表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/121

85. 閑話 「ワクワク Work…Ⅱ」



「うわぁ~ 久しぶり…… ってか、この街ってこんな感じだったんだね…」


「あれ? 恭子は夏のこの街の風景を見たことなかったっけ?」


「うん。ここに来るのはスキーを教えてもらう時だけだったから…」


「そういやそーだったな。 ま、雪が無けりゃ日本中のどこにでもあるただの地方都市だよ」



 列車を降りて改札を抜け、駅前に広がる風景を見ると、そこには夏真っ盛りの街の様子が目に映ってきた。


 恭子と二人でこの街に来ていたのは確かに雪の積もった冬の季節ばかり。だから恭子の眼にはまるで初めて来た街のように映ったのだろうと思う。真冬は一面の雪景色となるこの街も、真夏の今は草花や木々が青々とした瑞々しい緑葉を茂らせている。



「さて、それじゃ先に店の方にでも行くか…」


 駅前の広場から街の様子を眺め終えると、俺と恭子は叔父さんが経営するコンビニへと向かうことにした。駅からさほど遠くない最高の立地条件の場所に叔父さんが経営するコンビニがある。


………ったく、よくもまあこんな所に土地を持ってたもんだ。


 古くからの地主とはいえ駅近くに土地を持ってるなんて贅沢な話だ。そこにコンビニなんぞ建てやがって…。俺ならもっと有効的に活用してやるんだけどな。だからさ、叔父さん―――この土地俺にちょーだい。


 うむ、考えてみれば俺も本郷一族の一員だ。だから俺が頂いてもやぶさかではない。



 そんな妄想を抱きながら歩いていくと、すぐに叔父さんが経営するコンビニに到着した。




「いらしゃいま…… あ、修ちゃん。今到着したのかい?」


 店内に入り、中の様子を窺っていると、商品棚の整理をしていた叔母さんが俺に気付きパタパタと近付いてきた。


「ええ。さっき到着して真っすぐ店に向かってきたんですよ…」


「まあまあ… 遠いところご苦労さんだったね。でも、ごめんね、修ちゃん。無理言っちゃって…」


「いえいえ、バイト料はしっかり貰いますんでお気遣いなく。それよりも……」


 俺は後ろに控えていた恭子を叔母さんの前に連れ出して恭子に目配せをした。



「お久しぶりです、叔母様。恭子です。……覚えていますか?」


「……へ? きょ、恭子ちゃん? あなたが?」


「はい。小学生の時は本当にお世話になりました」



………。



「ひぃえええ~ お、驚いた! こんな美人さんに変わっちゃって…」



 目ん玉が飛び出す……そんな比喩がピッタリって感じの驚きを示した叔母さん。唖然とした表情でただただ恭子を見つめるばかりだった。


 あのさ、叔母さん。ビックリするのは理解できるんだけどさ、あまり大声を出すのは止めようね。お客さんの全員がこっち見てるよ…。



「話は訊いてたんだけど… いやほんとビックリした」


「クスッ… 明日から頑張りますのでよろしくお願いします」


「こ、こちらこそ。……でも、本当に綺麗になっちゃって。 きっとおさむさんもビックリしちゃうよ…」


「叔母さん、そんな事よりちょっとこれから恭子に軽く仕事を説明したいんで奥に行ってもいい?」


「あ、ああ、いいよ…」


「ほんじゃ行こうか、恭子…」


「うん」



 そんな訳で、未だ衝撃を拭いきれていない叔母さんを横目に、俺は店の奥にある事務所に恭子を連れて行った。そこで恭子に仕事の概略を簡単に説明し、なんだかんだと恭子からの質問にも答えていた。


 そうして、暫く真面目に仕事なんぞの話をしていたのだが、不意に事務所の扉がバタンと勢いよく開く音が聞こえてくる。



「修二! てめぇ~! 俺からの電話を散々無視しやがって! 去年の帰り際には必ず来年も来るって………」



 怒り心頭って感じで叔父さんが登場。


 まあそりゃそーだ。俺は叔父さんからの電話を完全にガン無視してきた。大の大人がたかが高校生の甥にシカト決め込まれたら……そりゃあ怒るよね?


