第4章 CH管理局
東京、城東エリア担当
福丸太一30歳、身長181cm(80kg)大きな体で豪快な性格。学生時代はずっとラグビー選手だったことを生かし、現在もパワー系の攻撃が得意。
愛用武器は金剛丸、小型のモルゲンステルン。使用されている鉱物はダイヤモンド、武器本体及び使用者の身体強度を高め、パワーを増幅する。
明月 響一24歳176cm(62kg)細身で、メガネの秀才肌。しかし、体力も意外とある文武両道タイプ。若干、先輩たちを小馬鹿にしたりと生意気なところがある。
福丸とも組んだ当初は問題発言などもあったが、とある出来事から現在はバディとして、とても信頼している。
愛用武器は響月 使用されている鉱物はラブラドライト、日本刀の様な刀剣型、普段は脇差の様に小さいが、抜刀と同時に使用者の意思で、灰色の月の光をまとった幻惑の刃が出現する。切られたものは幻覚や幻聴で混乱させられる。
東京、城北エリア担当
境 剣太郎29歳173cm(65kg)小さな頃から祖父の道場で剣道を教え込まれた。礼儀正しく、口数は少ないが、静かに闘志を燃やすタイプ。
愛用武器は黒耀、日本刀。使用されている鉱物はオブシディアン、切れ味鋭く、斬撃でも敵を切り裂くことができる。
安藤茉由利26歳158cm(78 61 75)ふんわり揺れる肩上のボブスタイル。微かにグリーンを感じさせる虹彩を持つ、大きな目が小動物を思わせる顔立ち。本人はあまりメリハリがないと気にしているが、細身でしなやかな身のこなしは流れるようで隙が無い。言動はちょっと天然。
CH。鉱物はデンドリティック・クォーツ。
蘖で手首から小枝状の杖を出現させ、樹木を操る能力。
東京、城西エリア担当
斎賀龍人34歳168cm(59kg)小柄な体格を生かして、懐に潜り込む戦闘が得意。小柄で、童顔なのがちょっとしたコンプレックス。
愛用武器は|インドラ、金剛杵。使用されている鉱物はスピネル、両端からそれぞれ雷と暴風の剣が出現する。
森 安吾23歳179cm(71kg)無口で大人しいが、クロスボウでの遠隔攻撃は非常に正確。
愛用武器は道草、クロスボウ。使用されている鉱物はモスアゲート、打たれた処からカビや苔が発生し、対象の動きを止める。
東京、城南エリア担当
堂外秋親CH管轄局所属33歳177cm(70kg)潔癖症。常に自信の愛器の手入れを怠らない。チームメンバーにも触られると不機嫌になる。でも、手先が器用で文句を言いながらも色々世話を焼いてしまう。
愛用武器は宇迦之御魂、ライフル。使用されている鉱物はサルファー、一発の銃弾が九つに分かれて攻撃できる。さらに危険な力も……?
辰藤 紅CH管轄局所属29歳168cm(92 58 87)スタイル抜群のお姉様、性格はサバサバしていて大抵のことは気にしないが、『赤ちん』だけは禁句。
CH。鉱物は辰砂。
補助武器はバジリスク、先端にドラゴンの頭が付いた鞭。通常の鞭の攻撃以外に、噛み付いて毒を注入できる。
東京、都心エリア担当
剣持崇智28歳187cm(75kg)蒼太の管理を担当。頼り甲斐のあるお兄さんのような人。
愛用武器は鳴神ハンドガン。使用されている鉱物はトルマリン、電撃の弾を発射する。
道司 樹26歳178cm(65kg)荒事が多い大燈班には、異質にさえ感じる秀麗な容姿に気品のある身のこなし。天性の気品が、冷静な判断力と端的な言葉が冷酷に感じられることも。
蒼太のことを「悪魔王子」と呼ぶ。
愛用武器は三日月、長刀。使用されている鉱物はムーンストーン、数秒先が見える。
最後に大燈班 班長
大燈 標CH管理局所属 大燈班班長 40歳190cm(88kg)大柄で屈強な体躯の持ち主。対峙するものに圧倒的な威圧感と存在感を与える。剣持たちの直属の上司にあたり局の精鋭達を率いる実力も確かな人物である。
愛用武器は玄武、大剣。使用されている鉱物は赤鉄鋼、防御力の強化と戦闘中受けたダメージの超回復。
以上の総勢十一名が大燈班である。
CH管理局所属の騎士の中でも精鋭と言われ、他の班からも一目置かれる存在だ。
「班長、高円寺南口からすぐの雑居ビルで、最近おかしな奴らが出入りしているとの情報がありました」
斎賀龍人が告げる。
「その中で未確認の外国人っぽいCHがうろついていると。どうも観光で来ている風でもなく、その雑居ビル内に外国人たちは大きな荷物を運び込んでいたと」
「うむ。杉並区内の他班とも連携して調査に当たってくれ。いずれにしても未確認のCHを野放しにしておくのは、今は危険だ。できるだけ情報を集めてくれ」
デスクで腕を組み目を閉じて報告を聞いていた大燈は、静かに目を開き指示を出す。
「分かりました」
「安吾行くぞ」
後ろに控えていた森安吾はコクリと頷くと斎賀の後に続き部屋を出て行った。
綺麗に整えられたベッドとデスク、それからテレビが置いてあるだけの簡素な部屋。
