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命知らずの賞金稼ぎ

 仄暗い室内に二人の男がいる。一人は白髪で痩身であり、双眸の緋色は暗澹とした部屋で爛々と輝いている。白髪の男は卓子を前に腕を組んで座り込み茶碗を瞰下している。もう一人の男は黒髪に眼鏡を掛けており、テレビから映し出される光を満腔に受けている。眼鏡の男は猫背で座しているために、その太鼓腹が強調され紺のチェック柄のシャツは今にもはち切れんばかりに膨れ上がっている。テレビからはけたたましい爆発音と叫喚が聞こえ、喧々囂々と云った態。併し、白髪の男は風馬牛で特に気にする様子は毫もない。

「なあ、おい、シャラク(デブ)。なんで俺の飯は豆腐だけなんだ」

 白髪の男は豊満な男に問い掛けるが、レンズが画面の光を照り返しているためにその表情はあまり読み取れない。

「あーーそれね。今月の食費が雀の涙程しかないからだよ」

「おいおい、だからって豆腐一個だけはねえだろう」

「アカツキ氏、豆腐の数え方は丁だよ。それに、食費がかつかつなのは誰かさんが壊しまくった街の修繕費分と家賃払ってるからだよ。家賃も物価高で上がったからね」

 シャラクは画面を凝視したまま答える。テレビからは少女達の哄笑が響き、まるでアカツキの悲惨な現状を嘲笑しているかのようである。

「街が壊れたのは賞金首が暴れたからだろ? なんで俺が払うんだよ……」

「自動車事故と一緒だろ、常考。十対零なんてありえないよ」

 アカツキの疑問に言下に返答するシャラクだが、依然としてその視線は画面に釘付けになっている。

「ああ、終わりだ終わり。俺はここで餓死するんだ」

 アカツキは大仰に半身を倒し、仰臥する。天井を見つめるが、光を放たずに孤影悄然としている蛍光灯が見えるだけである。

「アカツキ氏、ヘタレ王子じゃないんだから、そんな直ぐに諦めんなよ。我ら賞金稼ぎは素寒貧なら、稼ぐまでのことよ」

「お前、そんなこと言うならチャンネル変えろよな」

「あ、今は駄目です。爆裂少女っていうアニメ見てるので」

「録画して見ろよ」

「リアタイもして、録画でも見るんですよ。二度見ることに意味があるんですよ!」

 シャラクは遊説する政治家のように声を張り上げる。併し、視線は変わらずテレビに固定されたままである。アカツキはリモコンを手に取るとチャンネルを変えた。

「ぁあ! ちょっと、あかつきしいぃぃぃぃぃぃ!!!」

 画面からは暗鬱なBGMから一転して、陽気な音楽が流れはじめる。と、カウボーイの恰好をした男女が画面の両端からそれぞれ立ち現われた。

『よお、命知らずのろくでなし共!』

『賞金情報のお時間よ!』


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