何か異世界召喚されたっぽい。キャッホォォォィ勇者ktkr! ………え?魔王?
皆さんは異世界召喚というものを知っているだろうか?
一般的に勇者として魔法ありの中世ファンタジーな世界に召喚されるといった認識が多いだろう。別に勇者じゃなくとも落ちこぼれ系主人公といった類の使い魔として召喚されることもある。
召喚された時に魔力が異常に多いなんてことがわかったり身体能力が異常になってたりとつまりは俺TUEEEってことだ。まぁ、基本だな。
地球の進んだ科学力を持ち込んで技術、産業革命を起こすのも悪くは無い。所謂技術チートってやつか?
まぁ、ここまで俺が考える一般的な異世界召喚について語ってみたんだがこれが必ずさっき語ったようになるとも限らなくて……
「おお、貴方が新しい魔王様ですね。どうか我々魔物達を導く王となって下さいませ」
「はぁ?」
わけがわからない。
俺は今日あった事を思い出してみることにした。
朝起きて朝食を取り遅刻しそうになりながら学校に登校。午前中の授業を受けて昼食を取る。午後からの授業は睡眠学習をした。放課後になると部活があるのだが帰宅部の俺は普通に下校をした。そのはずだ。
決して道端に怪しい魔方陣みたいな物があってそれに気を引かれて近づいたら吸い込まれたなんてことは無い。決してだ。
「いや、魔方陣に吸い込まれたからここ魔界に飛ばされて来たんでしょう。」
「勝手に心を読むな、心を」
目の前には額から角が二本生え、背中には蝙蝠のような羽がついている。手足の先には鋭いかぎ爪。これだけ見ると典型的な魔物みたいだがたった一つ、あるポイントがそれを台無しにしていた。服装だ。
まるで仕立て上げられたばかりのような執事服。袖と裾の部分についている赤い物体(恐らくは返り血だろう)が非常に目立っている。
俺はこいつの事をこれからセバスチャンと呼ぶことにしようと思う。
「てか、あの魔方陣自体が魔王の適性があるかどうかを見極めるための物ですしね。適性が無い人には見えすらしませんよ」
最初の丁寧な言葉使いは何時の間にやらまるで友達と話すような言葉使いに変わっていた。魔王の事を呼び捨てにしているし。
「その点、あなたはスゴイっすよ。普通の人なら見えたとしてもきみ悪がって近づきませんもん。だから魔王に選ばれたってことで」
「それよりどういうことか説明してもらおうか」
「どういうも何もあなたは魔界に召喚されたんすよ。新たな魔王として」
セバスチャンの話によると
・魔王が寿命で死亡
・後継がおらず魔王になれる器を持った悪魔もいない。どーする?
・異世界の人間よんで魔王にしちゃえ
ってことらしい。さらに俺は大量の魔力を持ってるとか何とかで既に先代の魔王を超えているとか。
それどんなチート?
「と、いうわけで魔王となっていただくことを決意して下さいました?」
「……はぁ、わかったよ。魔王になってやる。ただし、国政とかは出来ないからな」
「それで十分っすよ」
こうして俺は、異世界で魔王をやることになった。
魔王着任式での挨拶で彼は魔界の全魔族を驚かせることになる。
「どうも、俺、山田太郎っす。分け合って魔王やることになりました。まずは、人間界の全ての魔物、及び魔族を撤退させます」