第58話 牧場に戻った白と緑のコントラスト
僕は一匹ずつ浄化する事にした。柵に入れて浄化。でないと、僕が凄く走り回らないと行けなくなる。逃げ回るからね。
元の姿に戻った羊は、人間不信はそのままっぽい。失敗して色がついただけなのかもしれない。
「はぁ……これ何匹目?」
「……これで10匹目だろう? まだ始まったばかりだ!」
目の前にいっぱいいるんだから全体に出来れば楽なのに。
「浄化」
羊は、一瞬で白へと変色、いや戻った。
――『浄化』はランク2になりました。
「え?」
「どうした?」
「ランク2になった」
「うん? ランク? なんだそれは」
「浄化がランクアップしたんだよ」
「………」
僕が教えたらユイジュさんが変な顔をした。眉間にしわを寄せている。それおじさん顔だと思う。
「レベルじゃなくて、ランクなのか?」
「浄化のレベルは4だよ。レベル4のスキルはランクアップするみたいなんだよね」
「そうか……詳しい話は後で聞くとして、ランクアップしたらどうなるんだ? 強度が増すのか? いっぺんに掛けられる数が増えるのか?」
「そっか! 増えるかもしれないね!」
「しれないねって……」
「見てみる」
うん? よく見ると範囲が1.1倍になってる。この倍ってなんだろう? 何が対象?
「どうだ?」
「うーん。よくわかんない。倍って何?」
「俺に聞いてわかるか……、取りあえず色々試せばいいだろう」
「あ、そっか。じゃ2匹いっぺんに出来るか試してみよう!」
羊を2匹、僕達がいるの策へと入れた。
「浄化」
並んだ2匹の羊は、揃って真っ白に!!
「凄いね!」
「それ、自分で言うのか? まあはかどっていいんじゃないか? ところで目眩は大丈夫か?」
あ、そっか。魔力が減ると起こるんだっけ? 浄化にも使ってるのかな? 今の所平気だ。
「うん。大丈夫みたい」
「そっか。ならいいけど」
こうして2匹ずつ10匹、ランクアップしてから5回浄化したけどランクアップはしなかった。そう言えばさっき見た時、【浄化させる】×10⇒ランク3 ってなっていたから10回なのかも。あと5回か。
――『浄化』はランク3になりました。
やっぱりそうだった。その後5回浄化したらランクアップした。ランク3は、範囲1.2倍。うーん。3匹いけるかな?
なので試してみた。3匹いっぺんに浄化出来た!
4匹も試したら出来た! 5匹も……結局6匹まで出来た。
「これ数ではなさそうだな」
「え? そうなの?」
「俺がわかるわけないだろう?」
「あ、よく見たら範囲って書いてある」
「おい! それ広さじゃないか!」
「どっちにしても6匹できるってわかってよかった」
こうしていっぺんに出来るのがわかって、浄化がもう一度ランクアップして4になり最後の1匹。
「浄化」
これで全部の羊が真っ白になった。
最初見た牧場は灰色だらけだったのに、今は白だから緑と白で綺麗……クラクラする。
「おい!」
なんか辺りが暗くなっていく。
『どうやら魔力を使い過ぎたみたいだな』
そう言ったチェトの声が聞こえた――。
□
あれ? ここどこたっけ?
ふと横を向くとチェトが僕を見ていた。
「チェト……」
『大丈夫か?』
「うん。あれ? 僕どうしたんだっけ?」
『魔力切れを起こしたんだ。連続して浄化魔法を使って上に、マジカルマップで常に魔力を奪われているからな』
「あ、そっか」
『気分はどう?』
「うん。大丈夫だよ。サザナミ」
僕は体を起こした。
今は、目眩はない。
『一気に使わなければ倒れる事もなかっただろうが。ランクアップは厄介かもな』
「え? なんで?」
『どうやらランクアップすると、消費する魔力も増える様だ。まあ、今回魔力を使った事で最大値は増えたようだが、連続して使うのは控えた方がよさそうだ』
「うん、わかった。そうするよ」
がちゃ。
ドアが開いた。
「起きたか? 目眩は?」
「うん。大丈夫」
「ありがとうな。まず一安心ってところだ。俺はちょっと出掛けるけど、大人しく休んでいろよ」
「うん。どこいくの?」
「今回の原因を探りに行ってくる」
「え?」
「じゃ。ちゃんと休めよ」
パタンとドアを閉めて行ってしまった。
『大丈夫かしらね?』
『少しやばい気もするが……』
「やばいって?」
『彼自体が被害に遭わないかって事だ』
「うん? 灰色にされちゃうの?」
『色は、錬金術に失敗した結果だろう? 普通実験というのは、動物に行った後、人間でもするものだろう?』
「それって、ユイジュさんが実験台にされるって事?」
『動物で成功していればな』
「止めないと!」
僕は、慌てて部屋を飛び出した。
「ユイジュさん!」
けど、もうユイジュさんは出た後だった。




