5、飛騨夜。1-8
怕竹雪、教室。
香。今何してんだろ。
仲良くしてるのかな、クラスの子たちと。
「まーた考えてんだ」
「何?」
「あの子のことでしょ、どうせ」
「あぁ」と適当に無愛想に返してしまう。白井ちゃんの声が脳に届く前に飛散してなかったものになる。外界からの音を本気で遮断してるのかもしれない。耳が遠い。
「何でそうな適当なんよ。嫌い?」
「んなことないよ、どしたの」
私は自分の席に座って、白井ちゃんは私の前で立って話してる。
「付き合ったんでしょ?、どーせその子のことばっか考えてんでしょ、見りゃわかるよ。考えが顔に出過ぎ、惚気あとで聞かせてね」
「まじ?そんな顔に出てた?」
「もう書かれてる」
「えぇ、、」
私の席は窓側、端っこの方なので太陽の日差しが直で当たるので眠たくなる。外に浮いてる空を見つめて空白を埋める。白井ちゃんが私の頬をぷにッと触って言う。
「いいねぇ、恋愛とか私もしたいよ、いい人とかいないのかな〜、」
「教室とかいい人いそうだけど」
「同じ教室はダメよ、別れたらどうすんのさ。気まずくて死にたくなるし第一タイプがおらんね。明らかにアホしかいない、下ネタばっか話しててやんなる、本当にバカしかおらん。雪はあんなやつと関わんないでね」
相当男子のこと嫌い視してるなーこれ。まぁ、言ってることは正しいかもね。優しそうな子とか大人しそうな子もいるけど仲良い人と一緒になると大体みんなうるさくなっちゃうもんな。高貴くんとかはもう陽キャラ感が出過ぎててもう近づけないし。私は香が一番良いや。
「ほら、また考えてらぁ」
「あれま。バレバレですか」
羨ましそうに白井ちゃんは私をつねる。肌が微かにヒリヒリする。赤くなってるかも。
「痛い痛い、いじが悪いよ」
「でもよかったよ、ひゃくちゃん元気じゃん最近」
白井ちゃんは私のことをひゃくちゃんと呼ぶ、会った時から「じゃあ私はひゃくちゃんって呼ぶね!あだ名!」と言っていたのを今でも覚えている、最初こそ気恥ずかしかったけれど、もう慣れだよね。もうひゃくちゃんと呼ばれないと心配になるレベルになった。
「元気だよ?私ずっと」
首を傾げる。私自身はずっといつも通りに明るくあったと思うのだけど。元気なかったのかな。つねられた肌を摩りながら私は白井ちゃんを見るている。
「いやいや、明らかに元気なさげだったからね、もう近づくのすら申し訳なくなるって感じ、やばいオーラ滲み出てたもん」
「えー、そんなか」
「怖すぎて聞けなかったもん、地雷だったらどうしよってクソ心配してたからね私、美香とかすげー焦ってたもん、なんかしちゃったかな〜、って一応謝っておいた方がいいかもよ」
「そっか、ごめんよ」
「私に謝ってどうすんのさ」
確かに言われてみたら美香の相槌とか反応が妙に辿々しいと薄々感じていた。やっと理由が理解できた。
今度会ったらしっかりごめんねしよ。




