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願い事
今にも朽ち果ててしまいそうな、腐食した木でできた小さな祠。
中をのぞくと、いかにも手作りという感じの羽のある石像があった。
アキラと目を見合わせ、恐る恐るべっこう飴を供え手を合わせる。
噂を聞いた時から来たかったとマリエがつぶやいた。
ずっと願っていたことがあるから。真剣なマリエの横顔を見ていると悲しくなった。
その透き通った瞳に私だけを映してくれたら良いのに。心を独占したいという欲があふれ出す。
叶わないと知っていても望まざるを得なかった、かすかな希望が崩れていくのを感じた。
帰り道、急な坂を自転車を押しながらのぼる。
横をのんびりと歩くマリエはニヤニヤしながら聞いてくる。
「気にしてないって言ってたのに結構しっかりお願いしてたよね。」
「そんなことないよ。」
「そんなこと、なくないよね。」
「ないって。」
「どんなお願いしたの?」
「内緒。」
「マリエは何を願ったの?」
「秘密。」
数秒目が合い、吹き出すように笑う二人。
お互いの願いは聞かず、マリエの家に帰ることにした。




