表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

命知らずの賞金稼ぎその弐

 鋼材を収容するうそ寒い倉庫、累々と重ねられた鉄骨に踞牀するサングラスの男。角ばった頤や口元に髭を繁茂させ、葉巻を持ち、紫煙をくゆらせている。男の足許には二三のボストンバッグがあり、その一つを若い男二人が調べている。周囲には五体が欠損した遺骸が数体転がり、血腥い臭いが鼻を搏つ。

「ええ、確かにブツは数通りあります」

 若い男の一人が言った。バッグから包装された多量の錠剤が覗いている。

「これだけありゃ、素封家の仲間入りが出来るってもんだ」

 サングラスの男が紫煙を吐きながら言う。

「これだけ揃ったんですし、そろそろ移動しませんか。また賞金稼ぎの連中が来るかもしれませんし」

 もう片方の若い男が言った。

「また来たらこいつらと同じように調理してやるだけだ……」

 サングラスの男は葉巻で遺骸の一体を指し示す。

「それに、あと一人運び屋が来る。それまでは此処は動かん。お前らだって異能持ちなんだ、もっと腰を据えろ」

 その時、倉庫の扉が叩かれた。三人は会話を中絶しそちらに意識を注ぐ。

「コウノトリか?」

 若い男の一人が尋ねる。

「そうそう、鳥のことは知らねえけど」

 男の声である。

「入れ」

 悪魔の断末魔のような軋り音が響き外光が射し入る。逆光のためにその見目は影絵となっているが、フードを被り、右手にはスーツケースを引いているようである。フードの男が倉庫の中程まで進むと若い男が呼び止めた。

「そこで止まれ。ケースを放して退がれ」

「あいあいさーー」

 フードの男は盲従し、五歩退がった。若い男がケースを開く。と、その男は頓狂な声を上げ尻餅をついた。

「密室って結構落ち着くよね。君はそうは思わないかい」

 ケースが慣性に従って徐々に開かれる。そこには押し込められたシャラクが入っていた。

「君も入ってみる? あれ、ちょ、てかこれ、抜けなくね。でゅふ、ちょ、アカツキ氏助けて」 

「だから無理すんなって言ったろ」

 ケースの後ろに控えていた人物がフードを取る。白髪に緋色の双眸である。

「いや、無理やり詰めたのアカツキ氏だよね」

「なんなんだお前ら!」

 若い男が腰を引いたまま上ずった声を投げる。

「お前を倒す者だ!」「賞金稼ぎだ」

 二人の声は渾然とし、拡がる。

「こんな頓馬な賞金稼ぎははじめてだ。おい、青二才共」

 サングラスの男が俄かに立ち上がり、葉巻を指揮棒の如く揺らすと、無秩序に揺曳していた紫煙が集い、形を成しはじめる。する内にそれはアカツキとシャラクの前に降り立った。輪郭は朧げで鬣が間断なく揺れている、二頭の獅子である。

「食われる用意はできてるか」

 この御業こそ賞金首、煙獣使いガベルの成せる異能である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