16話:嫌なんだけど……
「いいわよ」
レアは戸惑いもなくさらりと言った。
そんなレアにセナはにっこりと微笑む。
「ありがとう、レア」
「ちょっ……二人とも何言ってんの!? 一緒に住むとか、ありえないし!!」
二人には全くついていけないわ……。
にこにこ笑っている二人に呆れた目で見た。
途端にレアが少し考え込んだ表情をした。
い、嫌な予感が……。
「でも……ママが可哀想だし……」
レア、なんかトンデモナイ事を口走るような気がするんですけど……。
「そうだ! 私がママのところに戻るわ。この部屋には二人で住めば……」
「ちょ……ちょっと待って。こいつと二人で住む? 冗談じゃないし!!」
「いいじゃない! 一石二鳥よ。萌花はセナに直接教えてもらえるんだし、ママは寂しがらない!」
レア……そんなことすると、私がずっとあんたを怨むよ。
そんな私とレアを見て、セナがくすくすと笑った。
「萌花、それは僕にすごーく失礼だよ。レアの考え、良いと思うよ」
「そうでしょ? じゃあ、早速荷造りしてくるね」
早っ!!
やっぱり呆れた目で見てしまう。
「どういう事? 私、天童君と一緒に住むなんて嫌なんだけど……」
少しキツイ口調で言ってみた。
セナはまた笑ったが、目は笑ってはいなかった。
「へぇ、そう……」
「そ、そうよ」
「わかった。じゃあ僕、今日は友人のところに泊まるよ」
ちょっと可哀想だったかな。
セナはそう言って出て行った。
「あれ、セナは?」
荷造りを済ませたレアはきょとんとした顔で尋ねた。
「友達のところに泊まるって」
レアに素っ気なく返した。
「萌花、何かいったんでしょう?」
「……」
レアが問い詰めるも、無言でいるしかなかった。
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「おはよー友美!」
久々の学校に胸が高鳴った。
今日はレアも一緒だからさらに嬉しくなる。
友美に会えるのもうれしい。
「おはよう! 萌花……ってあんた!!」
いきなり顔を見合わせると、友美が抱きついてきたのでびっくりした。
「な、何なの!?」
隣のレアも驚いている。
すると、友美は離れて私の事をまじまじと見てくる。
「あんた、変わったね!!」
「ど、どういう意味?」
「綺麗になった。この夏で」
友美は眩しいくらいの満面の笑みで微笑みかけた。
それから、隣を見て尋ねた。
「隣の子は誰? なーんか誰かに似てるような……」
「天童レアです。天童セナの妹です」
レアは丁寧にお辞儀をする。
「ふーん、セナの。超可愛い子じゃん」
「あ……この子、友美。私の友達」
そう友美を紹介した時、チャイムが鳴った。
「やばっ。2学期初日から遅刻はないわ!」
友美が焦って、校舎へ向かっていった。
レアは一応転校生なので職員室に、私は友美を追いかけて教室へ向かった。




