11話:可愛い……?
「あの、本当にこの格好で行くの?」
短いスカートをひらひらさせて、私は尋ねた。
そんな私にレアは迷いもなく頷いた。
「そうよ。似合ってるわよ、萌花」
似合ってるなんて……!!
太くて短い足が見えちゃうし……。
ドレスなんて私には似合わない。
「まず、足を出すってこと自体が……」
「萌花、痩せたし。足も長いから栄えるわよ」
レアの言っていることが理解できない。
お世辞は言わないで……、とまた文句を言おうとした時、玄関のチャイムが鳴り響いた。
はーい、とレアは玄関に向かう。
「おはよう。レア」
そう言ってセナはレアの頬にキスをする。
私にもキスしようとするところを必死に止めた。
セナはパリッとしたスーツを着込んでいる。
美しく、見とれてしまうほどだ。
レアはでパープルのフレアドレス。
大人の色気が出ている感じで美しい。
私は……場違いかも。
白のドレス。フリルが付いててスカートは短い。
こんなドレス、友美が着たら可愛いんだろうな。
「萌花……綺麗でしょ? セナ」
レアはセナに尋ねた。
「うん。凄く……可愛い」
セナはにっこり微笑みながら、そう言った。
いや、そう言われると照れるんだけど……。
「お世辞はやめて。パーティは二人で行って」
素っ気なくそう言うと、部屋に戻った。
はぁ、ちょっときつかったかな……。
そう思った時、部屋をノックする音が聞こえた。
「萌花、入って大丈夫?」
うん、と返事するとセナは部屋の中に入ってきた。
「何?」
「うん? 何もないよ」
私が怪訝な顔をしたのが分かったみたいで、セナはにっこり微笑みながら言った。
「僕もパーティ行くのやめるよ」
「どうして?」
「萌花が行かないから、やめる」
このパーティはセナにとってとても大事なパーティらしい。
セナの将来に関わるらしいけど……。
「どうして、私が行かないからやめるの?」
「萌花が行かないと意味がないからだよ」
どういう意味?
考え込んだが、意味が分からない。
しかし、私が行かないとセナの将来に関わるわけだ……。
「分かった。それなら行くわ」
そう言うとセナはまたにっこりと微笑んだ。
「今の萌花、凄く可愛いから。僕でも……魅せられた」
セナの頬が少し赤くなってる気がした。
「じゃあ、先に玄関で待ってるね」
そう言って、セナは部屋を出た。