字の練習
『難しい....』
私は、退院して左手で字を書く練習をしていた。
左手で字を書くのは思った以上に難しくて、字が曲がったりガタガタになったりする。
『あと少しなんだけどな』
龍馬は、私の字の練習に付き添ってくれた。
『ごめんね。今日、バイトなのに』
彼はプールの係員のバイトがあるのに、これだけのために休んでくれた。
『代わりがいるし、あんな暑い所正直嫌なんだよな(笑)』
『そっか(笑)』
私は、今まで書いた字を見てため息をついた。
『なんか、幼稚園生が書いた字みたい』
『しょうがないよ。左手だもん。』
不意にベッドの方を見た。
テニスラケットが置いてあった。
『さいあく。』
昨日、テニスの顧問から電話がかかってきた。
その内容は....
『夏の大会は、他のやつに出てもらうから。休んどけ。』
それだけだった。
夏の大会に出ることができなかった。
柚は腹部だったため、夏の大会にギリギリ出ることができたが私は、大会出ることができなければ練習もできなかった。
『テニス、できる日が来るといいな』
龍馬が私の心を読んだのか知らないが、自分のことのように悲しそうな顔をしていた。
『できる日なんて....くるのかな』
『俺は来ると思う。』
『え?』
『左手でもできるよ。たぶん。』
たしかに後輩に左手でプレイしている人がいた気がする。
『でも、時間かかるよね』
『だな。もし、練習するなら俺もできる限りのことするぜ。』
『ありがとう。』
『よし!字の練習するぞー!』
『はーい』
右腕が使えないから右手も使えない。と病院の先生に言われた。
なんとか、自分で変えようとしてもできないことは、もちろんあるけど、仲間と協力すればいい結果がまっている。
そう思えるようになった。




