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この娘は家主のことが好きらしい。
そこの者、我がしゃべられぬからと思考しないと思わないように。
ふわふわもふもふで在っても思考はできるのだ。
もふもふに関しては偉大なワンコロ様にも劣らん。
「カイさんからゴーグルをもらったの。
それのお礼をしたくって。
ナーガさんにもらった鱗はすごく丈夫で付与もしやすいんだって。
だからこれで何か作って渡そうと思って。何がいいかな?」
良い心がけではないか、娘。我が導いて進ぜよう。
我も家主には何かと世話になっているからな。
娘は大雑把だからな、その大きさを生かすなら貼るだけのバングルがよかろう。
我は娘の手首の辺りで優しくポンポン跳ねる。
「バングル?いいかも!」
娘に伝わったらしい、家主がよく使っている接着剤を持ってきてやった。
「ケサランちゃん頭いい!貼るとよさそう!」
そうなのだ、我は頭が良いのだ。褒めるが良い。
あとは娘が錬金でバングルを作るだけだが、できるのか?
まぁ、我が助けてやらないでもないが。
「どうしよう、ケサランちゃん。錬金術で作る金属だったらバングルの形を整えるのが簡単だと思うんだけれどやり方がわからないの……。」
ロボ丸に聞くのはなんか負けた気がするしと娘がぶつぶつ言っている。
仕方ないあの頭でっかちロボットの代わりに我が導いてやろう、『はじめてかんたんれんきんじゅつのきそ』の本を持ってきてやる。これは家主が大事にしている本だ。
「わぁー!これわかりやすいかも!」
ありがとうとお礼を言いつつ本を読む娘。
良かったなこれで何となくできるだろう、ん?ん?ん?
まて、何を出すんだ、やめろ。
ぐぬぐぬ言いながらおぞましいものを合成し始めた。
仕方がない我が導いてやろう、娘の心の思いだけ家主を守れるように加護をかける。
娘はぐぬぐぬ言いながら火のように輝く緋色の金属を錬成する。
鱗は水属性だから相性悪いだろう!
少しだけ属性の方向を変えて日属性にする、激しく燃えるのではない温かさを持つように。
「なんかいい感じ!あとは形を整えて……。」
まるーくまるーく、と娘がぶつぶつ言っている。
さすがに失敗しない……しそうではないか!それは三角だ四角だ!丸だ!丸!
イメージしやすいように我のボディを変形させてバングルの形を作る、見本だ見本。
「そうそうその形!ケサランちゃんってなんでもできるのね!」
娘のテンションが上がっているのは錬金中だからだろうか、気分を上げていくのはよい心がけだ。
バングルの形にはちょっと遠いので娘に加護をかける、娘のイメージ通りに形作れるように。
おぉ!いい感じではないか、バングルらしいぞ。
「できた!あとは鱗をきれいに貼るだけ!」
娘は先ほどの加護が効いているらしくきれいに鱗を貼っていく。
仕上げにバングルにも加護をかけてやろう、我からの家主への感謝の気持ちだ。
娘の持つ感謝だとかいろんな気持ちも合わせて家主を守る加護となるように。
「とっても素敵なバングルができちゃった。
ケサランちゃんの持ってきてくれた本のおかげね、ありがとう。
あとは付与をかけて……。」
カイさんが幸せになりますようにと娘が付与をかける。
それは我の持ってきた本の通りなのか?
いびつな陣になっているがちょっとだけ修正を、大幅に修正を、まて、我よりつ よ い ち か ら で……強引に修正したから強力な加護になってしまった。効果は見たくない。
「付与魔法をかけたら鱗がキラキラ波打っているみたいになっちゃった。
付与魔法ってすごい!」
いや、それは強力な魔力のせいで不安定な表面が光の反射で波打って見えるだけだぞ。
「カイさん、気に入ってくれるかなぁ。
わぁ、ちゃんとお礼を言って渡せるかなぁ。
ドキドキしてきちゃった。」
なにはともあれ。
あとは渡すだけだな。娘、がんばれよ。




