第65話 もう今日はこればっかり
僕は馬の上に倒れたまま動けない。なんで体がしびれてるんだろう? この網のせい?
ユイジュさんも同じらしく動かない。
「この俺になびかない女がいるなんてな」
ソウさんが、僕達の前に立って見下ろして言った。
「おっと」
チェトがかみつこうと飛びつくが、ひょいとソウさんがかわす。結構身軽だ。
『今、助けるから待ってろ』
チェトがそう言ってくれた。ありがとう、チェト! でも無理しないでね。
『挟み撃ちにしましょう』
『そうだな』
シュ!
また網が飛んできた! ソウさんがいる反対側からだ。仲間がいたの?
その網は、マトルドに被さった。
マトルドは、頭だけ僕達の網に引っ掛かっていて、倒れてもがいていたけど新たな網がかかると動かなくなった!
「マ……トル……ド」
ぞろぞろと五名ほど、男達が小屋の陰から出てきた。
『まずいな。網に触れれば我々でも動けないだろうから、あの網を取り除く事も出来ない』
――『耐性』の条件が整いました。『耐性』を作成しますか?
うん? これはもしかして……。
「は……い」
――『耐性』のスキルを取得しました。
――『耐性』はランク1になりました。
やっぱり! しびれが消えた!
「え? わぁ」
ガシッと突然足を掴まれて、引っ張られた。馬の上にあった頭は地面に打ち付けられた。
「いった~い」
両手で頭を撫でながら足元を見ると、小屋の陰から出てきた男の一人だった。
「何するのさ! 頭打ったじゃないか!」
「いいから立て!」
ぐいって腕を引っ張られ、立たされた。
『ロマド!』
チェトとサザナミが僕に向かって来る。
「ちょこまかとわずわらしい!」
なんと手で網を持っていて二人に向けて投げている!
あれって手でつかめるの?
『手袋だ! あれがあれば網に触れられる』
チェトが教えてくれた。
よく見れば、みんな黒い手袋をしていた。ソウさんもだ。
えーとまずは……。
「えい!」
僕の腕を掴んでいた男を持ち上げ投げ飛ばした。
「うわ!」
あれ? 動かなくなった。網必要ないかな? とりあえず、手袋を頂く。
「きさま!」
振り向くと網が飛んできていた!
咄嗟に手を伸ばし、網をキャッチする。
危なかった。また痺れちゃうところだった。あ、もう痺れないのか。
――『キャッチ』の条件が整いました。『キャッチ』を作成しますか?
あ、スキルだ。
「はいっと」
――『キャッチ』のスキルを取得しました。
「うんじゃ、お返し! えい!」
僕は、投げ返したけどそれを僕と同じく男はキャッチした。そこへ体当たり! 網ごとふっとんでいった。
『ロマドすまん……』
うん? え!?
チェトに網がかかってる!
「チェト~」
僕は、慌ててチェト救出に向かう。
そこにバサッと僕の上に網が落ちて来た。
「もう、じゃま!」
それを僕は、投げ返す。
「チェト大丈夫?」
網をチェトから外すと、起き上がった。
『ありがとう、助かった』
『大変よ。マトルドが……』
「声のする方を見ると、サザナミも網が掛かって動けなくなっていた。
「サザナミ!」
『あいつらまさか、マトルドがユニコーンだと知っているのか!』
チェトの言葉にマトルドを見ると、動ける男二人がマトルドに網をひっかけそれを引っ張って、マトルドをどこかに連れて行こうとしている。
「え! 何してるのさ! マトルドが怪我しちゃうよ!」
「お前も来るんだよ!」
ソウさんが僕の腕を掴んだ。
「何が目的なんだ!」
「……はぁ?」
聞いたのに、ユイジュさんの様な返事が返ってきた。
「わからないなら大人しくついてこい!」
そう言っていきなり大きな袋をかぶせられた。
「ぎゃー!! 何これ」
『ロマド!』
僕はバタバタと暴れる。
「なんで動けるんだよ! あ、痛!」
急に手を離されたから僕はそのまま転んだ。
「いった~い。今日はこんなのばっかり……」
袋から這い出ると、ソウさんが僕を睨んでいた。
「お前、なんなんだよ!」
「え~。それ、僕の台詞だよ。もうなんで……あ! マトルド!」
いつの間にか用意した荷馬車にマトルドを乗せようとしている!
「待って!」
駆け寄って男の人に手を伸ばそうとすると、フッと後ろから抱き上げられ荷馬車に投げつけられた!
ドン!
いった~い! もうホント今日はこればっかり。
『ロマド!』
チェトが僕を呼ぶ声が聞こえる。それがだんだんと遠くなっていった――。




