1ー3.戸建て2DKシャワールーム付き
「うーん……橋から見た時点で、嫌な予感がしたんだよね〜……」
「はぁ……これじゃ国に帰った後、俺が先生からタダじゃ済まされないな……」
「だよね〜。私のパパ、普段は優しいけど怒るとかなり恐いもん……」
空き家へやって来たセスとネリアは、そこで深刻な問題に直面していた。
2人が滞在中に住むことになっていた空き家というのは、田舎の新婚夫婦にならちょうどいいくらいの小さな一軒家だったのだ。
一階はダイニングキッチンとシャワールーム、二階は主寝室と子供部屋のみ。庭には物置が付いている。
何故こうなったのかというと、セスとネリアのファミリーネーム及び住所が同じだったために、村長が2人を家族だと思い込んで手配してしまったらしい。
実際、2人は家族ではある。
だが、血の繋がらない兄妹だ。
セスは、剣豪であるネリアの父に才を見出されて引き取られた養子なのである。
「流石にこれはマズいよね〜……」
「これがせめてもう少し広い共同住宅なら、弁解の余地もあったかもしれないんだがな……」
年頃の男女が長期間ひとつ屋根の下で2人きり……何もやましいことが無かったとしても、そんな生活をしていたという事実だけで、嫁入り前の娘の評判に傷が付く。大問題だ。
2人が頭を抱えていると、一緒に困っていたピアがあることを思い付く。
「では、ネリアさんにはわたしの家に住んでいただくというのはどうでしょうか?」
「えっ! ピアさんの家?」
「ええ。厳密にはわたしの師匠の家ですが、今はわたし1人なんです。師匠の部屋はいつも綺麗にしてありますから、私物を少し移動させるだけですぐに使えます。川を挟むとはいえ隣なので、お二人にとって都合がいいと思いますよ?」
ネリアとセスは予想外の提案に顔を見合わせた。
「……でも、ピアさんのお師匠さんはそれでいいんですか? 魔脈の状態によって修復にかかる期間は変わるんですよ? 途中でお師匠さんが帰られるかもしれないし、そもそも留守中に勝手に……」
「いいんです。師匠と連絡が取れたとしたら、きっとこうするべきだと言ってくれると思いますし。もし急に帰って来ても、書斎で寝てもらえばいいですから。師匠は寝室よりも書斎で寝起きすることが多いような人でしたので」
ピアは懐かしそうに、ふふっと笑う。
その様子から察するに、きっと師匠もピアのように優しい人物なのだろう。セスたちはそう安心した。
「そうなんですか? それじゃあ……私、お言葉に甘えさせてもらっちゃおうかな?」
「はい。では、今から村長さんにそれもお伝えしに行きましょう」
話がまとまり、3人は出発した。
田舎の農村なんで民家に浴槽は無くてシャワーだけかなと。
だからこそ、村の温泉はありがたい場所かなと。




