プライスレス
テッテレ~♪
リオは『身分証』を手に入れた♪
「基本中の基本ですが、悪用は厳禁ですので。まあ、『特級』を持つ方にそんな人はいないと思いますが」
顔色が非常に白い職員さんから、只今注意事項を聞いております。‥‥‥‥大丈夫かい。
「そこは、『紛失』とか『破損』じゃないの?」
「非常に耐久性に優れておりますので、破損は不可能と言われております。また、どこかに置き忘れたり、落としたりしても持ち主の手元に戻る仕組みになっております」
─────なにそのチート仕様。
「‥‥‥‥すごぃんだねぇ」
「大昔の仕組みなんですが、今では再現不可能な技術です」
ほおおぉ、昔の人は凄かったのか、それともどこかの異世界チートマニアック野郎が作ったのか。
自分にはできない芸当という事は、はっきりしている。そういうのは、イマイチ萌えないんだよね~。
「これがあれば町へ入る時も、手続きなしで入れますし~お金の振り込みなんかもできちゃいますよ~」
─────おお、これでおっさん達に頼らなくても、検問が突破できるってわけだ。
それに、振り込み?ナニソレ、キャッシュカードみたいな物かな?よく聞けば、元の世界の、キャッシュレス決済のような感じで使えるらしい。
おぉい、変な所で元世界の技術があるな!作ったやつ絶対あっちの世界の人間だろっ! ‥‥‥‥でも残高ゼロデス‥‥‥‥。
「普通の『身分証』は善人である証なんですが、『特級』はそれに加えて、相当の実力者と認めたという証なんです~」
「『特級』を発行できる権限を持っているのは、ギルドの長だけなんですが、これを持っている人は、今はあまりいません。長としての資質も問われます。‥‥‥‥昔、乱用されて審査が厳しくなったんです。長も初めて発行したんじゃないんでしょうか‥‥‥‥」
─────何という、プライスレス‥‥‥‥。
「でもコレ、何も書いてないよ?」
ヒョイと掲げるプレートは正にカードサイズ。
裏も表も何も書いていない、銀色カード。
「それに、『魔力』を通してもらいますと、色が染まって登録完了となります。─────自分も初めて見るので緊張しています」
「僕もですっ!こんな機会ないので、楽しみですっ!」
─────え、私がやるの? それもそうだよね。
事務的だった職員の男の人が、平常心を取り繕いながらも、視線で何だか期待度が高いのが解るし、ウィル少年も目がキラキラしてる。
‥‥‥‥どうしよう、そんなに見つめられると緊張する‥‥‥‥。
「─────早くせんかっ!」
「間に合ったようじゃから、いいじゃろ」
空気を読まないおっさんズが、扉を開けて乱入してきた。
二人も参加するの?と聞くと「ワシは後見人の一人じゃからの」「初見だからな、興味がある」とドカリと真正面に座った。‥‥‥‥ますます緊張する。
ここで一つ問題があった。─────『魔力』ってどう流すの?
『魔術を発動する感じを、カードにしてください』
─────おう、『ナビ』さん。急に出ないでよ、びっくりしたよ。『発動』する感じね、よしよし。
「ワフッワフッ (込めすぎるなよ。壊れるぞ)」
うわん、シロ君信用ないなっ!ちょぃ~と流せばいいんでしょっ!
皆にも見えるように腕を伸ばし、ちょぃぃぃ~と流し始めると、端からカードが黒く染まり始める。
出来上がったのは、前世では縁もゆかりも無く、お目に掛かった事もない『ブラックカード』。
ただし、なんの文字も数字もない真っ黒カード。
「おお、『ブラックカード』じゃん。でも、色以外何もないのね」
相対する人達を見れば全員、目も口も全開に開いて『カード』に一点集中している。
どうした、皆?何かマズかった? 反対側か!? こっちは裏で、表に色々出ちゃってる!?
慌ててカードを返すと、キラキラと見慣れない白い紋様が、ユラユラ浮かんでいた。
─────何だ、このマーク? しかも、浮いてる? まさかのグラフィック?3D仕様?
見知らぬ紋様はユラユラした後、目の前でふわっと煙の様に消えた。
カードに残ったのは、ちょいちょい見かけたここのギルドのマークのみ。
「これで、いいの?」
─────ピッと皆に見せると、おっさんズは無言で頷いた。




