2 俺は弟の幼馴染に恋している。
いつからだろうか。
俺は気が付いた。
弟達也の幼馴染の良が、達也を特別な視線で見ていることを。
俺は気持ち悪いとか、そういう感情を持たなかった。
というのは、俺が男しか好きになれない体質だからだ。
気になるのはいつも男。
女に対して、胸がどきどきしたり、緊張したりしない。
だけど、俺は必死に自分の想いを隠して「普通」に暮らしている。
だから、俺は彼の気持ちに気が付いた。
父親に虐待されていた女の子幸奈を引き取ることにした。
弟の願いだ。
最初彼女の話を聞かされた時、最初に浮かんだのは彼のことだ。
小汚い女の子を家に連れて来たとき、その後ろにいた彼は酷く寂しそうな顔をしていた。
引き取ることを決めた時、弟はめちゃくちゃ喜んでいた。
うちの両親も女の子が欲しかったらしく、楽しそうだった。
俺だけが違った。
彼のことを思って、悲しくなったけど、顔には出さなかった。
引き取った幸奈はどんどん可愛くなった。
同時に弟の顔がどんどんだらしなくなった。
二人が楽しそうしている後ろで、彼は必死に笑顔を浮かべていた。
誰もがテレビを見ている時、彼の表情が素に戻る。
とても泣きそうで、目を惹かれた。
とても綺麗な顔だった。
震える睫毛、伏せられる目。
色気を彼から感じて、体中に電気が走ったような感じだった。
それから、俺は彼から目が離せなくなった。
二人が付き合いはじめ、一緒に学校に通う。
彼はその後ろをついて行く。
必死な笑顔の奥には、切ない思いが見てとれた。




