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グッドラック!

 俺は真っ白になっていた。頭も、髪の毛も。


「おい、ジンゴロウ。大丈夫か? おい! 聞こえているのか!」


 心配したマッチョが大声をかけるも、俺の頭の中は真っ白のままだ。


 パンパン!

 

 反応のない俺の頬をマッチョが平手で何度もたたく。

 

 パンパン!


「痛いっての!」


「おお、戻ったか。心配したぞ」


 俺のほっぺはくるみをほおばったリスのように腫れあがっていた。






「負けちまったよー!」


 カジノの端っこで俺はがっくりと膝をつき、嘆いていた。


「マッチョ! なんで止めてくれなかったんだ! せめて元のお金の百万アカラを残しておけば……!」


「だから俺は止めたっての! それにカジノは自己責任! たかがゲームだ! 紳士淑女の遊び場だ! 必要なお金を賭ける場所じゃない!」


 マッチョのあまりにも正論に、ぐうの音も出ない。


「やれやれ。それじゃあ、俺は仕事に戻る」


「あ……マッチョ、いろいろ、ありがとう……」


 俺は真っ白な頭で、どうにかお礼の一言をひねり出した。


 マッチョは振り返りもせずに、親指でピンと何かを俺の方へとはじいた。

 

 慌てて両手で受け止めると、一枚のカジノのメダルだった。


「グッドラック!」


 マッチョはそういうと、にぎやかなカジノの喧騒の中に消えていった。


 俺の手元には一枚のメダル。みたところ、一番安いメダルだ。


「これでもうワンチャンスやってみろ、ってことかな?」


 とはいえ、一枚のメダルでは、できることも限られそうだ。


「買えるものと言えば、ジュースくらい。遊べるゲームは、おっと、あのスロットマシーンくらいだな」


 カジノの一部にスロットマシーンのコーナーが見えた。


 そういえば、元居た世界のニュースで「一枚のメダルで億単位の大当たりが出て大金持ちになった人がいる」って聞いたことがある。


本作品をお読みいただき、誠にありがとうございます!

今後も継続して、作品を書いて、アップしていきたいと思います。

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