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79. 恋する資格…Ⅹ



 やがて、劇は終演の刻を迎える。


「なぁまどか、お前に好きな男がいるのは知っている。だが、そいつはお前を受け入れようとしないんだろ? それじゃお前は報われないじゃないか。そいつの事を忘れて俺のところに来てくれたら、俺は精一杯お前に報いてやる。お前のために何でもしてやる。愛してくれない男の事なんて忘れろ。そいつよりも大きな愛を俺が与えてやる」


 終末の雄叫び…とでも言うのか。

元カレは渾身の想いを込めて加賀美を説き伏せようとしてきた。どうやら旗色が悪いことは感じているようだ。一言も言葉を発しない加賀美を見れば、誰の目にも最後の答えがよろしくないものだと想像できてしまう。


 因みに言っておく。今日は週末ではない。元カレの人生は終末だが…。


「そうよ、まどか。女は愛された方が絶対幸せになれるって…」


 旧友も最終謎奥義「女性理論」を出してきた。

流石は量産型。意味不明な一般論もどきを使用してくる。そのおかしな理論の根拠を原稿用紙に800字以内にまとめて提出して欲しいもんだ。



 俺は加賀美に視線を移した。

この劇の幕引きは加賀美の言葉にかかっている。俺はその言葉が出てくるのをただじっと待った。



やがて……


「二人の想いは全て訊かせて貰った。だから今度は私の想いを訊いて欲しい」


 加賀美は重く閉ざされたその口をようやく開いた。

俺を含め、他の2人も固唾をのんで加賀美の言葉を待つ。


「美海、ありがとう。私の事を心配してくれて……凄く感謝してる。 それから比呂… 比呂が私のために言ってくれた言葉を訊けて、私は嬉しかった。本当にありがとう。 だからもう謝罪なんてしなくていい。私は十分納得できたから…」


「そ、そうか! なら………」


「でもね、私は比呂のところには戻れない。戻ることが出来ない」


「ど、どうしてだ? なんでそーなるんだ?」



「私には好きな人がいる。その人は私が最も望むものを持っている。そして、それを与えてくれている。その人は彼氏になってくれないけど、それでも私の望むものは与え続けてくれている。―――でもね、比呂、あなたには私の求めるものが無い。私の望むものをあなたは持っていない。だから今はもう、あなたを愛することが出来ない…」



「お、おい… まどか」


「クスッ… 私はね、いつまでも待ちたいの。その人が私に振り向いてくれるその時を…。 いつまでも、ずっと……」


「ちょ、ちょっと待ってくれ……」



―――も~う、まどかちゃん最高!

≪ 素朴な感想…その四 ≫



 完全に幕は閉じた。



 よし、これで物語は無事終了となった。

加賀美は完全なる回答を元カレに叩きつけた。だからこれ以上あいつらの話を訊く必要はもう無いだろう。カーテンコールには応えなくていい。



「加賀美、話したいことは全部伝えたか?」


「うん、もう何も言うことは…… ううん、あと一つだけ」


 その言葉と共に、加賀美は元カレに視線を送り、優し気な笑みを浮かべる。



「比呂、私の事をそこまで想ってくれてありがとう。私は比呂と付き合えて本当に良かった。今ではそう思える。―――だけど、もう私は比呂を愛することはできない。そして二度と比呂とは会わない。嫌いとかじゃなく、そうすることがお互いのためだと思うから…」



「もういいか、加賀美…」


「………うん」


「じゃあ、行こうか……」



俺と加賀美は席を立ち、その場を立ち去ろうとした。だが……


「ちょ、ちょっと待てよ!」


 イケメンの元カレは鬼の形相でいきなり加賀美の腕をつかんだ。

その迫力に流石の加賀美もすっかり怯えてしまい、腕を掴まれながら必死になって俺の方に身を寄せてくる。


「お、お前?……」


「こーいうのは無しって―――最初に言ったよな!」


 加賀美の腕を掴んで離さない元カレの腕。俺はその腕を握り潰す勢いで掴んだ。ミシミシときしむ音が聞こえそうになるぐらい俺は力を込めた。本気で腕をへし折るつもりで握ってやった。