 さてどうしたもんかと普通なら悩むところだが…… ムフフ…問題はない。なんせ俺にはレアアイテムがあるのだから。


 俺は恭子に目配せしながら軽く頷いた。―――行ってこい、わが召喚獣きょうこたん



「お久しぶりです、修叔父様…」


 恭子は最高の笑顔をもって叔父さんに挨拶をした。



「……………はい?」



 先程までの威勢は何処へやら。叔父さんは豆鉄砲をこれでもかと大量に喰らった鳩のようになった。大きく目を見開いて口を開けたまま固まってしまっていなさる。


 うむ、やはり世間での噂は正しかったようだ。

『 美少女とイケメンは正義』……なんで正義なのかよう分からんが、威力があることは確かみたい。



「クスッ… 恭子です。小学生の時はお世話になりました。修叔父さん…」


「………へ? へ? へぇええええ!?」



 よーし、よくやった恭子。ナイスだ。

叔父さんの意識は完全に吹っ飛んでいる。これで記憶喪失にでもなってくれりゃマジでラッキー。……いや、それよりも今なら俺にとって都合のいい遺言状を書かせることも可能かもしれん。ちょっと耳元で囁いちゃおうかな?



 恭子の美貌に度肝を抜かれた叔父さんは暫し呆然としていた。だが、やがて少し落ち着くと、懐かしさの籠った様子で恭子の手を握り締め、大げさに再会を喜びはじめた。



「ホントにあの恭子ちゃんなんだね。いやぁ~たまげた。電話での声もそうだったけど、ほんとに変わっちまったんだな~。でも…すっかり美人になっちゃって、叔父さん驚いたって言うか感動しちゃったよ…」


………5年ぶりの感動の再会


 じゃねーのは分かってんだよ、このエロ親父。どーでもいいからそのにぎにぎしてる手を早く離さんかい。まだ勤務もしていない従業員にいきなりセクハラかましてんじゃねーよ。……ったく、このキャバクラ大好き親父め。



「あのさ、叔父さん……」


「あん? だれだ? ……って、修二か。 何でお前がここにいる?」


―――いやいやマジでぶっ殺しちゃうよ?…叔父さん。



「再会を喜ぶのはいいんだけど、俺達荷物も持ったままなんだよね。早く家の方に連れて行ってくれない?」


「あははは… そうだったな。悪い悪い。取り敢えず家の方に向かうとするか。 恭子ちゃん、荷物は叔父さんが持ってあげるからね~」


「はい。有難うございます、叔父さん…」



 それから俺達は叔父さんの車に乗り込み、これから暫くの間宿泊することになる叔父さんの家へと向かった。本郷家の邸宅は街はずれの郊外にあり、お店から車で5分ほどの距離にある。



「いや~ 恭子ちゃん、本当に感謝するよ。どっかの馬鹿と違って電話に出てくれて。しかも二つ返事でバイトも引き受けて貰えたし。ほんと、恭子ちゃんがいてくれて助かった」


「クスッ… いいえ、そんなことないです。それに私もバイトって一度やってみたかったので。叔父さんの所だったら安心して働けるので私にも丁度よかったなって…」


「くぅ~う、嬉しいこと言ってくれるね、恭子ちゃん。やはり持つべきは遠くの親戚より遠くの他人だな」


 家に向かう車の中でも叔父さんは終始上機嫌。しきりと恭子を褒め称えては血の繋がった甥を愚弄し続けた。


………ったく、鼻の下ゾウさんになってんぞ、おやじ。



 美人の若い娘を前にして眼の色変えやがって。そもそもあんたの娘より年下だろ? ……あれ? そーいや朱里あかり姉さんは店にいなかったな?


