悪夢の実現
「・・・夢か?」
流石に疲れが溜まっていたのか。まさか、自分の叫び声に起こされる日が来るとは・・・。
目が覚めた俺はネットを開くことに。
Yahuu!!のニュース欄には今日も【名古屋のオーロラ解析出来ず】の項目。その、すぐ下には【NACA職員200名死亡】の見出し。
―実験事故か?
NACA職員200名が死亡。先日起こった名古屋 栄でのオーロラによる飛行機墜落事故。警察の調査で乗客は全員NACAの職員であったことが判明。しかし、NACA側は200名の海外へ行くことを認めておらずオーロラに続き、事故でも謎が判明した。
―飛行機の乗組員が全員NACAの職員・・?
そこで俺は不意に冷蔵庫を眺めた。
「これは結局何だろうか?」
「おはよう。」
「あぁ。睦美か。夜だけどな。」
扉を開けて入ってきたのは睦美。叫び声を聞かれたらしい。
「NACAの職員の話。聞いた?」
「今、ネットで見てたところだ。」
目を睦美からパソコンに変える。
パソコンを見つめているうちに睦美はキョロキョロしていたのかいきなり実験室の方から声がした。
「これ、何?」
真ん中で扉が別れており、開けっ放しだ。中に入ると睦美は銀紙と導線でつながっている円形の物体を指差した。
「それはイオンクラフト。正負が非対称の形状の電極を備えたコンデンサで構成されてて、片側の電極は針のように尖らせ、もう一方はアルミ箔のような広い面積を持たせた形状にすることが多い。このコンデンサに高電圧をかけると、大気分子に誘電分極が発生し、誘電体となった大気に、非対称の形状の電極が発生させる正と負の電場から、各々異なる大きさの電気的な力が働き、結果的に大気の流れが発生する。イオン風が発生することで浮力が生じた結果、浮遊・飛行することができるってわけ。」
「?」
「ま、要は空を飛ぶってわけ。」
原理を聞くだけでは一介の高校生には分かるわけなく簡単に説明する。
「いろいろやってることは分かったわ。こっちは?」
「これは超高温を発生させる装置。冷蔵庫の耐久に挑戦した。」
「で、冷蔵庫は?」
「見事耐え抜いた!!!!」
「あそ。」
そう言い残し彼女はすたすたと歩いていく。
―そういえば、あいつの姉貴は宇宙で死んだ様なとか言ってたが・・・。
そこで俺は宇宙で生身になればどうなるのか気になった。今は楽だ。ネットがあるため。
直ぐに宇宙 生身 で検索した。
Q:宇宙で生身になればどうなるの?
A:15秒近くは生きていられる「可能性」はあるね。そのあと、窒息したり、被爆したり、太陽光線に焼かれたり。爆発することはないかな。
そこで俺の脳裏に浮かぶのはさっきの夢。
己の体が、焼かれる夢だった。
―戸惑う必要はあるのか?暗黒物質やエネルギー。無重力物質まで発見した。ここで止まれば・・・。いや、宇宙の全てを発見すれば俺の人生などベリーイージー。ここでやめれるのか?