テンプレ?
「ふおぉぉぉ────。あれが街か~」
大型のフェンリルがそのまま行くと大騒ぎになるって事で、街の手前でシロ君から降りました。
シロ君も心得たもので、街に入る時には大型犬サイズになっております。
門から見えてきた光景にテンションが上がってくる。
これぞ異世界!まさに、旅の始まりの街ってところだな。
─────私の始まりは森の中でしたけど。
建物は石造りが多く、中世のヨーロッパって感じもするが、たまに木造の建築物も見える。
─────あんまり統一感はないんだな。
自分の前にはおっさんと少年が先導をする形で歩いており、その後ろを私とシロ君が歩く。ちょっとお上りさん状態で、ちょいちょいシロ君に服を引っ張られている状態なのだが。
街に入る手続きは、おっさんと少年がやってくれた。
自分は身分証も証明書も何もない『怪しい一般人』なので、おっさんに丸投げしたのだ。
身分の高そうな年長者は、存分にその威力を発揮し、私とシロ君は何事もなく街へ入れたのだ。
「‥‥‥‥ウィル坊よ。さっき見た『ゲート』は黙っておけよ」
「あ、やっぱり普通じゃなかったんですね~リオさんがサラッとやってましたから、割とできる人がいるのかと思っちゃいました」
「んなわけあるかっ!あれは国でも出来るヤツはそうそうおらん。城内にも固定されているやつがあるが、極秘扱いだ。─────と、聞かなかった事にしろよ」
「僕は何も知りませんよ~聞いてもないです」
─────リオさんが作った『転移』のゲートを見ちゃっただけです。
軽い返事に「コイツ分かってるのか?」と頭を抱えたドルク。
「ご自分で言ったじゃないですか~」とこれまた軽く言われる始末。
‥‥‥‥あれか?これが世代間の差ってやつか。
少年とおっさんとでは、祖父と孫ほどの年齢差があるのであった。
「─────あ、屋台とかある~。ちょっと寄っていこうよ~」
一番の問題児は、あちこちフラフラするので、連れのフェンリルに服を引っ張られている始末。
─────もしかして、あのフェンリルが一番まともなのか。
─────ぷんすっとフェンリルから不機嫌そうな鼻息が漏れた。
「あ~、冒険者ギルドって思ったより整然としてるのね」
想像してたのと違った。─────こう、もっと雑然としていて、ケンカ上等の小競り合いが頻発しているような雰囲気が─────ない。
しいて言えば、お役所のようだ。
「何を想像しておったんじゃ?冒険者ギルドは大体どこもこんなものだぞ」
「‥‥‥‥お役所、苦手‥‥‥‥」
先ほどまでのテンションはどこへやら。
がっかり感を隠そうともせず、待合の椅子に座り込む。
おっさんは「ワシはここの長と知り合いじゃから、ちとここで待っておれ」と受付の方へ行ってしまった。
床材は自分の知っている役所の様に、真っ白でピカピカってわけではないが、木製でそれなりにきれいに張られていて、気分は待合室だ。
人もそれなりにいて、自分の様に大型犬を連れた冒険者とか、猫や大型の鳥を肩に乗せて歩いている人もいる。みんな賢そうで、人間にぴったりくっついている。
チラリと目線をやると、シロ君は自分の側でちゃんと『お座り』をしていた。─────うちの弟が一番!
「リオ姉さんは何を期待してたんです~?」
「─────いや、こう新顔が来たらさ「なんだテメェ!?新入りかよ!」‥‥‥‥ってケンカ仕掛けてくるヤツ‥‥‥‥」
「それ、普通に冒険者の規定違反ですよ~」
へぇ~けっこう厳しいんだね~。─────じゃコイツら何?
─────目の前にガラの悪そうな男達が、ニヤニヤと笑いながら自分達を取り囲んでいた。