「あのさ、朱里あかり姉さんはどうしたの? バイトの人がいないんだから店を手伝ってるんじゃないの?」


 本郷朱里……叔父さんの一人娘で今は大学3年生。俺の従姉である。



「ああ、朱里か。あいつはな―――現在任務遂行中だ」


「はあ? 任務?……」


「地元出身で同じ大学の3年生。しかも次男坊。それに性格もなかなかどうして良い漢だ。こんな優良物件など二度と見付からん。だからあいつには指令を言い渡して旅行に行かせている」


「………指令?」


「そうだ。本郷家の将来に関わる重要な指令だ」


「本郷家の将来? いったいなんて言ったの?」



「―――孕んでこい!」



「「………」」


 不覚にも一瞬固まってしまった。

大事な一人娘を婚前旅行に行かせた挙句、娘に言い含めた言葉が「孕んでこい」だと? どんだけイカれてんだよこのオヤジ。確か去年も「跡継ぎが…」って言ってたのは知ってたけどさ、―――普通そんなこと言う? 自分の娘に?


 あまりの馬鹿馬鹿しさに溜め息すら出ない思いだったが、何だか妙な雰囲気がしたのでふと隣に顔を向けてみた。


………まあそーなるわな。


 そこにあったのは、魂の半分を失い、視線を彷徨わせながらただ呆然と固まっている恭子の姿だった。エッチはおろか男と付き合った事すらない恭子にとって、「孕んでこい」は許容レベルを遥かに超えるものだったのだろう。


 うむ、この話はもうお終いにしよう。これ以上話が発展したら恭子が卒倒しちまう。


「ま、まあ… 色々と大変みたいだね。でも朱里姉さんならきっと大丈夫だよ、うんうん。顔だって可愛いんだし…」


 未だ呆けている恭子に気遣って俺はこのイカれた話を終わらせようとした。だが……



「おい修二、なに他人事みたいに言ってやがる。これには本郷家の未来がかかってんだぞ。それにもし朱里が将来婿養子をGet出来なかったらどーなるか……分かってるのか?」


「分かってるかって…… そんなの知る訳ねーよ。おれ関係ないし…」


「関係無いか…。ならお前の名前はなぜ『修二』だと思う?」


「なぜって… 親がそう名付けたからに決まって………えッ!」


「むふふ… そーいうこった。俺が名付けたんだよ。いざという時のためにな」


 叔父さんの名は「修」、そして俺の名は「修二」。

おさむ二世――略してその名を「修二」???


 えっ? はぁ? おや?

なにこれ? 生まれてから17年目にして初めて知る真実? てか、全然嬉しくないんですけど?


「ちょ、ちょっと待って… それじゃあ朱里姉さんが婿養子を得られなかったら俺が本郷家を?」


「ああそうだ。長男の家がダメなら次男の家の男子が引き継ぐってのが昔からの世の中の道理だ。だから本郷家はお前が継ぐことになる」


「あ、あのさ… その場合って…… 俺が叔父さんの面倒を見るってことに……」


「あたりめーだろ。俺の老後はお前が面倒を見るんだよ」


 い、嫌すぎる!

何を好き好んでジョーカーを引かねばならん? こんなオヤジを父親に持つなんて人生最大の罰ゲームでしかないだろ?


「叔父さん、残念だけどその話は辞退させてもらうから。俺には面倒を見なければいけない大切な両親がいるんでね…」


「それなら大丈夫だ。お前の両親も老後はこの街に住めばいい。心配するな。土地ならいくらでもある」


「いやそーじゃなくて……」


「いいからお前が継ぐんだ!」


「やなこった!!!」


 それから暫くの間、俺と叔父さんの不毛な戦いは続いていった。

家に到着し、一休みがてらにリビングでお茶を飲んでいる時も叔父さんの説得は止まらない。だが、俺が頑なに拒絶し続けていると、叔父さんはようやく諦めた。………なんてことがある訳ない。叔父さんはとうとう狂い始めた。



「修二、これだけ言っても駄目か?」


「はい駄目です。絶対むりです」


「そうか… ならしょうがない。『お前』の事は諦める……」


 ふぃ~い… ようやく諦めてくれたか。ほんっとにしつこいんだから…。



「―――恭子ちゃん」


「は、はい……」


「うちの養女になってくれんか? そんで婿養子を迎えてくれない?」


 ま、そーだな。

最初から俺なんか当てにしないでこーいうことは恭子に頼めば……って!

