第25話 落ちて走って突っ込んで
モンスターは二体いて、まるで挟み撃ちの様にユイジュさんの右側と左側に分かれた。そして、同時に襲い掛かった!
その一体にユイジュさんは斬りつけ、一体の攻撃を交わす。
「凄いユイジュさん、かっこいい!!」
『おい。興奮するのはいいが落ちるなよ!』
「あ、うん」
『うん? まずいな。ユイジュは、どれくらいの強さだ?』
「え?」
『ランクだ!』
「知らないけどなんで?」
『奥にもう一体いるが、もっと強いやつだ』
「え? チェトもサーチが出来るの?」
『まあそんなところだ。モンスター専用だがな。下りるぞ』
「なんで!?」
『加勢に行く』
「だめ! ユイジュさん強いし僕達が行ったら危ないよ」
『我の方が強い!』
「え? うわぁ……」
暴れるチェトを押えようとしていたらバランスを崩し、枝から落ちた!
うそぉ!?
「うわぁ!!」
せめてチェトだけでも!
僕はチェトを守る為、ぎゅっとチェトを抱きしめた。
凄い。ヒューヒューと風を切る音が聞こえる。なんていうか、風を切ってるって感じ。
――『風魔法』の条件が整いました。『風魔法』を作成しますか?
え? なんで覚えたの? って、覚えても意味ないかもしれないけど……。
「……はい」
――『風魔法』のスキルを取得しました。
『足を伸ばせ!』
って、何? 一応言われた通り伸ばしたけど……。
ふと、落下速度が落ちが様な気がした。目を開けると、顔の前に大木が!!
チェトが両手両足で木に爪を立てていた! 木にチェトの爪の跡が刻まれて行く。
ちょっとした衝撃があったけど、地面に無事着地。死なずにすんだ……。
――『着地』の条件が整いました。『着地』を作成しますか?
「はい……」
――『着地』のスキルを取得しました。
無意識にはいって答えていた。
『大丈夫か? 怪我はないか?』
「うん。お蔭で着地を覚えたみたい……って、チェト! 爪大丈夫? ごめんね、僕のせいで!」
僕は慌ててチェトの前足を手に取って見てみると、木の皮がついている。それを払う。汚れているけど、血は出てない。一安心だ。
「よかったぁ」
『いくぞ!』
ぱっと、僕の手からすり抜けると、ユイジュさんの方へとチェトは駆けだした!
「待って! 危ないから! チェト!」
僕は慌ててチェトを追った。森の中は走りづらい。追いつけないまま、開けた場所へ出た。
倒された二体のオオカミモンスター。それを数倍大きくしたオオカミのモンスターがいた! ユイジュさんがチラッと僕達を見た。
「バカが! なぜ来た! チェトを連れて逃げろ!」
「ユ、ユイジュさん。そのモンスター倒せるの?」
「……さあな。ここにダイアウルフがいるなんて情報はなかったんだが」
ダイアウルフ?
『ランクAのモンスターだな。ユイジュ一人では無理だろう。我も全然万全ではないが、加勢する。あやつの魔力を奪えば、何とかなるだろう』
「え!? 待って危ないから!」
そう叫んだけどチェトは、果敢にモンスターに向かって行った!
どうしたらいいんだ。僕じゃどうしようもできない!
「ちょ! 何やってる!」
ユイジュさんも驚いて叫んだ。
僕達が驚いている中、チェトはモンスターの前足にかぶりついた。
「っち。ロマド! 俺がモンスターを引き付けているから走ってチェトを捕まえて逃げろ!」
そう言ってユイジュさんが、モンスターに向かって走り出した。
え! ちょっと待ってよ。それって、僕もモンスターに近づくって事?
ど、どうしよう……えーい! チェトの為!
「チェト!!!!」
僕は大声で叫び、必死でチェトの元へ走った!
でも、ユイジュさんが引きつけてくれるって言ってくれたのに、モンスターは僕目掛けてくるんだけど何で!?
「ぎゃ~! こないでぇ!!」
って、ダッシュで逃げ回る。モンスターは、チェトがしがみついたまま全速力で追いかけて来た。
何でこうなるの!?
「くそ! 速過ぎる!」
ユイジュさんの声が聞こえるけど……振り向いている暇がない。
『ぐわぁ』
うん? チェト!?
チェトが、振り落とされて吹き飛んでいた! 僕は救出に向かう。
「チェト!!」
『バカ、何やっている!』
って、モンスターと鉢合わせ!? って、こうなったら体当たりだぁ!!
僕は、スピードを緩める事無くモンスターが片足を上げるも、目を瞑って突っ込んだ!




