12 反撃開始 その2
イズミ達が担当したのが繁華街近くの今は使われて居ない筈の店兼倉庫
1階が店になっており2階3階が倉庫になって居る古い建物だった。
その窓は全て木で塞がれ家の中へ入る事も外から見る事も出来ない様になっている。
正午の鐘を合図に1階の店舗部分に入るとそこには
幾つもの大きな木箱が乱雑に置かれて居るのが目に入った。
イズミがその一つに近づき中を覗きこむとそこには何やら獣の気らしき物が付いて居る事に気付いた。
「オルイド、まさかこの毛って」
「オークだ。」
「それじゃあ魔物をここへ持ち込んで来てここから一斉に放ったって事?」
「おそらくな。眠らせて木箱へ入れ他の商品と偽って王都へ持ち込んだんだろう。」
イズミがオルイドと話して居ると物音に気付いたのか2階から数人の魔族が階段から降りて来ると
私達を見付け一瞬立ち止まった。
「お前達何故生きてる!」
「バァ~幽霊じゃ無いよ~~。」
お道化るカリナにその後ろで剣を構えるヤグス達に緊張が走った。
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時は遡りミラエスの提案から始まった。
「ハイ!提案が有ります!」
ミラエスが元気に手を上げるとその提案について話し出した。
「イズミ御免ね。」
そう言ってイズミの右手を掴んで上にあげるとその説明を始めた。
「イズミのこの手は前回の魔族との戦いで失われましたが現在この様に普通の手として
使える様になって居ます。
これは本物の手に見えますがこれは『マリオネットツリー』で出来て居る本物そっくりな木です。
『マリオネットツリー』それは人の形をそっくりそのまま形にする事の出来る木なのです。
イズミの場合身体の一部分だけと云うちょっと特殊な使い方をしましたが
本来その者の血とその魔力や精霊の力を使いその人物そっくりな姿に育つ事が出来ます。」
そこで一息つくとミラエスはそのマリオネットツリーの種を出しテーブルの上に置いた。
「この種を使いシェルシア達に一度死んでもらいます。」
「「「死ぬ?」」」
驚き立ち上がったシェルシアとセティア達だったがミラエスが優しく頷くのを見て又席に着いた。
「え~とっ御免なさい。つまりこの『マリオネットツリー』で自分にそっくりな偽物を作り
わざと隙を作り敵側に殺されるのです。そうすれば彼女達は死んだ事になり自由に動けます。
そこで以前イズミ達がミリニシアで闘った魔族が使った人を操る術式の逆の事をして貰いたいと思います。
彼等は自由に人を操る事が出来る術を使います。
ましてや王都の様に多くの人が行きかう所ならそれを使わない手は無い筈。
しかしそれを使われれば私達が不利になる。
そこでシェルシアにそれを妨害する術式をたくさん作って貰い王都中に張ればそれを防げるのではないでしょうか?」
シトラルが頷くとシェルシアに向かい
「シェルシア出来るか?」
「私を誰だと思って居るの?女神よ。その私が魔族が出来る事が出来ない訳が無いでしょう?」
そう言ってフフと笑うが何故かその仕草が何故か芝居じみていて
見て居る此方が恥ずかしくなって来て思わず俯いてしまうイズミだった。
「皆どうだろう?私としては結構良い案だと思うが」
シトラルがその場に居た全員が頷くのを確認すると
「ミラエスその中に勇者も入れてくれ。おそらく奴らは勇者が生きて居る事を知れば
一番に狙って来る筈だ。頼む。」
「勿論大丈夫。それでマリオネットツリーの使い方だけど初めに誰やって見る?」
「私やる~~。」
元気にミラエスの前に飛び出して来たのはカリナだった。
ミラエスは全員が見える場所までカリナと共に移動すると彼女にその種を持たせた。
「カリナ、この種に貴女の血を一滴たらしてそのまま持って居て。」
カリナは言われるがまま右の指先をチョンとナイフで傷付けるとその種を左手に持ち一滴血を垂らした。
すると徐々に人型に形どられたマリオネットツリーが徐々に大きくなり手に持てなくなると床に置き
そのままマリオネットツリーの頭に当たる部分に右手を乗せた。
「うわ~凄い本当に人の形になって来る。」
大喜びではしゃぐカリナだったが徐々にその顔色が変わって来た。
「ヘェッ?ちょっちょっと待って!まさかこれって!アッマズイ。ダメ!見ちゃダメ~~!」
「「「あっ!」」」
硬直する男性陣にレアの目を両手で塞ぐフェスタ。
カリナは急いでマリオネットツリーの立ち塞がりその身体を抱きしめて隠したが
生まれたままのカリナの姿をしたマリオネットツリーは
