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12.鳥の巣

新潟に来たので、タレカツ丼を食べました。甘しょっぱいタレが口の中に広がり、ごはんとの相性は抜群!一口食べるごとに、満たされる心の恵み。ちょっと大袈裟でしたm(_ _)m

朝靄が薄く残る森の中を進み、アスクはいつものように不思議な泉を訪れた。その日は、何か違っていた。いつもなら聞こえるはずの、小鳥たちのさえずりは耳に入ってこなかった。


アスクは泉のそばにしゃがみ込み、水を飲む。先日のキノコの一件で、軽い頭痛と思考がぼんやりとしていて、身体の調子はあまり良くなかった。泉の水で疲労感が薄れていき、思考の靄が晴れていく感覚を覚えた。


落ち着きを取り戻したアスクは、静寂に包まれた泉の水面をじっと見つめた。すると、静かな水の中に映し出された、木の上にまだ巣が残っていた。そう、既に小鳥たちの姿はなかった。しかし、いまだに卵が孵化していないことに気づいた。


「あれ!置いていかれた!?」彼は胸が高鳴るのを感じながら、その光景に見入っていた。しかし、何かが引っかかる。振り返って、実際の木を確認すると、そこには何もなかった。鳥の巣はおろか、木そのものも見当たらない。


「なんで…?」アスクは驚き、もう一度水面を見つめた。そこには、まるで初めから木があるかのように、しっかりと立ち尽くしている。彼の心の中で、何かが引き寄せられるように感じる。


「目には見えない不思議な木なのか…?」アスクは思いを巡らせ、この木の不思議を解き明かすことにした。慎重に、彼は泉の水面を見ながら、木の位置を把握して鳥の巣の捕獲を試みる。


「目に見えないのが難しい…でもしっとりとした木の感覚はある…」アスクは確かな手応えを感じていた。水面を見ながら、木に登って鳥の巣の捕獲を試みる。すると、その瞬間、彼は踏み出した足が不安定となり、お尻を突いてしまった。


「ううっ、痛い!!」アスクは驚きの声を漏らした。鈍い痛みがじんわりと広がる。何か視線を感じて、彼は慌てて顔を上げる。


「えっ、何してるの、アスク!」呆れた顔で見るセリス。開いた口が塞がらない様子で、目を丸くしていた。尻もちを突いた瞬間をバッチリと見られてしまった。


「実は、不思議な鳥の巣があって、捕獲しようとしていたところなんだよ。」アスクは恥ずかしそうに、頬を赤らめながら答える。


「あら、そんなの簡単じゃない。」セリスは静かに地面に片手を置き、小さな声で詠唱した。聞こえるのは木々のざわめきだけだった。


「…氷壁アイス・ウォール…」囁くような声が、静かな泉に溶け込んだ。その瞬間、彼女の手を置いた地面から、霜のような結晶が瞬時に広がっていくのが見えた。パリッ、パリパリという複数の音と共に、透明な氷の壁が、彼女の足元から伸び始めた。彼女はそれに乗って、まっすぐに鳥の巣へと向かっていく。その表面は、朝日に照らされて宝石のような輝きを放ち、まるで巨大なクリスタルのようだった。


やがて、氷壁が、鳥の巣へ寸分の狂いもなく、ピタリと止まった。鳥の巣は僅かに揺れた。セリスは、泉に映る木の位置を把握しながらゆっくりと手を伸ばし、鳥の巣を持ち上げた。すると、目に見えなかった木が突然姿を現した。


「鳥の巣が、姿を消すアイテムになってたんだ。」アスクは不思議そうにセリスの方を見上げた。


「なかなか見つけるのが難しいレアなアイテムよ。大分傷んでるから、あと数回位しか使えないわね。こうやって頭に被るのよ。」そう言うと、セリスは突然姿が見えなくなった。


「あっ、本当に消えた。」驚いて、周囲を見回すアスク。すると、不意に先ほど痛めたお尻をパチンと叩かれる。


「ほら、マナの流れを感じれば、今のも躱せるようになるはずよ。まだまだね。」セリスはクスクス笑いながら、肩を震わせていた。セリスは頭に被せた鳥の巣を手に取り、アスクに手渡した。アスクは、鳥の巣を大事そうに受け取り、アイテムボックスに収納した。


ー・ー・ー水ー・ー・ー魔ー・ー・ー法ー・ー・ー


「それでは、今日は水を操る方法をやってみようか。」ここからセリスの魔法授業が始まる。アスクの目標はただ水を作るだけではなかった。彼はその水を空中に飛ばす魔法を習得しようとしていた。


「水を作れるようになったけど、飛ばすのは上手くできないんだ。」アスクはため息をついた。


セリスは少し考え込みながら、彼の肩に手を置いた。「がっかりしないの。まずは、集中して水と空気の流れを感じることが大切よ。」


アスクはお尻の痛みを紛らわすため、深呼吸をしながら詠唱し、水を作り出した。透明な水が彼の手の中で球体となってゆらゆらと揺れ動く。セリスはその水を見つめ、うなづいた。


「いいわ、次はその水を空中に飛ばすイメージよ。意識を高く持って、心の中で水を飛ばす感覚よ。」


アスクは目を閉じ、心の中で水が噴水のように空へ飛び出す姿を思い描いた。彼はそのイメージに集中し、指先を軽く動かした。すると、ほんの少しだけ水が空中に浮かび上がった。


「それ!いい感じ!」セリスが声を上げた。「もっと力強く、そして自信を持って!」


アスクは再び集中し、意識を高めた。彼の心の中で水が大きな噴水となり、空へ飛び立つ姿を思い描く。彼は人差し指で指揮を取った。すると、水球が空中で木に向かって飛んでいった。パチンっと音が響き、水しぶきが花のように開いた。見事に木の幹へと吸い込まれていった。


「やった!できた!」アスクは興奮しながら声を上げた。


セリスは手を合わせて喜び、「やったわね。次のステップは、その水球を自由に操ることよ。水の感覚を研ぎ澄ましながら、あなたが思い描く形に変えてみて。レッツゴー!!」


アスクは再び集中し、心の中で水の流れを思い描く。すると、小さな水の流れが彼の指先から生まれ、空中を優雅に舞った。彼はその流れを操る喜びを感じ、次第に自信を深めていった。


セリスは微笑みながら、その様子を見守っていた。アスクの成長を目にすることができ、彼女もまた嬉しさを感じていた。


彼は水を操りながら、未来の可能性を感じていた。魔法の世界には無限の可能性が広がっている。彼はその中で、氷の球をぶつける攻撃魔法や圧縮した高温水を球体にして、ぶつける魔法を考えていた。そして、自分の力を信じ、もっと成長していくことを誓った。


その日、アスクはセリスの教えを受けて、水を解き放つ魔法を習得する第一歩を踏み出した。彼の心には希望の光が宿り、今後の冒険が待ち受けている。

この森から出るのに苦労しているのは、アスクではなく、ワタシです(=^▽^)つあっはっは〜

アスクは森から出たくなさそうなので、ワタシがお尻を叩きます( ̄+ー ̄)

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