0話 プロローグ
俺の名前は周防識。
25才、ブラック企業勤めの独身サラリーマンだ。
日々、本当に酷い就労状態の中、今日は約1ヶ月ぶりの休日だ。疲れに疲れ切った心身を癒す為、ダラダラと自室のベッドの上でゴロゴロとしている。
せっかくの貴重な休みだというのに張り詰め続けた精神が深い眠りを許してくれず、結局いつもの起床時刻にはしっかりと目が覚めてしまうのだ。
起き上がる気力は無いものの、枕元のスマホをなんとか起動させて情報系のサイトを流し読みをする。
勤め人となってからはあまり時間は取れなくなってしまったが、俺の趣味は読書だ。
読書といっても図鑑や歴史書、解説系の雑誌などが好物で何の役にも立たない知識、情報、なんでも良いので、とにかく知らない事を新しく知るということが好きなのだ。媒体は紙でも電子でも構わない。
知識欲に終わりは無い。
出来ればずっとこうしてダラダラと知識欲を満たしていたいが、生きる為には働かなければならない。
せっかくの趣味の時間なのだが、過労に病んだ心が集中を乱し、いまいち楽しめない。
「はぁぁ〜。明日こそ辞めてやる。」
もう何度目かも分からない独り言をこぼし、一旦気分転換でもするかとスマホを置き、ベッドから足を下ろす。
立ちあがろうと重心を前に倒したところで違和感を感じた。
続いて全身から急に力が抜け、ベッドの横にドッと身体が投げ出された。
そのまま瞼が重くなり、意識が遠のいていく。
自分の状態は分からないが、過労による異常事態だと察した俺は、こんな事なら本当にもっと早く形振り構わず辞めておけばよかった、そう後悔しながら意識を手放した。
最後の視界は薄い木目調のフローリングと結局読めずに積んだままになった本の背表紙だった。
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