予想は外れない
『古文書』が『日記』だった件。
いや、どうなんだろう、─────コレ。
人によってはルンルンで読むかもしれないが、他人の黒歴史かもしれないものを、嬉々として見る趣味が自分にはない‥‥‥‥。
「‥‥‥‥これ『日記帳』じゃん‥‥‥‥」
「「 ─────日記!?」」
─────あれ?なんで二人とも驚くのだろうか。例の『聖女』様にも見せたんだよね?アイツに聞いてたんじゃないの?と聞けば、そんな事は聞いてない、よくある『古文書』だと返答されたらしい。
─────絶対嘘じゃん。 他の人が読めない事をいいことに、都合よく利用したな。
「『和也の日記』て表記があるけど‥‥‥‥」
和也の名前に覚えがあるらしく、にわかに騒ぎ出す二人。
「『カズヤ』といえば、伝説の勇者の名前ですよっ!」
「本当なんですかっ!」
─────んん~~伝説の勇者だと~~?
伝説って言えば、時系列的に昔々って事だよな?え~?この世界そんな前から、日本人いたんかいって事になるんだけど~ んん~?
「『伝説の勇者』って『勇者の物語』の勇者?」
と聞けば「まさか、知らないのですか」と知ってて当たり前な反応をされた。
─────知らねぇよ。
「私は、この国の人間じゃないからねぇ」
適当に誤魔化しておく。─────なぜそれが読めるのかって?それは企業秘密だ。
そう言うと、キョトン顔された。しまった、この世界に企業秘密は通用しないのか‥‥‥‥。
「なるほど、特殊スキルという事ですね。理解しました」
‥‥‥‥なんか勝手に納得された─────まあ、いいや。
それにしても、この『日記』なんだか嫌な予感がするな~。
表紙を睨んでいると、ピロンと小さく『ナビ』が出てきた。
『オリジナルの魔法陣があるみたいです。スキャンしましょう』
おいおい『ナビ』さん、めっちゃやる気じゃん。それ面白そうだな、ちょっとだけ覗いてみよう。ぴらっと表紙をめくってみる。
『俺様、勇者への道!』
─────ぱんっ
一ページ目で中二病な文字が目に入り、思わず閉じた。
スゥーーーーーーーっ。
─────がんばれ自分。ある程度予感していただろ?
気を取り直して、再度めくっていく。
『いきなり変な場所へ飛ばされた。いったいここはドコなんだろう?』
うん、まあ最初は普通か‥‥‥‥。
なんて思ったのは、初めの頃だけだった。
異世界転移の例にもれず?仲間を集め、旅に出た頃から『勇者』の行動は、何だかおかしな方向へ向かっていく。
『あのお姫様、めっちゃかわゆい。ぜってぇ俺の嫁』
『やっぱあの堅物女騎士、最高にスタイルいいよな。お触りしてぇ~ワンチャンありかな~』
『清楚系も外せんよな~。どうやって仲間になってもらおうかな~』
─────おいこら。
旅の目的が、どうやら途中からハーレム作りに向かっている。
異世界に来て、煩悩丸出しじゃねえか!
何だか細かく見る気が失せて、パラパラと数ページ飛ばす。
『オレ、もしかして天使に会ったかも』
─────ん?
そこには、最初の頃とはだいぶ雰囲気が違う一文が記されていた。
「─────天使?」
興味をひかれて、なにげに次のページをめくってみると、そこには彼女の名前らしきものが見開きいっぱい、びっちびっちびちびちに書き連ねられていた。
─────怖い怖い怖い怖い。なんだよ呪いかよコレ。




