ファイナルー5ー最終回
それから何日経っただろう。いや何ヶ月経っただろう。
苦しくて生きている感覚がなかった。
あと1ヶ月…あと1ヶ月で5ヶ月だった。
冬が近づくと共に死も近づいた。
やりたいことリストは、残りあと1つ。
いろんなことをした。楽しかった。いっぱい笑った。
『あと1ヶ月かー…』
恋華は、天井を見上げた。
『………』
龍馬は返す言葉が見当たらなかった。視線を自分の手に移して見ていないふりをした。『大丈夫だよ』なんて言葉で今の恋華を安心させられる?『そうだね』って言って恋華の心はどうなる?
(なにも言わない方が恋華のためだ)
『龍馬…?』
恋華の声は震えていて泣いている声にも聞こえた。
ハッとして顔をあげる。
恋華の口から大量の血が出ていた。
『恋華!?大丈夫!?』
恋華は咳き込んで、また血を吐き出した。
『ごめ…ん…ね』
恋華は、泣いている。
『大丈夫だから!』
龍馬は、先生を呼んで恋華の背中をさすった。
それから数十分…
恋華は検査を受けて、病室に戻ってきた。
『大丈夫…だった?』
大丈夫なわけない。だけど聞かなきゃ安心できなかった。
『もう少しで……もう…』
恋華は、泣き出してしまった。
『恋華……俺、恋華の分まで生きるから……だから…心配すんな…』
(ほんとに俺は弱虫だ。なんで守ってあげられないんだろう。一緒に苦しまなきゃ。一緒に辛い思いしなきゃ…)
『まだ、龍馬と一緒に…居たかった…。龍馬のこと精一杯守ってあげられなかった……。守られてばっかりで恩返ししてなかっ…』
『そんなのいらねーよ!!!』
龍馬は、泣いていた。
『え…?』
『守るのは、俺の役目だから当たり前だろ……。恩返しなんていらない。恋華はいっぱい俺を幸せにしてくれたじゃん。俺さ、こんなに楽しかったの初めて。恋華が初めてだから。死ぬとか死なないとかよりもずっといてくれたことが嬉しかった。どんなときも笑っててくれた。だから………』
伝えたいことが山ほどあった。
『龍馬…ありがとう………』
恋華は、笑顔で笑った。
次の日…
『えっ………』
龍馬は、補習授業に参加し終わって帰るところだった。言葉を失った。
『恋華!!』
行き先は病院。泣き声が聞こえる。
『龍馬…。恋華がこれ…』
カーテンを開けるとベッドには白い布を顔に被せた恋華の姿。そして他月が封筒を龍馬に渡した。その封筒に『試験当日に見てね』と書いてあった。
『れんちゃん、幸せだったって言ってたよ…』
真姫は泣きながら、言ってくれた。
最後のやりたいことリスト『幸せって最後に言う』
やりたいことリストをもう一度見た。
『あっ…』
違う。最後のやりたいことは『最後は笑ってね』
薄い字で書かれていた。
それは、恋華の字だった。筆圧が違う。書き方も龍馬と違った。
『笑えって…こんなの今はできねーよ…』
笑えない。大切が死んだのに笑うなんて無理だ。笑顔なんて作れない。
~試験当日〜
ちょうど、全員試験に受けることになった。
他月と龍馬は地元の大学。
真姫と柚は短大。
優也は少しの間、語学を勉強するため専門校の試験を受ける。
龍馬は、試験会場に着いて封筒の中身を見た。
その中にはお守りが入っている。
そのお守りは合格祈願のお守り。そして鈴が入っていた。
『これ…』
その鈴は、小学生の時に恋華にあげた鈴。
『懐かしいな…』
守ってやるから!とか言ってたなぁ…。それであげた鈴。
まだ持っていたとは思ってもいなかった。
~合格発表当日~
『419……419……あった!!』
龍馬は、指を伝って自分の番号が乗っていることを確認した。
『うおおおお!よっしゃ!俺も合格!!』
他月も合格したようだ。
『どうすんのー?恋華に伝える?』
『おう!もちろんだろ!』
龍馬は、花屋さんで花を買ってお墓に向かった。
『あっ!柚と真姫!』
恋華のお墓の前に柚と真姫が振り返って手を振った。
『2人とも合格した…?』
『うん!私も真姫も合格!』
『おおおお!俺達も合格!』
『あとは優也だね…』
『優也くんなら大丈夫だと思うんだけどなぁー』
リンリン♪リンリン♪
『あ、優也くんからだ!』
真姫が携帯を取り出して電話に出た。
『うん……うん………おおおお!そっか!おめでと!私も柚達も合格だよ!…うん!…わかった!じゃあねー!』
真姫は通話を切った。
『優也くんも合格だって!』
『やったぁぁぁぁ!じゃあ、みんな合格だな!』
『うん♪』
『恋華…。俺ら合格したから!恋華の分まで充実するから、見守っててくれよな!』
龍馬はニカッと笑った。
~END~
皆様、読んでいただきありがとうございました!
とても長かったなと実感しております。学校のこともあって投稿が遅れてしまったり、話の内容でまだまだ未熟な部分も多々ある中、最終話を無事迎えることができました。これも皆様のおかげでございます。本当にありがとうございました!
また、新しい物語を作ろうと思います。その時はまたよろしくお願いいたします。
とえまる




