第62話 マトルドのお部屋
トントントン。
凄い一日で小屋が完成だ!
悪い奴らを捕まえて帰ってきたらマトルドをどうするか決まっていた。僕を含め、ダダルさんが管理下に置く事でマトルドと一緒に暮らせる事になった。
それで、家の横に小さいけど小屋をみんなで作ったんだ。
僕が材料を運び、ダダルさんとセードさんとユイジュさんが、柵や屋根を作ってくれた。
お金は国持ち! ただし約束を破ると全部自分支払いの上、マトルドは処分になるらしい。誓約書を交わしたんだ。
「よかったのか? もしかしたら魔法持ちとの冒険出来ないかもよ」
ボソッとユイジュさんが呟いた。
「え? そうなの? 僕、冒険者のままだよね? 国から直接依頼があったらすればいいんだよね?」
「はぁ? お前は……」
「そうだ。仕事内容は、親でも話さない。それだけだ」
ダダルさんが聞こえていたのか、後ろに立っていてそう言った。
「まあ、立派な小屋。本当にありがとうございます」
お母さんが、家の中から出てきた。
「お茶の用意が出来ましたので、中で休みませんか?」
「そうですな。ちょうど終わった所だし、お言葉に甘えて頂こう」
セードさんがそう言うと、皆家の中へと向かった。
お母さんには、冒険をする為にマトルドを買ったと言ってある。というか、そのままだ。
「もうロマドが後先考えないで、馬を買ってご迷惑をお掛けして申し訳ありませんね」
「いえいえ。いつも一生懸命ですよ」
ダダルさんがそう返す。
「それにしてもロマドにしか懐いていないのね。近づかないように看板も立てないと危ないわ」
お母さんがため息交じりに言った。
なぜだか、僕以外が近づくと怒るんだよね。お母さんでもダメだった。
あ、チェト達は大丈夫だけど。
「そうですね。看板も立てましょう」
こうして『危ないので近づかない様に』と看板も立てた。
マトルドは、近づかなければ、ただの大人しい馬なんだけどなぁ。角には、たてがみと同じような感じに似せた毛で覆われた袋を取り付けさせられた。絶対に外したらダメと言われている。
なので、今は角は見えない。
そうだ。マトルドにもランプのネックレス買わないとね。
「はぁ……。聖なる乙女ね」
ボソッと呟く声に振り向けば、ユイジュさんだ。
「よく通ったよな」
「嘘は報告してないぞ。俺達の今までの認識が間違っていただけだろう? 現にロマドにあんなに懐いている」
「そうだろうけど……乙女かあれが?」
「そう呼ばれているだけだろう?」
聖なる乙女? マトルドがそう呼ばれているの?
「ユニコーンって聖なる乙女って呼ばれていたんだ」
「はぁ? お前の事だろうが!」
って、驚く事をユイジュさんに返された。
「え? なんで僕が乙女?」
「だからそう言ったんだ!」
「ユニコーンが気を許すのは清い乙女だけだと言われている。今回それが覆ったわけだ」
とダダルさんが説明してくれたけど。
「うーん。もしかしてマトルドも僕を女だと勘違いしてるの?」
「いや、それはないだろう。だけどお前には懐いている。いいんじゃないか、それで。お前は、マトルドにとって特別だって事だ」
そっか。ダダルさんが言う通りマトルドの特別なんだ。なんか嬉しい。
「どうして、聖獣とかユニコーンとかそう言うのは、ロマドがいいんだ?」
「清いからだろう? 素直で裏がなくて。本能でわかるんじゃないか?」
ユイジュさんの問いにダダルさんが答えた。
褒められたんだろうか?
「ところで、マトルドのごはんって草だけでいいの?」
「正直、どうだかわからんが、草も食べているようだからそれで様子見だ。ロマドは、マトルドの言っている言葉もわかるのか?」
「ううん。声は聞いた事ないよ。話せたらいいのになぁ」
「え? 会話してるわけじゃないのか?」
ユイジュさんが驚いている。会話していると思っていたんだ。
「でも、僕の言っている事は通じてるみたい」
「まあ、言っている事が通じているのならいいだろう。問題ない」
ダダルさんは頷いた。
「マトルド。明日、お揃いのランプのネックレス買いに行こうね」
「はぁ? マトルドにまでつける気なのか?」
「もうユイジュさんは、一々煩い。いいじゃないか。みんなでお揃いなんだから」
「マトルドが着けれるチェーンの長さがあるのか!?」
「無かったら注文するもん」
「そこまでしてつけるのかよ……」
はぁっと、ユイジュさんは溜息をもらす。
もうそんな事で、一々ため息しないでほしいよね。
マトルドには銀色をつけようと思う。あるかな~銀色。今から楽しみだ。




