前書き プロローグ
太陽が山の向こうへと沈もうとしていた。村の方から、彼はその様子をじっと見つめていた。こうして夕日をまともに見ることなど、ほとんどなかった。友達と一緒にいるときは、会話の合間にちらりと目を向けて、夜が訪れる前の赤く染まった太陽をほんの一瞬眺めることはあった。そして友達に呼ばれると、またすぐに視線を戻してしまうのだ。
でも今は違った。ただひとり、ここに立って、深く考えていた。自分のこれまでの人生について、こんなに真剣に向き合ったことは今まで一度もなかった。
川のそばだった。かなり幅の広い川で、去年の冬に身をもって知ったが、深さもそれなりにある。あのとき彼は、退屈だというだけの理由で、一月の真っ只中に川へ飛び込んだのだ。彼らしいといえば彼らしい。退屈になったら考えるより先に体が動く。水はあれほど冷たくなかった……いや、もしかしたら彼が寒さを感じにくいだけなのかもしれない。よくわからなかった。ただ、あの瞬間は血が沸き立つような興奮があった。川の中心まで泳いで、また戻ってきた。
今は川から数メートル離れた小屋の上に腰を下ろし、夕日を眺めていた。小屋はさほど高くない。高さは二メートルちょっと、幅は四メートルほどだろうか。窓から中を覗いても、たいして何も置いていないようだった。左手には土手を下ったところに道路が走り、その先に村がある。
夜の闇が、じわじわとすべてを飲み込んでいった。赤く燃えるような太陽は、まるで暗闇に屈することを拒んでいるように見えた。だが闇はわかっていた——この戦いに勝つのは自分だと。まるで彼自身の心を支配しようとしているかのように。それでも彼は、太陽と同じように信じていた。この暗闇はきっと一時のものだ。いつかまた、光が闇に打ち勝つ日が来ると。
夜の暗闇の中で、彼はまだ考え続けていた。たった十六年の人生だったが、色々なことがあった。一番古い記憶といえば、幼い頃のぼんやりとした光景だ。学校、友達、怖い夢、三歳のときに行った雪山への旅……そういった断片的なものばかり。
子どもの頃からやんちゃだった。いたずらをするのは誰でも同じかもしれないが、彼の場合は特にひどかった。認めたくはないが、意地悪で何かをしたこともある。それでも大半のトラブルは、わざとではなく偶然が引き起こしたものだった。あの石が手から滑って……どこへ飛んだっけ?ガラスに当たって、割れてしまったのだ。そういう失敗のたびに反省した。でも子どもなんてそんなもの——後悔は長続きしない。しばらくすると、また同じことを繰り返すのだった。
でも今この瞬間、自分の人生が止まっているように感じていた。毎日が同じで、週末にちょっと変化があるくらい。本や映画やゲームの主人公みたいな冒険がしたかった。でも現実はそうじゃない。自分の日常はあまりにも平凡で、何も起きない。世界を救うような大冒険がしたいわけじゃない(……まあ、心の奥では何度か考えたことがあるけれど)。ただ、この単調な日々を破ってくれる、ちょっとした冒険があればそれでよかった。
太陽の光はどんどん薄れ、闇がすべてを包んでいく。もうすぐ街灯が灯るだろう。土手の上は村から二十メートルほど離れているが、それでも街灯の光は届いてくる。
そう。あの瞬間、彼は気分が沈んでいた。まるで闇が大地を染めるように、自分の心にも忍び込んでくるような気がした。でも心の深いところでわかっていた——これは本当の闇じゃない。どちらかといえば……憂鬱?それとも退屈?うまく言葉にできなかった。ただ、闇が自分の中で広がっているわけではないとわかっていた。
そしてついに太陽は完全に沈み、夜がすべてを制した。ただひとつを除いて——闇に抗い続ける、人々の灯りだけを。




