うっさいなぁ
お掃除は、大掃除に変化し、だいぶ派手な事になった。
渦巻く風とキラキラエフェクト満載の、そりゃあド派手な事態となりました。
ここにキラキラステッキがあれば、ニチアサの魔法少女ぽいかもと、頭の片隅によぎったのは内緒だ。
辺り一面真っ白な空間となり、あ、まぶっ、またしても目がやられるかもと思いきや、自分も随分耐性が付いたもので、光の柱よりはマシだった。
─────突然の事に目を見開きっぱなしのおっさんを、注意深く見つめると、腹の中心にどす黒い渦のような塊が「視えた」。
─────ヒュっとおっさんの目の前に移動し、驚きで声も出ないおっさんの腹部に、無言で右手を突き刺した。
「うぁ」
「─────なにをっ!」
突然の行動に隊長さんが声をあげるが、右手はすぐに引き出され、腹に穴は開いておらず、引き出されたその手には、ビクビクっと動く黒いヘドロのような物が握られていた。
「なるほど、こういう感じね」
─────ぐっと握り込めば、それはビクッと反応した後、キラキラに取り込まれて霧散した。
「─────んふっ。あと、どれぐらいいるかな~」
きょろきょろと辺りを見渡し、あそこか~と二階の開いている窓からひょーいと乱入していく。
一回視れば、結構目が慣れるもんだね~と、寝台に寝たままの黒い影の持ち主の腹を、遠慮なくブシブシ刺していく。
「ぎゃあああぁぁぁ」
「うわあぁ─────」
「たすけてくれぇぇ─────」
「ぎいぃぃやぁぁぁ─────」
うっさいなぁ。若いもんはうるさくてかなわん。痛くないはずだし?ちょっと腹の中探っただけじゃん。
おっさんを見習えおっさんを。ビビってたけど耐えたぞあのおっさんは。
─────おっ、そこで覗いているヤツ、お前もだよ。
「ひいいいぃぃぃ~」
建物のあちこちで悲鳴が上がり、何事かと皆が見渡していると。
両腕いっぱいに、ビチビチと黒い塊を抱えたリオが戻ってきた。
「シロ君、これで合ってるよね?」
フンフンとシロ君が匂いを嗅いで「ああ、コレだな」とお墨付きをもらう。
「─────よしっ」
─────バチィっと一瞬光が走り、黒い塊はキラキラと共に霧散していく。
「これで掃除完了と。‥‥‥‥あ、忘れてた」
お姫さんのお願いは『治癒』でした。ヤバい、すっかり忘れてたっ。
慌てて広範囲に『治癒』を発動させれば、おっさんの左足辺りにキラキラエフェクトが集中し、光が晴れると同時に、綺麗な足が生えた。─────髪も生えた。‥‥‥‥あれ?
キラキラエフェクトの風の渦を解除すると、中庭はとっても色とりどりの花畑に変わり果てていた。‥‥‥‥ありゃ、花咲いちゃったよ。マズいかなこれ。
「あ~喉乾いたな~」
「じゃあ、もどってお茶にしましょう」
誤魔化す様に発言すると、いつの間にか雑用係少年が隣にいた。
「試作品もできましたので、行きましょう」
─────行きましょう、そうしましょう、ホホホホホ。
フリーズしている人たちを置き去りに、私とシロ君と少年はそそくさと、その場を立ち去ったのである。
─────なんじゃこりゃあぁぁぁぁ
─────うわぁぁ─────
─────誰だよお前─────
─────腕生えた─────
背後で騒ぎが大きくなったが、私の出番は終わったのでお茶にしますっ!




