そして、フォルの女神らしからぬ、パンチの嵐が巻き起こった。 まるで千手観音の如く、拳が無数に見える。
「さっ、さっ、さばきって、なに?」
フォルはスッと身をかがめ、ボクシングのポーズをとった。両の拳を顔の前に置き、脇を締め、まるで「いない、いない、ばあ」のような姿勢だ。
小柄なフォルが身を縮めて、さらに小さくなった。
「ほ、ほの構えは!」
「知っているのかジンゴロウ!」
柱の陰からラルの声が響く。
って、いつの間にか、マッチョのやつも柱の陰に移動してるし。一人だけ逃げるなよー。
「ほ、俺の記憶が正しければ、あへは、伝説の格闘家の得意な構え、ピーカーブースタイル! ほしてー」
―そして、そこから繰り出されるのは、高速ラッシュのデンプシーロール!― と言いたかったのだが、俺のセリフをフォルがさえぎった。
「行くよ……ジンゴロウ……さん、愛と悲しみの、必殺……女神ロール!」
そういうと、小さく丸く身構えていたフォルは、左右に体を振り始めた。
最初は小さく、そして次第に早く、大きく、不規則に。
相手に反撃の的を絞らせないように。
両の拳の出どころと、攻撃の「起こり」を察知させないために。
まるでそう、歴戦の偉大なボクサーのように!
「シシッ! シュッ! フッ!」
ドドドドゥッ!
「ぐぇっ! ちょっ、待、マジでいたい!」
フォルが小刻みに息を吐くと同時に、連発でパンチが繰り出された。いずれも俺のボディに突き刺さる。
たったの一呼吸で、よ、四発だって? マジか。
「ふー、すー」
まるで準備体操が終わったかの如く、フォルは短く、だが深く息を吐いて、吸った。
フォルの瞳がキラリと光る。
そして、フォルの女神らしからぬ、パンチの嵐が巻き起こった。
まるで千手観音の如く、拳が無数に見える。
―攻撃が、来るぞ! 避けろ! かわせ! ―
お読みいただき、ありがとうございます。
もしよろしければ、下の 【☆☆☆☆☆】にて『ポイント評価』をお願いいたします。
面白くなければ星1つ【★☆☆☆☆】にてお願いいたします。
皆様の率直な評価を参考に、次回のお話に生かしていきたいと思います。




