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Warrior 〜異世界戦士伝〜  作者: モン吉
3/6

怪物

夢を見ていた。


古い寺で遊ぶ子供の頃の自分・・・


大きな寺だ。


ああ、故郷の禅寺か・・・


よく1人で遊んでたな。


ふと見上げると、目の前に女性が立っていた。


白く長い髪は腰まであり、肌は透き通るように白い。

なぜか耳は尖っていて、白い装束を身にまとったその姿は神々しかった。


この世の者ではない。


でも何故か恐怖は感じない。

どこか懐かしく、暖かい感じがした。


その女性はそっとリョウの前に座ると、白くしなやかな手で、リョウの頬を撫でた。


女性はリョウの目を見つめると穏やかに微笑んだ。


その瞬間、目の前が真っ白になり強烈な頭痛に襲われた。



「ぐぅ!あ、頭が・・・」

頭痛とともに目が覚めた。

身体を動かそうと思うが言うことを聞かない。


酷い頭痛はまだ収まらず、意識がはっきりしない。気力を振り絞り首を起こし辺りを見回すと、そこは

一面草が生い茂っていて、樹木が立っていた。


(アフガンの山にいたはずだ、何故・・・)

そう考え始めるとまた頭痛が襲う。


「・・・皆は、どこに・・・」


霞む目を凝らし、再び辺りを見渡す。


すると、地面に倒れている3人の姿を確認した。

安否を確認したいが、身体が動かない・・・


くそ!動け!

しかし、そのたびに激しい頭痛が起こる。

だが、更に最悪な事態が迫っていた。


樹木の間に巨大な「何か」が立っている。


人ではない。


その「何か」の身体は緑色で、背丈は人間の3倍以上はありそうだ。

いつの間にいたのか、こちらを凝視している。


ヤバイ!と直感が働いた。

相手がハッキリ見えなくてもわかる。

それは「敵」だ!


「ヴオオオォォー!!」


奴はこちらが敵と認識したのを悟ったのか、怒号のような雄叫びをあげた!


ドスン!ドスン!ドスン!


そいつは勢いよく猪突猛進してきた。


(殺られるのか・・・)


リョウは覚悟を決めた。


その時だった!


森の影から巨大な岩の塊が飛び出てきた。

いや、只の岩の塊ではない。

それは岩で覆われた巨人だった。


その岩の巨人は勢いよく怪物にタックルを喰らわせた。


怪物はその衝撃でぶっ飛ばされ、頭から地面に突っ込んだ。


怪物は苦しそうに唸りながら立ち上がり、岩の巨人を睨みつけ、雄叫びをあげた!


「ヴオオオォォー!!」


岩の巨人はそれに怯まず突進する!


「ガウッ!!」

怪物も負けじと巨人の突進を体で防いだ。


ガスッ!ドカッ! ドドン!


怪物と巨人の殴りあいが始まった。

リョウは何が起こってるのか、まったく理解できなかった。

いずれにせよ、どちらかが勝ったとしても危険な状況は変わりない。


しかし、まだ体が言うことを聞かない。


「くそぉおお!!」

苛立ちが声となって出てしまった。

その声に緑の怪物が反応し、こちらを向いた。


その一瞬の隙を岩の巨人は見逃さなかった。

怪物の顔面めがけ、右ストレートが炸裂した!


バギャ!


鈍い音ともに怪物の頭部が宙を舞った。

紫色の血しぶきが切断面から吹き出している。


頭が無くなった緑の怪物は膝から崩れ落ちるように倒れた。

そして、勝者となった岩の巨人は、リョウの方を向いた。


(マズイ!今度は俺か・・・)

岩の巨人はゆっくりとリョウに向かって歩きだした。


ドドンッ、ドドンッ


その大きな足音は、地面を伝って体全体に伝わってくる。

再び、殺られる覚悟をしたリョウだが、岩の巨人は足を止めて、こちらを覗き込んできた。


「ゴーレム!その人たちは無事?」

すると、岩の巨人ゴーレムの後ろから少女が現れた。


「だ、誰だ・・・うっ!!」

また激しい頭痛がリョウを襲う。

薄らとしか見えない少女の顔を見つめながら、リョウは意識を失った。


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