 やがて俺の力が勝ったのか、加賀美の腕をつかむ元カレの手は力を無くし、その手は加賀美からゆっくりと離れていった。



「て、てめぇ! なにしやがる!」


 殺人鬼のような表情で俺を睨む元カレ。掴まれていた腕を解放された加賀美もその表情をみて震えながら一歩二歩と後退っていく。



「加賀美、外で待ってろ。俺は少しばかりこいつに用事ができた」


 俺の言葉に加賀美は頷くと、怯えた足取りでゆっくりと店の外に出ていった。


「あ、あんた いったい何なのよ? あんたには関係ないでしょ?」


 加賀美を勝手に逃がした俺を量産型がそう言って睨みつけてきた。


「うっせえ! 量産型は黙ってろ!」


「………量産型???」


 量産型は量産型と言われ、量産型という言葉に戸惑いを見せている。



「おいお前、お前はいったいまどかの何なんだ? なんで俺の邪魔をする?」


 俺に腕を掴まれながら、物凄い形相で俺を睨み続ける元カレ。


………も~う やぁ~だぁ~ その顔こぉ~わぁ~いぃ~(てへっ)


 まあ、仁志の顔に比べたらそうでもないけどね。ガチで怒った仁志の顔なんて見ただけで寿命が縮まっちまう。


 さて、冗談言ってないでさっさと用事を済ませようか。


 俺は掴んでいた元カレの腕を放り投げ、元カレに視線を送った。任侠映画でよく見るとても優し気な視線を。(俗に言うメンチをきるってやつね) そして俺は菩薩のような慈しみをもって元カレに語りかける。


「元カレさんよ… 俺はな、ただの加賀美の理解者だ。だが今の俺はお前より加賀美の事をよく知っているぞ」


 ウソついてごめんなさい。謝ります。

本当はただの強敵ともです。それに、言うほど加賀美の事は知りません。


「はあ? なに言ってやがる? イカれてんのか?」


「否定はしないがな、お前よりはましだと思うぞ?」


「どーいうことだ?」


「さっきから話は訊かせて貰ってたんだがな、どうも納得できないんだよ。お前らの言うことが…」


「なんだと? どこが納得いかない! 言ってみろよ!」



「しっかり反省した、加賀美に謝罪した……だから? 全てを許せなんて都合のいいことを言うわけ? 確かにお前の謝罪で加賀美は心が楽になったんだろう。だからもう恨んだりなんてしてないと思う。だがな、だからと言ってなぜお前に対する愛情を復活させねばならん? 謝って許されるのと愛情を戻して貰えるのは全く別の話だろ? 何を勘違いしてんの?」


「な、なにっ………」


「まだ終わっちゃいない。最後まで訊け。 それにな、今の加賀美が求めているのはお前じゃないんだ。他の男なんだ。なぜそれを無視する? なぜお前の元に戻って幸せになれる? 手前勝手な想像ばかりしてんじゃねーよ!」


「ぐっ… だ、だが」


「まだあるから訊け! これが一番大事な話だ。……お前さ、本当に贖罪出来たと思ってんの?」


「あたり前だ! 俺はしっかり反省した。まどかに対しても心から謝罪した。今の俺はまどかしか見ていない。他の女を求めたりなんかしていない。俺はもうあんな誤りを犯さないと心に誓っている!」


