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蛇のあいつの気配がする大きな湖までやってきた。
蛇のあいつの気配がするところを目掛けてじゃぶじゃぶ水に入る。
さっき特撮ってやつで復習した、ヒーローってやつは何も恐れない!
たとえ水が苦手だったとしても!
お水は苦手じゃないけれどこういうのは気分が大事。
じゃぶじゃぶ前に進んでいたら大きな蛇がザバッっと出てきた。
やっぱりあの蛇の女だ。
七つの頭の大きな蛇が女に変身した!
うらやましい!ワンコロも変身したい!
でも、うらやましそうなお顔は見せないのがヒーローなのだ。
だってヒーローも変身できるから。
「何かあちきに御用でありんすか?」
蛇女が聞いてきた。
「カイはロッテの前でどんなカッコいいことをしたの?」
蛇女に聞く。
そうでありんすね。と蛇女が首を傾けて思い出すかのように続けて言った。
「あの可愛い娘を守ろうとした男のことでありんしょうか。
惚れた男に守ってもらいたいのは女の性。
それはそれは格好良う見えたんでありんしょうね。」
ちょっとなに言ってるかわかんないけれど、ヒーローが女の子を守るのはいつものカッコいいパターンだ。
ワンコロは蛇女にちゃんと教えてくれたお礼を言う。
「ありがとう。」
あいつは昔からよくわかんないことばっかり言うやつだったけれど今日はなんとなくわかった。
ワンコロはヒーローだから礼儀正しくお礼を言えるのだ。
「主さんはあの優しい娘達といて優しゅうなられたみたいでありんすね。」
蛇女が言ってきた。
「あの男はあちきに傷がつかねえように魔法で優しゅうしばったのでありんす。
そちらを見た娘が辛そうだから解いておくんなしと。
どちらも優しい人でありんした。」
昔は近こうにいるものはすべて傷つけてやした主さんが、と。
ワンコロはロッテにはいつも優しいって言われる。
もちろんカイにも言われるし、最近はロボ丸もわかってきたみたいで褒めてくれる。
ヒーローは優しいから優しいは基本なのだ。
「そう、よくわかったな。ヒーローは優しくてカッコいいのだ。」
と、この場から立ち去るのだ。ヒーローだから。
「ヒーロー様に助けてほしいでありんす。」
蛇女がよよよと泣き崩れる。
蛇女の話だと、ガルーダのやつが蛇女を追いかけまわしているらしい。
どこに逃げても子分を連れてついてくるらしい。
ワンコロあいつきらいなんだよなぁ。
この前ロッテが言っていた生理的にムリってやつだ。たぶん。
これは断ろうとしたとき、
「ヒーロー。」
ぼそりと蛇女がつぶやく。
「助けてほしいでありんす。」
面倒くさいけれど、ワンコロはヒーローだから。
しぶしぶ引き受けた。