お、オヤジ! 気でも狂ったか!?



「そーだそーだ、それがいい。恭子ちゃんなら美人だし婿養子になりたいって奴なんか簡単に見つけられる。うむ、これで本郷家も安泰だ!」


 完全に頭のネジがぶっ飛んだこの思考。もはや「ガイジ」と呼ばれても致し方がない。このオヤジは完璧にイカれている。


 ったく、何考えてんだこのオヤジは。

そんなことしたら「本郷」の名は残っても血脈は完全に消滅するぞ。それに常識で考えても恭子が「はい」って言う訳ねーだろーが。


「なあ頼むよ恭子ちゃん。何でも希望は叶えてあげるから。土地だって結構持ってるし、楽な暮らしが出来るよ?」


「えっ? ええ… あ、あははは… い、いえでも……」


 ほらみろ? 恭子だって困り果てているだろ?

真顔でキチガイじみたことぬかしやがって。そもそもこんな田舎の土地ぐらいで他人様の人生をどーこーしようなどとできる筈がないだろ? まったく、このオヤジは…



「よし、仕方ない。それで足りないのなら修二を付けてやる! こいつを好きなように使ってくれていい。それでどうだ?」


 そーそー。

それぐらいのおまけでも付け無けりゃそんな無理なお願いは……っておい!


―――オヤジ! なに勝手に人身売買してやがる!


 俺は甥だぞ。自分の息子でもないのに好き勝手するんじゃねーよ。だいたい「好きなように使ってくれ」ってさ、いったい何に使うわけ? 俺にどんな使用方法があるの?


ったく、ふざけたことばかり言いくさって。ほんと、おいおいって感じだよ。―――甥だけに。


(あははは、なんちゃ……いやこれ全然面白くねーわ。売られてるの俺だし)



「なあ、頼むよ… 恭子ちゃん…」


 もういい加減にしろっての。恭子がそんなたわけたお願いを真面目に訊くとでも……



「はい、わかりました。じっくり考えてみます。(キリッ!)」



 ほらみろ。恭子だってじっくり考えないと答えなんて…て…???

あ、あのさ、恭子たん、もしかして……


―――本郷家の資産に目がくらんじゃったの?



「がははは…… さすが恭子ちゃんだ! いい返事を期待してるよ」


「ち、ちょっとまて恭子… お前、なに言ってんのか分かって………」


「冬はいつでもスキーが出来るし、海も近いし… そうよね? よく考えたらここって凄く環境がいいかも……」



 俺の声などどこ吹く風。

恭子はぶつぶつと独り言を呟きながら、その顔にとある数式を思い浮かべている様子であった。―――「打算」というリアリティー溢れる数式を。



「………あの~ 恭子たん… まさかとは思いますけど… 今の話を真に受けたりなんかは………」


「あははは… 冗談に決まってるでしょ。ねえ、お父さ……叔父さん?」


「そ、そうだとも。ちょっと冗談を言ってみたまでだ。ねっ、恭子ちゃーん」


 二人はそう言って相槌を打つと軽い調子で笑い始めた。

だが、俺は見逃さなかった。―――二人とも眼だけは笑っていなかったことを。




「それじゃあそろそろ部屋に荷物でも運んでゆっくりしてくれ。明日からは仕事だからね。それから部屋なんだが…修二、お前が去年使っていた部屋の隣に恭子ちゃんの部屋を用意してある。取り敢えず恭子ちゃんを部屋に案内してやってくれ」


「へいへい。んじゃ恭子、いくぞ…」


「それでは、お世話になります。叔父さん…」


 それから俺と恭子は自分の荷物をたずさえて、二階に用意されている俺達の部屋へと向かっていった。



 曲がりなりにも昔からの地主である本郷家。ゆえに田舎によくある旧家って感じでやたらと家が大きい。俺達に用意された部屋は二階にあるのだが、階段を上って廊下に出ると、右にも左にも様々な種類のふすまや扉が見えてくる。