「だから?………だから何だ?」


「だからって… 俺はしっかり罪を償ってるだろーが!」


「どこがだ? ギャグのつもりで言ってんのか? なら笑えねーぞ? ……お前に本当の贖罪ってもんを教えてやるよ」


「偉そうに… お前は何なんだよ?」


「俺のことなんてどうでもいい。始めるぞ。……お前は加賀美を愛している。だが加賀美は別の男を愛している。やがて加賀美はその男と結ばれる。その男に抱かれる。加賀美もそれを望む。二人は愛し合う。だが、お前は何もできない。文句も言えない。指をくわえて見てるしかない。―――その光景をよーく想像しろ。大好きな女が他の男に抱かれる姿を。そして悶絶しろ。そして死ぬほど苦しめ。そして心を砕けさせろ。………お前によって加賀美が受けた苦痛、それを自分で味わえ!それを味わってから初めて言葉を吐け! 今のお前には贖罪を語る資格など無い!」



 言い終えた後、俺は意識を失いそうになった。

感情が高ぶり過ぎ、息をするのも忘れて無意識に叫んでいたからだ。


 俺の言葉に元カレも量産型もすっかり黙り込んでしまった。

殴られた経験の無い者に、殴られた痛さは理解できない。だからこいつらに裏切られた者の苦痛など理解できる筈も無い。


 俺は加賀美に成り代わり、その苦しかった心情をこいつらに知らしめたかった。経験者である俺しか加賀美の代役は務まらない。ほんの少しでいいから、こいつらにこの言葉の意味が伝わって欲しいと俺は願う。



「加賀美が言った通り、もう連絡をしてくるな。本当に加賀美を愛してるんだったら、あいつの幸せを考えろ。あいつの幸せ、それは即ちもう二度とお前と会わない事だ。……本当に加賀美を愛しているのなら、あいつの最後の願いを叶えてやってくれ。俺からも頼む……」


 気力を無くし、項垂れ、全身から力が抜けきってしまっている元カレ。

俺はその姿をみても嘲笑する気になどなれなかった。ただただ、心から哀れだとしか思わなかった。


 元カレは確かにしっかりした奴だ。

奴なら確かにもう間違など起こさないだろう。奴の眼がそれを物語っていた。加賀美を本当に愛しているのも事実だ。その証拠に、こいつは怯える加賀美を見て直ぐに悲しそうな表情を浮かべた。


 だが、もう仕方がない。

過ぎた時間は二度と戻ってこない。どんなに悲しくても現実という結果は必ず訪れる。


 残念だが、お前にはもう加賀美の彼氏になる資格はない。



 俺は黙り込む二人を残してその場を立ち去った。






 会計を済ませて店の外に出ると、悲壮な表情をした加賀美が待ち受けていた。


「しゅ、修二… 大丈夫だったの?」


「大丈夫って、何が? 何も大したことは無かったよ」


 俺の言葉に加賀美は安堵の溜め息をつく。だが、加賀美は未だに少し震えている。


 加賀美は今でも元カレとの楽しかった思い出を心のどこかに仕舞っていると思う。どんなに酷い仕打ちをされても、人間は何故か良かった時の記憶を消すことに躊躇いを覚えてしまう。俺もそうだ。だからさっきの元カレの行動は加賀美に大きな衝撃を与えただろう。だから目の前で震えている加賀美の姿を見ると不憫でならない。



