ちょ、ちょっと待っちょ!
俺はマッチョに簡易的な牢屋に押し込まれそうになる。
「ちょ、ちょっと待っちょ!」
「あ? 着やすく俺の名前を呼ぶんじゃない!」
待ってとマッチョが一緒になってしまった。
「ま、間違えた! マッチョさん! ちょっと待ってくれ!」
俺は首を思いっきり伸ばして、ラルとフォルに呼び掛けた。
「おーい! ラル―! フォル―! 俺だ―! ジンゴロウだ! 助けてくれー! みんなの誤解を解いてくれー! このままじゃあ、俺、牢屋に入れられちゃうよー!」
ラルとフォルは、俺の声が聞こえたらしく、キョトンとした顔で壇上からキョロキョロと周囲を見回した。俺を探しているようだ。
「あー! いたー! ジンゴロウ! どこへ行っていたんだ!」
「わっ、ジンゴロウ君。そんなところで何してるんですか?」
二人は壇上から俺のところへと駆け寄ってきてくれた。
そして、二人はあれやこれやとマッチョたち町民と話をして誤解を解いてくれたようだった。
「うまい! なんだコレ! 異世界のメシ、めっちゃうまいじゃないか!」
ほどなくして、俺の席も壇上へと作られ、三人並んでごちそうにありつけた。
「ジンゴロウ、良かったな、誤解が解けて、キャハハハ!」
「笑い事じゃないっての、ラル! でも、ありがとな。助けてくれて。フォルもサンキュな」
「えへっ、いいんですよ。あのくらい、なんてことないです。えへへ」
「それにしても、ラル、お前メルクリン家っての? ご令嬢ってどういうことだよ。アンタッチャブルナイトのラルって異名を持つ、戦士じゃなかったのかよ」
「あちゃー、やっぱりバレてたか。でもアンタッチャブルアーマーは本物さ。メルクリン家に伝わる伝説の鎧なんだ」
「えっと、じゃあ、戦士ってのがウソってことなんですか?」
「そうさ。もうバレちゃったけど本当はあたい、メルクリン家っていう財閥の一人娘なんだ。でも、そんな生活と決まりきった未来に、もう飽き飽きしていたんだ」
「金持ちってことか」
生まれた時から金持ちなんて、うらやましい! と思ったが、ラルの眼はなぜかとても悲しそうだった。
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