「本当に久しぶりなんだけどさ… やっぱ修二の実家って大きいね」


 階段を上り終え、廊下の脇に連なる部屋の様子を眺めた恭子は、そう言って感嘆の声を漏らした。


「そりゃそーだよ。なんせ江戸時代から続いている旧家なんだから…」


「ふぅ~ん、だからなんだね。 でも、クスッ… 子供の時には思わなかったんけどね、なんか旅館に来てるみたいな感じがする」


「まーな。叔父さんが前に言ってたんだけど、親戚中が集まってきても泊まれるだけの部屋数はあるらしいよ。それよりさ、恭子の部屋はそこだよ」


「あ、うん。ありがとう」


「俺の部屋はこっちだから。取り敢えず荷物を整理して、後は好きなように部屋を使ってくれ」


「うんわかった。 そう言えばさ、荷物を整理した後はどうする? 夕方までにはまだ結構時間あるけど…」


「そうだな… 恭子は雪の積もったこの街しか知らない訳だし… 散歩がてらにこの街の風景でも見に行くか。暫くここで暮らすんでこの辺りの道とかも覚えておいた方が良いだろうし」


「うん、それがいい。私も夏のこの街の風景を見て見たいと思ってたんだ」


 弾むような明るい声と満面の笑み。

俺の眼の前にはスキーを習うために初めてこの家にやってきた時と同じ笑顔をした恭子がそこにいた。


………しっかし、実家で恭子と一緒に泊まるってのもほんと久しぶりだな。


 一番最初に泊まったのはまだ小学4年生の時だった。

確かあの頃は恭子と同じ部屋で寝泊まりしていたっけ。流石に高校生となった今ではそーもいかんが。しっかし、あれから随分時間が経ったもんだ。―――でも、恭子とこうしてもう一度一緒にこの家に来ることなんて……去年は想像もできなかったな。



―――なんだか昔が懐かしい。



 あっ、そうだ。昔と言えば……


「あのさ、恭子……」

「ん? どーしたの、修二?」


「一つだけ言っておきたいんだが…」

「なーに?」



「―――夜中のトイレはもう一人で行けるよな?」



………ベシッ! ベシッ! ベシッ!………



「も、もう! そんな昔の事いつまでも言わないでよ! ふん!」


 口は禍の元とはこれ然り。

さっきまで上機嫌だった恭子は一瞬で激おこ状態に変貌を遂げた。そして俺に鉄拳制裁を3発浴びせると、プイっとそっぽを向いてずかずかと部屋の中へ消えていかれなさった。


 やれやれ、つい昔を思い出してサラッと言っちゃったんだけど……まあ怒るわな、普通。 「一人でトイレに行ける?」……さすがにJK相手だとこの質問は妙な卑猥さを感じちゃうよね? 


ふむ、そーだよな。今の俺達は高校生。―――もうあの頃とは違うんだよな。



 クスクス……威勢よく否定しやがって。

小学生の時は青ざめた顔して寝ている俺を叩き起こしやがったくせに。




 やたらだだっ広いこの家。その構造は古臭い日本家屋そのものって感じ。だから夜になると、無料でお化け屋敷を体験できるというメリットがこの家にはある。まあ座敷童が出たところで何ら不思議ではない。


恭子の唯一にして最大の弱点……それはお化け。


 なんだって出来ちゃう最強の美少女なのだが、相手がお化けになると途端に弱音を吐いてしまう。遊園地にある子供だましのお化け屋敷でさえ恭子にとっては絶叫スポットって感じだった。だが、そんな恭子ももう高校二年生か…。


………恭子、大人になったんだね。


 俺は感慨に耽りつつ、殴られて未だヒリつくほっぺたに手を当てた。



 あのさ、恭子……マジで痛いんですけど。

殴られるのは仕方ないかも知んないけどね、ちょっとぐらい手加減してもよくない?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