「加賀美、ここにいると気分が悪くなる。とっととここからおさらばしようぜ」


 加賀美の背中をポンと叩いて、俺はゆっくりと歩き出す。加賀美もコクリと小さく頷いてから、俺の後を追うように歩き始めた。


 どこへ向かう?……そんなあてなど無い。ただあの場所から離れたかった。

少しでもあそこから離れれば加賀美が落ち着くかもしれない… そう思ったから俺はただ歩き続けた。



 暫くすると小さな公園を見つけた。

余り綺麗とは言えないが、日陰になっている場所に小さなベンチがある。俺は加賀美を連れ添ってそのベンチに腰を下ろした。


 隣に座る加賀美を見ると、未だショックから立ち直れていない。

偉そうな顔をしていつも俺に罵声を浴びせるヤンキーギャルが懐かしい。悲嘆に暮れる無口なギャルなんてどう扱えばいいのやら。俺にはさっぱりわからん。



 無言のまま呆然とただ座っていた二人。だが不意に、俺は加賀美に言うべきことを思い出した。


 天を仰ぎ、青々と晴れ渡った空を見上げながら俺は加賀美に声を掛ける。



「加賀美、一言いっていいか……」


「………うん」


「お前は本当に大した奴だ。俺は負けたよ……」


「……どうしたの? いきなり」


「別に。ただ素直な感想を述べただけだ」


 毅然とした態度で自分の意思を貫いた加賀美。

俺はそれを見て後で褒めてやりたいと思った。ただ、すっかりその事を忘れていた。


「そう……」


 俺からの称賛はすぐさま下水道へと流されて行った。



「あ、それともう一つ言うことがあった…」


「なに?」


「お前と佐藤は……似合ってるよ。凄くな」


 一つ言えばもう一つ… そんな感じでついでにこれも言ってみた。



「………」


「どうした? 加賀美…」


「そんなの…… あたり前でしょ?」


 急に大きな声が聞こえた。そして憎らしい顔をしたいつもの加賀美が隣にいた。


「そうか?」


「クスッ… 今頃になってようやく気付いたんだ? やっぱ修二はバカだね? キャハハ…」


 今泣いたカラスがもう笑う。……

それはこういうのを言うのだろう。あれだけ怯えていた加賀美なのに、佐藤の名前が出た瞬間、暗かった表情にいきなり笑顔の花を咲かせた。加賀美にとって佐藤という言葉は魔法の薬なのかもしれん。



 元気を取り戻した加賀美といつものバカ話で盛り上がり始めると、ポケットがブルブルと震え出した。俺はスマホを確認し、加賀美に断りを入れ、少し離れた場所で通話をした。通話も終了し、加賀美の元へ戻ると、


「用事でもあるの?」

加賀美はいつもの表情で訊ねてきた。


「いいや別に。恭子が暇だから電話してきたみたい…」

俺がそう答えると、


「そう言えばさ、あんたらってほんと仲いいよね?」


 不思議というか、納得いかないって感じで加賀美はそう言ってきた。



「まあな。なんせ長い付き合いなもんでね。もはや腐れ縁だわ」


「だよね~ じゃないと恭子があんたなんかを相手にすることなんて……」


「することなんて…… 何だ? 言ってみろや、加賀美!」


「べっつにぃ~ なぁ~んにもぉ~」


 ガチで憎ったらしい顔してこんなことほざきやがった! あ~ッ腹立つ!

やっぱおめーに佐藤は似合ってねーよ! この性悪女が!


 だが、だが、ここはぐっと耐え忍んで我慢だ。俺は加賀美に贖罪せにゃならん。……でもマジでむかつくんですけど?



「そ、それより…だ。 今日はすげー暑いだろ? キンキンに冷えたパフェでも食いに行かねーか?」


「えっ? どーしたの修二? いきなり…」


「いやもう暑くってな。冷たいアイスが恋しくなったんだよ」


「パフェか~ いいよね~ でもね~ どーしようかな~」


「俺の奢りだ! 文句ねーだろ!」


「じゃあしょうがない。行って・あ・げ・る。 クスクス…」


 数十分前、加賀美に同情していた俺を殴ってやりたい。



「そんじゃ、ぼちぼち行くぞ」


「おっけー」


 いっきに上機嫌となった加賀美を伴って、俺達は駅へ向かって歩き始めた。俺は現在地すら理解できていなかったが、さすがに地元の加賀美はこの辺の地理にも明るいようで、俺達は道に迷うこともなく真っすぐに駅に辿り着くことが出来た。



 駅に到着すると、


「ちょっと修二、なんで電車に乗るわけ? 近くにもパフェぐらい食べられるお店屋さんはあるよ?」


 ってな感じで加賀美は抗議の声を上げる。


「奢ってやるんだから文句言うな。心配せんでも金は全部俺が払う」


 俺はそう言って加賀美を宥め、二人で駅舎にある待合のベンチに座った。



 本当にこじんまりとした小さな駅舎。利用する人も少なく、ベンチで座っているとまったりして落ちついた気分になる。隣でぶつくさ文句を言う加賀美を尻目に、俺は時刻表を確認する。―――ふむ。あと2分くらいか。