そこに居た全員にしっかり見られた後だった。
そこに走り寄り急いでミラエスが近くに在ったシーツを掛けて
落ち込むカリナと共に自分の部屋へ着替えさせに行くと
ミラエスだけが1人戻り。
「えへへへ、・・・え~着替えを用意して自分の部屋でやりますか?エへ」
小首を傾げ可愛らしく見せたが
そこには最初に自分がやらなくて良かったと思う3人の女性が居た事を
余りにも衝撃的な出来事の後だった為か彼女達以外誰も思いもしなかった。
そして残りの3人分全員がそれぞれ自分の種を持ち
部屋へ行くと暫くして「ワーワーキャーキャー」
賑やかな声がしたかそれが収まると
各自自分のマリオネットツリーの横に並び
階段を降りてきた。
「ヤッパリカリナは実物より胸が大きいわよ。」
「えへへ、気のせいですよ〜。セティアこそ実物よりスタイル良くなってない?」
「そっそんな事無いわよ!それこそ気のせい!気のせい!」
「フーン、私なんか元が良いから変える所なんか一つも無いわよ!」
「「大声でバラスな!」」
「フフフ」
階段を下りながらわざとらしく大きな声でシェルシアがカリナ達の変更点をバラしにかかったが
2人に口を塞がれ皆の前に並ぶまでその手を離そうとジタバタと暴れまわって居た。
しかしその3人のやり取りを微笑んで見て居るタルトは
何もしなくてもやっぱり可愛いと再確認出来た瞬間だった。
そして彼女達が自分のマリオネットツリーと並んで立つとその場に居た全員が息を飲んだ。
「「「凄い!」」」
「セティアのスタイルとカリナの胸以外は・・・。」
「「「ソックリだ!」」」
「皆までそんな事言って!これが私のサイズなんです!」
叫ぶカリナに俯くセティアが対照的で思わず笑いが込み上げて来た。
その時私の後ろから視線を感じて振り返るとミラエスが人差し指を立てて
口に当てる仕草をして居るのが目に入った。
それを見てそれ以上追求する事を止めたが
おそらく自分の願望がそのままマリオネットツリーに反映されたのではないかと
思えてならなかった。
しかし確かにカリナの胸は実物よりプラス4割程?
かなり盛ってる・・・よね。
その後勇者様も自分のマリオネットツリーを作ると
今後の作戦の話しが進められた。
作戦としてはこのままマリオネットツリーを連れてオルイドとミラエスが
買い物へ行きわざと裏道を通り襲撃し易くしながら繁華街へ行く
ただマリオネットツリーはそのままでは動く事が出来ないのでミラエスが3人を
セティア、カリナ、シェルシアを操りオルイドがタルトのマリオネットツリーを操って
買い物へ出かける事にしたがその時反対意見が出た。
「ちょっと待ったー!」
「どうした?俺はそれで構わないが・・」
オルイドが不思議そうにシェルシアに聞くとバン!と
両手でテーブルを叩き真剣な眼差しでオルイド達を見渡し。
「私さっき食事に行くからって頑張ったのに行けないなんて絶対反対!
食事だけは絶対行きます!ミラエス!」
味方を得ようとミラエスを見るシェルシアに応える様にミラエスも立ちあがり
「あっ!そうだ!食事行きます!それは絶対の決まり事!それは外せません。
その後マリオネットツリーと入れ替わる事を提案します!」
「しかし何時襲われるか判らないんだぞ。食事だけの為に危険を冒す必要は無いだろう。」
シトラルが口を浅むとシェルシアとミラエスの目が光った。
「「食事だけの為に??」」
「何言ってるんですか!食事をしなくてどうやって生きて行けるんですか!
私は誰が何と言おうと行きます!絶対行くんだから~~!」
シェルシアが子供が地団駄を踏む様に叫ぶと仕方ないという様に
シトラルが頭を抱えながらレアの方を振り返った。
「レア、彼女達が食事を終えたら何処かでマリオネットツリーと入れ替わらせて貰えるか?」
「判った。足しか食堂と繁華街の間に倉庫街があった筈だからそこで待ち合わせするか。」
「「やったー」」
「うん!それで行こう。」
そして勇者はその後マリオネットツリーと入れ替わりそのマリオネットツリーはシトラルが操る事になり
シェルシア達は食後予定通りの道順を通り途中で彼女達のマリオネットツリーと入れ替わる事に成功した。
その後彼女達は王都近くの森にレアに転移を使って貰い移動して身を隠し
シェルシアはせっせと魔法陣を書きそこに魔力を注ぎ込む作業を延々と続け出来た物を
レアが運びそれを精霊状態のシルクが王都中に張る作業が続いた。
そしてこの日作戦実行セティア達が堂々と魔族の前へ姿を現したのだった。
「バァ~幽霊じゃ無いよ~~。」
しかしカリナ、ハシャギ過ぎ・・・