ビジネスホテルの一室で、斎賀龍人と森安吾は窓から件のビルを監視している。
件のビルを監視するには丁度良い位置だ。
あれから一週間になるが、今の所大動きはない。
「安吾少し休んでおけ、交代しよう」
安吾はコクリと頷くと窓際の椅子から立ち上がった。
「龍神さん、何か食べ物買ってきます。何が良いですか?」
「あぁ、ありがとう。弁当頼むは。あと、お茶とコーヒー」
ガタンと重たいドアが閉まると、龍人はまた眼下のビルに視線を戻した。
丁度その時、外国人三人がビルに入っていくところだった。
「安吾、今どの辺だ?」
左耳に付けたインカムのスイッチを押し問いかける。
「龍人さん、見えてます。三人です。このまま追います」
「頼んだ。俺もすぐ行く。ただし、俺が行くまで深追いするなよ」
「了解」
龍人は素早く部屋をでて、エレベーターと反対方向に向かい扉を開け、非常階段を駆け下りる。
三階の踊り場まで降りたところで、スピードは緩めずそのまま手摺りを飛び越えた。
身軽に裏路地に着地すると、表通りに移動し、素早く安吾を探しだし、目立たない速度で近づいていく。
「安吾、下に降りた。そこ動くなよ」
「了解」
程なくして、音もなく近づいてきた龍神が安吾の肩を叩く。
「どんな様子だ」
「さっき部屋に入りました。中に女が一人居ました」
「よし、部屋の近くまで行ってCHが居るか探るぞ」
安吾はコクリと頷くと龍人に続きビルに入っていく。
腰に装着していたCH用のセンサーを取り出し、すぐに作業できるように作動させる。そのまま外階段を上がって、外国人たちが入っていった三階まで上ると、直ぐに検索をかけた。
なるべく遮蔽物がない方が正確なデータが取れるが、まだ何の確証もないのでドアの外からの検索だ。
このセンサーはCHに反応し、宿している鉱物のデータを収集するものだ。
ピピッ
終了音と共に直ぐにビルの外にでる。
「安吾、このデータ局に送っといてくれ」
安吾はコクリと頷くと直ぐに作業に取りかかった。
程なく、局からの解析係から連絡が入った。
「オパールがいる。気を付けて、今はまだ採集者とは断定できないから、下手な手出しはしないように」
「了解。ありがとね恭子ちゃん」
龍人が答える。
「オパールがいる。」
安吾はコクリと頷く。
オパールはふわふわとした光の遊色で相手を惑わすことができるCHだ。鉱物の強弱によって、効果の大きさは変わってくるが、やっかいな相手だ。
「とりあえず、彼奴らがどんな目的で日本に来てるのか調べる必要があるな。
奴らが出てきたら尾行するぞ」
「しっかし、オパール相手に尾行するのは骨が折れそうだな」
龍人は眉を八の字にして笑った。
安吾もつられたように困った顔になり頷く。
「まぁ、尾行だから当然だが、気付かれないのが得策だな」
龍人も安吾も周辺のマップは頭に叩き込んである。
周囲の人の動きや交通状況にも注意を払いつつ奴らが出てくるのを待つ。
数分後ーー
「出てきた」
外国人たちは、ビルの中に居た人物も含め、男三、女二の五人が出てきた。
気付かれないように全員の顔写真を撮っておく。
百メートルほど、外国人たちが離れるのを待ち、後を追う。
まずは、駅に向かうようだ。
都心へ向かう電車に乗り込む。
龍人、安吾は隣の車両に乗り込み、様子を伺う。
しばらくして、新宿駅に到着する。ターミナル駅であり、一日の三五〇万人を超す利用者数を誇るこの駅での尾行は至難の技だ。
どうやら、外国人たちはこの駅で降りるようだ。
「一応、タカと樹にも一報入れておくか」
安吾がコクリと頷くと剣持崇智にコールした。
「崇智さんと樹さんもこっちに来るそうです」
「そらそうだ。自分の受け持ち区域で何かあったらやっかいだしな」
駅構内を東口方面へ向けて歩を進めている外国人たちを尾行しながら、龍人は苦笑する。
「交戦とかならないと良いんですが……人が多すぎる」
安吾も独り言のように言う。
外国人たちは、そのまま改札を抜け外へ向けて歩いていく。このまま行くと東口交差点、人のごった返した大通りに出る。
いくら大燈班の一員とはいえ、一番の若手、安吾の緊張していた。こんな人ごみで何かあったら……
そればかりが頭の中で警報を鳴らしていた。
大通りに出た外国人たちは、信号を渡り区役所方面へ向かった。まだ人が多いのには変わりがないが、大通りからは外れた方に向かってくれたことに少し安堵する。
新宿区役所前の交差点を過ぎた辺りで、龍人は違和感を感じ始めた。
前を歩く外国人たちは、特に変わりなく雑談を交わしながら歩いている様に見える。
そう見えるのが、逆に違和感の正体だったのか、花園神社の入り口に差し掛かる頃、その姿を現し始めたのだ。
「たった二人に七人がかりってのも、やり過ぎだと思うが、悪く思うなよ。お前らちょっと邪魔だから消えてくんないかな?」
後ろから声をかけられた。
振り返ると後ろからも男が二人、ニヤついてこちらを見ている。
完全に囲まれてしまっていた。