「ねぇ修二、そろそろホームに行かなくていいの?」


「まだいいだろ? ホームには扇風機も無くて暑いし…」


 やがて俺達が待っているのとは反対方向に向かう列車が駅に入ってきた。停車時間も極わずかで、あっという間に列車は次の駅に向かって走り始める。


 少しすると、降車した少しばかりの乗客が俺達のいる改札付近を通り過ぎていく。



「ねえ修二、そろそろ…………」


 俺をホームへ急き立てていた加賀美の声が急に止んだ。



「―――加賀美さん」



 加賀美はその声の主の顔を見ながら固まる。

瞬きもせず、眼を見開かせ、無言でただじっとその顔を見つめていた。


 やがて―――


「さ、佐藤くん………」


 そう言って1歩2歩とゆっくり歩み寄ると、佐藤の前で立ち止まった。



「加賀美さん、ごめん。僕が馬鹿だった。前に言ったことは全部忘れて欲しい。やっぱり僕は加賀美さんを離したくない…」


「………」


「ど、どうしたの? 加賀美さん。やっぱり……ダメかな?」


「………」


 加賀美は俯いたまま一言も話さない。ずっと黙ったままだった。


「………か、加賀美さん?」



「忠司、沈黙は肯定ってことだ。嫌ならとっととお前から離れてるよ」


「修二君……」


「加賀美… どうだ、気に入ってくれたか? おれ特性のパフェだ。最高だろ? なんたって『佐藤』がたっぷり入っていてもう甘々だぞ。しっかりと堪能しろよ」



 加賀美は肩を震わせながら忠司の手をしっかりと握りしめた。忠司もそれに応え加賀美の手を優しく握る。やがて、忠司の胸に飛び込むと、力を失い膝を地面につけた。そんな加賀美をおどおどしながらではあるが、忠司はしっかり傍で支えている。


 加賀美は何も喋らない。いや、喋れない。喋ったところで言葉になんかならない。今は泣き叫ぶのを我慢するので精一杯なんだろう。



「と言う訳で、忠司… 後は任せたぞ。 もうちょっとしたら加賀美も喋れるようになると思うから。しっかり傍にいて離すんじゃねーぞ」


「う、うん。ちゃんと傍についてるよ…」


「じゃあな、加賀美。邪魔者は退散するわ。後は好きにしろよ…」


 加賀美からの返事は当然ない。

だが、小刻みに何度も動く頭は、頷きを示しているのかもしれない。


 俺は改札を超えてホームへと向かう。

だがその途中、思い出したことがあったので足を止めて振り向きながら大きな声を上げた。



「忠司、それに加賀美……やっぱお前らはお似合いだよ!」



 言うべきことを言い終えた俺は満足して家路に就いた。



 帰りの電車の中で、ポケットの中から小さな音が聞こえてきた。スマホを取り出すと、完全に充電が無くなったことに気付く。


………よく頑張った。俺のスマホ。


 話し合いをしている時、ずっと忠司との回線をつないでいた。俺は暇を持て余しスマホを弄っている体を装って、加賀美の言葉を全て忠司に伝えた。


 この日の前日、俺は忠司に電話した。


『明日、話し合いに行く。そこで加賀美は自分の想いを全て語ると思う。俺はそれをお前に伝える。後はお前が判断しろ』


 そして実際に全てを伝えた。


 やがて公園にいる時、忠司から返事が来た。―――『今から向かう』と。



 忠司のおかげで俺の贖罪は完成できた。

加賀美の気持ちを確かめるようなことをしてしまったが、その罪はこれぐらいで許してほしいと思う。



 結局、幸せになれたんだからこれでいいよな?……加賀美。



 これにてすべての段階は終了した。

これでようやく俺は自分の夏休みを楽しむことが出来る。



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