うるさい! この貧乏人めが! お前は借金返済の代わりに、これから毎晩、このゴデブリン様に奉仕するのだ。
ヒミさんは俺にだけわかるように、さりげなくウインクをした。マッチョは腕組みをしたまま、親指をグッと立てていた。
周りの観衆からは拍手かっさいだった。
気ん持ちいい~。あーあ、これが俺のお金だったらなあ。
◇
ルーレットで増やしたコインを換金した俺たち六人は、足早にマイ、メイ、アイの家に向かった。
家の前には、すでにゴデブリン大臣らしき人物が部下数名を連れて、馬車で来ていた。
そして玄関の前で、マイ、メイ、アイの母親ともめていた。
「まだ期限の夜になっていません! 最後に娘たちに挨拶をしないといけません! もう少し待ってください!」
「うるさい! この貧乏人めが! お前は借金返済の代わりに、これから毎晩、このゴデブリン様に奉仕するのだ。夜まであと数時間。どうせ二千万アカラの返済のめどなど立っておるまい! さっさと来い!」
ゴデブリン大臣の手には、借金の借用書が握られていた。
なんだこいつ。鼻息荒いし。
正直、むかつく。よし、俺がいっちょう、格好いいところ見せてやる!
「おい、貴様! 待て! 二千万アカラならここにある! その母親から手を放せ!」
と言ったのは、俺、じゃなくてラル。
「あれ、それ、俺のセリフ……」
「なんだ貴様は! む、どこかで見たような……まあ、良い。二千万アカラがあるだと? ウソを言うな、こんな貧乏人どもの住む町にそんな大金を持っている人間がおるわけあるまいが」
ゴデブリン大臣は、一応王侯貴族の部類だろうから、メルクリン財閥の令嬢であるラルを舞踏会などで見たことがあるのだろうか。だが、ラルはいつものピンクメタリックカラーの「絶対に攻撃を避ける」アンタッチャブルアーマー姿に、「一度狙った獲物は、絶対に外さない大剣」を背負っているので、同一人物とは気がついていないみたいだ。
「これを見ろ! かっちり二千万アカラある! それを持って、さっさと帰れ!」
ラルは大きな布袋に入れた二千万アカラを、どさりとゴデブリン大臣の前に置いた。
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