わなかった。
変っていうのは、君、獣人なのに魔力が強い。
まるで熟練の魔法使いのようだ。」
僕はカイに言われてからなるべくなるべく魔力を小さくしている。
それでも僕の魔力が大きいことにびっくりしたのか。
ちょっとだけうれしくなってしっぽがフラフラゆれちゃう。
こいつはバカの方だったってことだな。
「変っていうのは悪口だから、いいことのときは変っていっちゃいけないんだよ。」
僕はカイみたいにやさしく教えてあげた。
「そうか、誉め言葉の時は変って言葉を使っちゃいけない。
ゆかりにも同じことを言われた気がするなぁ。
ありがとう。気を付けるよ。」
あいつはそういって森の奥へむかっていった。
よくわかんないやつだけど、たぶん悪いやつじゃないみたい。
今度あったらお名前をよんであげてもいい気がした。
僕はほんのちょっとだけ楽しいきぶんで街にむかった。




