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Warrior 〜異世界戦士伝〜  作者: モン吉
2/6

落雷

少し大きな岩影で足を休める4人の兵士。


「不味い…」


不満そうな声をあげたのはリョウだ。

レーションを口に運びながら不満がこぼれた。


MREレーション(戦闘糧食)はアメリカ軍が誇るコンバットレーションである。

戦闘時や移動中の忙しい時でも1日に必要なカロリーや栄養分を摂取できるように開発された食料だ。

OD色の袋の中には個梱包されたパン、クラッカー、ピラフやローストビーフ、チョコレート等の菓子の他に粉末のジュースやコーヒーなども入っている。

メニューは問題ないのだが、一番の問題は味だ…


アメリカの食に慣れているリョウだが、これだけは毎回抵抗を感じる。いや、リョウだけではない。

海外任務で多国籍軍との交流で各国の軍隊のレーションの中で一番不味いと評価された時があった。


「こいつが旨いと思えたら人間じゃねぇ」

レーションを早々と平らげたハンクが言った。


「駆逐艦勤務時代が恋しいよ」

苦笑いしながらリョウは堅いクラッカーを頬張る。


元々アーレイバーク級駆逐艦の乗組員だったリョウだが、艦内での食事は質素ながらも美味かった。

長期間の船内生活で食事は唯一の楽しみであり、栄養が偏らないように味付けや献立に工夫がされている

のだ。

シールズに入ってからは作戦行動中はこのレーションを食わされている。


「リョウ!ビーフ余ってるか?」

その様子を見ていたジョーが、まだ封を切っていないビーフ(と言えるのか?)を要求してきた。


「やるよ」と袋をジョーに放り投げた。

ジョーはそれをキャッチするとニヤリと笑った。

それを見たキースは呆れた顔していたが、ジョーは美味そうに食っていた。


ハンクは小声で「人間じゃねぇ」と呟いた。



リョウはアーマーベストのポーチから地図と小型端末タブレットを取り出した。

地図には数ヶ所に丸くマーキングされていて、そこへのルートが線で示されている。


リョウの任務は敵勢力の捜索及び監視であり、もし脅威と判断された場合には空爆をを要請、その空爆誘導を行うという内容だ。


これまでに米軍は、少数の部隊を各地に展開して偵察の後、空軍の航空爆撃で制圧を試みてきた。

実際にそれなりの成果があり、順調に敵拠点を制圧していった。

しかし、アルカイダの主導者殺害後はその報復攻撃が盛んになってきており、その報復の対象が特殊部隊に向けられている。

アルカイダとタリバンの残党が集結するという偽情報を掴まされた司令部は、シールズ隊員数十名を派遣したがヘリごと撃墜され全員死亡するという事件も発生した。

その犠牲者のほとんどがチーム6の隊員である。


それ以来、アメリカはCIAのSADパラミリタリーの諜報活動や陸軍特殊部隊デルタフォースの潜入工作活動をより一層強化することとなった。


今回、アメリカ中央軍は情報を元に中央特殊作戦軍(SOCCENT)に敵拠点捜索を指示した。

司令部はバグラム空軍基地に駐屯しているチーム6に命令を下した。

シールチーム6指揮官タイラー少佐はリョウたち4名を選抜し、シャヒコト溪谷にヘリで夜間降下したのは数時間前だった。


地図にある敵勢力拠点まではあと数キロだ。

休憩を終えた一行は移動を再開しようとした矢先だった。


いつのまにか空が曇っていた・・・


ついさっきまで自分たちを眩しく照らしていた朝日も雲で完全に隠れていた。


ふと、頭上を見上げると雲が台風の目のように渦を巻き始めた。

同時に強烈な雨風も吹いてきた。


「台風なわけないよな・・・」


アフガンは内陸で標高が高い国だ。

雨はごく一部の地域でしか降らないので、雲はできにくい。

そんな国でしかも内陸で台風は明らかにおかしい・・・


「おい、何だありゃ・・・」

ハンクが空を見上げて渦の中心を指さした。

渦の中心が光を放っていた。


その瞬間、周囲に稲妻が落ちた!


「マズイ!」

リョウは叫んだ。


最悪の状況だった。

高所でしかも周囲に樹木が少なかった。

その上、金属の塊である銃や無線機のブレードアンテナなど雷の格好の的だ。


急いでこの場を離れなければ!

頭で考えるよりも先に体が動いていた。


斜面を転がるように下る4人。


「クソッタレ!雷に打たれて死ぬなんざぁゴメンだぜ!」

ジョーが叫ぶ!


全力で走る4人の後ろを追うように雷が落ちる。

至近距離で雷が落ちた。それに怯んだキースが転んだ。


「キース!大丈夫か!」

ジョーがキースに駆け寄る。


「大丈夫だ!」

キースはジョーの手を借り、立ち上がってまた走り出した。


その光景を見たリョウは走りながら無線のスイッチを入れた。


「ビッグホーン!こちらアトラス!」


『こちらビッグホーン、アトラス、送れ』

司令部のタイラー少佐が無線に応えた。


「現在位置に異常気象発生!ハリケーンと思われる!」

息を切らしながらも、今の状況を簡潔明瞭に伝える。


『アトラス、こちらでも今しがた衛星画像で確認した。信じられん・・・』

無線からタイラー少佐の驚いた声が聞こえた。


「こちらアトラス!異常気象の状況化での任務遂行は困難だ。一度避難して体制を整える!」

無線を終えた瞬間だった。


バシィッ!!


頭上で雷が爆ぜた。


強烈な光が降り注ぎ、辺り一面が真っ白になった。

4人はお互いの位置がわからなくなるくらいに視界を奪われた。


「ぐぁっ!」


リョウは一瞬体が宙に浮いた感じになったと同時に意識が無くなった。


ここまで読んでいただき感謝です!

もたもたした前振りになってしまいました(^_^;)

次回、いよいよ異世界へトリップします!

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