あの病気ですか‥‥‥‥
ウィル少年が、あたふたと走り去った後、くるくる『杖』を弄びながら、出来上がった『陣』の周りを歩き、仕上がりの具合を再確認する。
陽炎の様にチラチラと、白い粒子を撒き散らす『陣』をじっくり眺める。
「‥‥‥‥これ絶対、同郷人だろ」
そう、出来上がった『陣』はそれなりの形にはなってはいたが、模様のそこかしこに見慣れた文字がしれっと交じっている‥‥‥‥。
見直せば、『異常解除』『絶対回復』なんて文字が、複雑な紋様の中に紛れ込んでいる。
─────確定だな。絶対日本人だろ、これ。文字に力があるって奴だろう。
まあ、ここまではいい。─────問題は『メッチャ ヒカリ ダス』『オソレ オノノケ』『オレサマのスゴサニ ヒザマヅケ』『オレ二 ホレロ』‥‥‥‥。
‥‥‥‥なんだコレ‥‥‥‥。
肝心の機能以外に、『オレ』の要求が多すぎる‥‥‥‥。
「‥‥‥‥煩悩垂れ流しすぎだろ、コレ」
─────はっ! そうかっ、これは例の病気だなっ!
これを作成した奴、さてはあの病気を、異世界まで来て拗らせたな、‥‥‥‥理解。
‥‥‥‥となると、これはどうなんだろう。
視線の先には『オレノ ハーレム 二 ハイルノダ』の文字‥‥‥‥。
‥‥‥‥うう~ん。これはちょっと問題あるような‥‥‥‥『ナビ』ちゃんよ。
「‥‥‥‥私に、改造いけるかな‥‥‥‥」
『 貴方なら問題ありません。改変しますか? 』
─────いけるんかい! どうせなら先に言って(?)欲しかったよ。
『 スリム化しても、問題ありません 』
色々盛りだくさんの文字を、無くしてもいいってことよね。‥‥‥‥取りあえず『ハーレム』云々は真っ先に消した。
「‥‥‥‥コレも消すか‥‥‥‥。まったくどんだけ飢えてんだよ‥‥‥‥こんなの世の中に残しておくんじゃないよ‥‥‥‥」
「─────おや、それは『解呪の陣』ですか?よくご存じですね」
‥‥‥‥出た。
シロ君にポイされたのに、もう復活したのかコイツ。─────無駄に丈夫だな。
ブツブツ言いながら、作業をしていると公然猥褻男が、興味津々という感じで改変中の『陣』を眺めている。
「『ご存じ』?─────コレ、知ってるの?」
今コイツ、この『陣』を知っている素振りだった。という事は、中に紛れ込んでいる『言葉』の意味を知っているんじゃないか‥‥‥‥?
「はい、我が家に伝わる『古文書』に、その『陣』に似たモノが記してありました。他にも色々書いてあるのですが、なにぶん古いものですので、すべて解読が出来てないのです」
「‥‥‥‥こ、こ『古文書』?」
─────『古文書』なる物がある!? 他にも色々ある!? しかも解読できない!?
‥‥‥‥それって、まさか。 日本語で書いてあったりして‥‥‥‥。
「‥‥‥‥それ、どこにあるの?‥‥‥‥閲覧できたりする?」
「私が持ってたのですが、アリサが『自分には解る』というので渡しました」
当ってた─────!たぶん当たってるぅぅぅ─────!『アリサ』ってあいつの事でしょぉぉ─────というか
「家に伝わるやつ、他人に簡単に渡したらアカンやつやろっ!」
思わずツッコんだら、意味が分からないらしく、キョトン顔された。
えええぇ~~ 私の方がおかしいの~~
「まったくです。そもそも保管庫から持ち出す事自体、おかしいのです」
─────おや、どちらさん?




