いえいえめっそうもない!
自分達が所属するギルドは、国内でも有数のギルドだ。
規模はもちろん、所属する人員もレベルもそこら辺とは桁違い。
それもこれも、トップである長の人物像によるものといっても過言ではなかった‥‥‥‥。
「きさ─────んっ!!この頭についとる、けしからんものはなんじゃ─────っっ!」
「やめんか─────っ!髪だけ掴むでないわ─────っ!」
─────自分達はいったい何を見せられているのであろう。
親より上の年齢の、本人たちが言わないだけで実は身分が高そうな人達が、髪の毛を巡ってドタンドタンと子供のケンカのように取っ組み合いをしている‥‥‥‥。
新人の頃より、分け隔てなく対応してくれた長が‥‥‥‥。
「ぬうぅぅぅぅ‥‥‥‥こ、これは‥‥‥‥毛根がある‥‥‥‥だ‥‥と」
あの何事にも動じない、沈着冷静だと思っていた長が‥‥‥‥。
「これはどういう事だっ!詳しく、漏れ一切なく、隅々まで説明しろっ!!」
ソファに座り込み、バンバンバンバン机を叩く長‥‥‥‥見たくなかった‥‥‥‥。
無言の二人の視線は、長の被っている帽子に吸い寄せられる。
「‥‥‥‥いや、それじゃなくてだな‥‥‥‥」
「これ以上の案件などないだろうっ!!」
正確に言えば長には髪の毛はあった。─────だが、長は自分達が新人の頃より、いつ見てもちょこんと帽子を被っていた。 あれはオシャレに気を使っていると思っていたのだが‥‥‥‥。
‥‥‥‥あの、帽子の下は‥‥‥‥知りたくなかった‥‥‥‥。
「それは置いてだな「なんだとっ!」‥‥‥‥この娘等から、何か報告を受けてる最中じゃないのかの?」
─────イヤァやめてぇ。今はこっちに振らないでえぇぇぇぇ。
「‥‥‥‥ん?ああ。この者たちは、昨日救出された者に付いていた冒険者だ」
長は、調子を取り戻した!!
「他の救出された者達は?」
「子供以外、ひどい状態だ‥‥‥‥」
‥‥‥‥筋肉痛ですけど‥‥‥‥。
「‥‥‥‥そうか。ワシが来たのもそれ関係じゃ」
何を想像しておられるのか知りませんが、筋肉痛ですから‥‥‥‥。
「アル坊どもが昨日『深淵の森』から客人を連れてきてな‥‥‥‥」
‥‥‥‥私達ここにいていいのかな~長のイメージがこれ以上壊れる前に、出来れば退散したい‥‥‥‥え、『深淵の森』からの客人?
「‥‥‥‥あ、あの。ひょっとして、私達ぐらいの年格好で‥‥‥‥」
「─────おお、それくらいじゃの」
「‥‥‥‥異国の格好をした」
「そうじゃの」
「‥‥‥‥大きな白い犬を連れてる‥‥‥‥」
「うんうん。なんじゃお主ら、知り合いだったのかの?」
「「─────いえいえいえいえいえいえいえっ!!めっっそうもないっ!」」
ぶぶぶんっと二人は全力で否定すると同時に、窓がガタガタ鳴り出した。
『 ─────てめえぇらぁぁ!くせぇ─────んだよ!─────表出ろやぁぁぁぁ─────』
─────怒声と共に建物がビリッビリッと揺れる。
「「ぜっったい!知り合いじゃないですっっ!! 」」
オオオオオオォォォ─────ン
フェンリルの声と同時に、盛大に窓が破壊される音が聞こえてきた。




